今回は中国のレンズメーカー七工匠(7artisans)からレンズのサンプリング依頼があり、2021年8月に発売されたばかりの「50mm F0.95」大口径レンズのレビュー記事になります。
私がCannonユーザーで適合するカメラマウントがなかったため、Olympusの「OM-D EM-5 MarkⅡ」マイクロフォーサーズカメラを購入して撮った作例とスペックも紹介したいと思います。
この記事を読むことで純正レンズは高額でなかなか手が出なかった方も、サードパーティ製レンズの魅力を知ることができます。
Amazonや通販ショップを見てみるとまだまだ国内での流通量が少なく「マイクロフォーサーズ機 × 50mm F0.95」のレビューはネット上でも初だと思うので参考になれば幸いです。
七工匠(7artisans)とは
七工匠(しちこうしょう)はセブンクラフツマン(英語表記:7artisans)を製造販売している中国の新興レンズメーカー。
元々カメラ愛好家だった7人の匠たちがレンズ開発プロジェクトを立ち上げたことに由来した「七工匠」の本社は中国・深セン。
製造するレンズはほとんどが大口径MF(マニュアルフォーカスレンズ)で、似た名称の銘匠光学「TTartisan」と言うシリーズもありますが、こちらとは別の独立した会社です。(※七工匠メーカーの方に直接聞いて確認を取りました。)
今回ご紹介する「50mm F0.95」の他にも「35mm F0.95」や「25mm F0.95」も5万円いかで発売されていて注目を集めていますね。
Amazonユーザーの方はこちらのページから商品概要を確認することができます。
★35mm F0.95はこちら⇒https://www.amazon.co.jp/
★25mm F0.95はこちら⇒https://www.amazon.co.jp/
「50mm F0.95大口径レンズ」スペック
「50mm F0.95大口径レンズ」はミラーレスデジタルカメラ用のレンズで、大口径F0.95という驚異的な明るさからポートレート、夜景、風景など特に暗い場所での撮影を得意としています。
また新品が3万円未満と純正レンズと比べて驚異的なコスパが持ち味。
スペックをまとめてみると、
・タイプ 単焦点レンズ
・焦点距離 50mm(35mm換算で約75mm)
・最大絞り F0.95
・最大絞り F16
・レンズ構成 5群7枚
・羽根 13枚
・フォーカス マニュアル
・フォーカス範囲 約45cm/1.48ft-無限遠
・フィルターサイズ 62mm
・対応マウント SONY E・Nikon Z・富士フィルム X・M43(マイクロフォーサーズ)・EOS-M
・重さ 約416g
・価格 税抜き27,258円(Amazon 2021.9.23現在)
金属製のマウントでフルメタルコーティングされているため小柄ながら約416gとしっかりとした重みを感じるレンズ。
冒頭では大口径と言いましたがCannon純正レンズのF1.2とか明るいレンズはレンズ前面がかなり大きいですが、普通の小型ズームレンズの前玉と同じくらい小さいですね。
私の持っているOlympus「OM-D EM-5 MarkⅡ」が公式では約417gなので小型のマイクロフォーサーズ機では重心が取れており持っていて外観やバランスの良さを感じることができます。
内部には2枚の「HOYA製超低分散レンズ」と言うコントラストや演色を強調するレンズが採用されており、羽根が13枚あるので絞ってもキレイなボケ感を演出可能。
マウントアダプタで変換して使ってみたいと思った方はこちらの記事が参考になると思います。
「50mm F0.95大口径レンズ」で撮ってみた!評価レビュー
実際に「OM-D EM-5 MarkⅡ」に装着してみた感じですがめちゃクラシックテイストのカメラとマッチして見た目がかっこいいです。
ここでは使ってみた評価レビューと気になったフロントキャップがはまりにくくなる現象をご紹介しておきます。
F0.95による被写界深度
日中に外に出て撮影してみましたが太陽に向けてF2.0やF4.0の開放気味にシャッターを切ってもフレアはわりと低減されていて、直線や扇状にキレイな虹色ゴーストが出現しました。
