自然光で撮った写真はもっとも美しい1つ