オールドレンズに比べてとてもゴーストの虹色が鮮明ですが、大口径レンズらしく日中に開放F0.95で撮るにはシャッタースピードを1/4000とか1/5000まで上げるかNDフィルターが必要ですね。
画角としてはAPS-C用レンズのため35mm換算すると75mm相当になるので、85mmの単焦点レンズや70mmレンズでポートレートを撮っている時の感覚に似ています。
錆びた水道のバックに住宅街や緑があったので絞りによる背景の描写を見てみましょう。
撮影に使用した「OM-D EM-5 MarkⅡ」は1600万画素、マイクロフォーサーズセンサーはフルサイズセンサーに比べてボケにくいことを考えても開放F0.95で撮ると背景はかなりボケています。
風景やポートレートで自然な奥行きを出すにはF2.8まで絞るのがおすすめ。
絞るにつれて被写界深度も濃くなりカメラボディの性能を考えると背景もキレイに描写されているのではないでしょうか。
センサーサイズについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
フロントキャップのスポンジが外れやすい
出典:OM SYSTEM
通常、レンズ前面にあるフロントキャップは上の写真のように、キャップ側面両側のボタンを押しながら取りつけたり外したりする場合が多いです。
「50mm F0.95」の場合はコスト削減のためなのか、レンズ前面を覆うようにパカっとはめるシンプルなキャップ。
しかし、これだけだとレンズキャップがすぐ外れてしまうため、キャップ側の底にテープ付けされたスポンジが貼り付けてあります。
この部分がレンズ面外側を圧迫する形で閉まるようになっていますが、何度も撮影のたびに付け外ししているとスポンジが潰れてしまいました。
これはもしかしたら試供品として少しフロントキャップに難があった可能性があります。
一度、取れてしまったキャップを再び修復することが難しく、自前でスポンジ移植するかなんらかの工夫をしないとレンズ前面を傷つけてしまう恐れがあります。
長く使っていく上ではちょっと残念かな?という印象があり、もっとコスト削減しつつも長く使える形状にして欲しいと思っていますね。
対応マウントはE・Z・X・M43・EOS-M
現在「50mm F0.95大口径レンズ」対応マウントは全部でE・Z・X・M43・EOS-Mの5種類のみ。(EOS-Mの取り扱いは国内なし)
全てAPS-Cレンズでフルサイズミラーレスとの互換性もありますが、Cannonユーザーには残念なことにCannonマウントは存在しません。
私もCannonフルサイズと接合するためのマウントアダプタを探しましたが製造されていませんでした。
対応機種は以下。
【富士フィルム】
X-PRO1, X-PRO2 X-E1, X-E2, X-E3, X-H1 X-T1, X-T10, X-T2, X-T3, X-T20, X-T30, X-T100, X-A1, X-A10, X-A2, X-A3, X-A5, X-A20, X-M1
【SONY】
FS7, FS7M2, FS5, FS5M2K, A7, A7II, A7R, A7RII, A7S, A7SII, A7III, A7RIII, A3000, A6500, A6300, A6400, A6000, A5100, A5000 NEX-3, NEX-3N, NEX-3R, NEX-C3, NEX-F3K, NEX-5K, NEX-5, NEX-6, NEX-7, NEX-5N, NEX-5A, NEX-5T, NEX-5C, NEX-5R
【Nikon】
Z5 Z6 Z6II Z7 ZFC
【M43(マイクロフォーサーズ)】
epm1, emp2, E-PL1, E-PL2, E-PL3, E-PL5, E-PL6, E-PL7, E-PL8, E-P1, E-P2, E-P3, E-P5, E-P6, E-M1, E-M5, E-M10, G1, G2, G3, G5, G6, G7, G9 GH1, GH2, GH3, GH4, GH5, GH5S GM1, GM5, GM7, GX1, GX7, GX8, GX9, GX85 GF1, GF2, GF3, GF5, GF6, GF7, GF8, GF9
出典:PRTIMES
上記のフルサイズセンサーカメラとマウントアダプタ経由で接続できますがレンズがAPS-C仕様のため、センサーが切り取られた写真になってしまうためどうしてもフルサイズで使いたい場合は現像トリミングする必要があります。
APS-C機やM43(マイクロフォーサーズ)機の場合はそのままレンズ規格にあったセンサーなので切り取られることはありません。
「50mm F0.95大口径レンズ」作例
撮ってみた感想で少し触れましたが明るいレンズの特徴で被写界深度がとても浅くなる傾向があるのでピントズレに注意が必要です。
このフェンスの作例を見ると分かりやすいですが、
手前から強烈にボケていますがピントが合っている手前の柱から半径10cmくらいのポイントはボケ始めているので人物被写体の場合は両目にピントを合わせるのは難しいかもしれません。
しかし、このレンズはあくまで夜間や暗い場所での撮影をメインとしているため、絞り開放による被写界深度の浅さやピントズレは問題ではありません。
ここでいくつか撮影した作例を見てみましょう。
1枚目はマイクロフォーサーズ機のピントリングを広角端にして、接写撮影できるという強みを生かしてみました。
2枚目は日中に開放F0.95で撮影してRAW現像ソフトでシャドウとハイライト側に赤色を入れていますが、淡い表現が似合いますね。
3、4枚目はF2.8でポートレート撮影した作例で、RAW現像ソフトで露光量を上げただけで夕陽が似合うとても柔らかい表現ができました。
描写もキレイでソフトフォーカスなこのレンズでは色んな表現ができると思いますがおすすめは「F2.0~F2.8」まで少し絞り気味にして撮る静止画、あるいは動画撮影にも最適ですね。
動画ではあえてピントがズレることでエモーショナルな動きやドラマチックな印象を受けるのでイメージ撮影やコンポジ、商品撮影にも合うでしょう。
【レンズ詳細はコチラ】
※この記事の執筆時点では国内でマイクロフォーサーズ対応「50mm F0.95大口径レンズ」は販売されていないようなので、もしかしたらこのレンズをマイクロフォーサーズ機で撮影したのは自分が最速かもしれません。
もうしばらく流通が安定したらマイクロフォーサーズ対応レンズは販売されると予想しています。
※追記:2022年3月時点ではAmazonでどの商品も在庫が安定しているようですね。Amazonの商品評価・レビューでも実際にユーザーの声が11件も掲載されており総合評価は「4.2」と高め。
このレンズに興味がある方はまずは一度、レビューをチェックしておくことをおすすめします。
「七工匠 50mm F0.95」の他者の評価レビューはコチラ⇒https://www.amazon.co.jp/
サードパーティ製レンズという選択肢
純正レンズは高級ですがそれに見合うだけの高い描写や信頼性、安定性があります。
しかし、サードパーティ製レンズも私が持っている中一光学のSpeed Master 85mmも純正レンズに負けない一級品だったのは実体験済みですし七工匠の50mm F0.95もかなり良い描写を実現できます。
作例では花やポートレートがメインでしたが、結論としてF0.95開放で撮るなら物撮り接写や夜景ポートレートがメイン、日中ポートレートだとF2.0~F2.8まで絞ると被写界深度も出ていい感じに仕上がりますね。
今回の私が使用したマイクロフォーサーズ機は1600万画素にもかかわらずこれだけの描写が可能でわずか3万円で購入できるというのは魅力的。
フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズ機と組み合わせれば無限の可能性があるものだと確信しています。
今回の記事が七工匠の単焦点レンズが安くて気になっているカメラマンさんの参考になれば幸いです。
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カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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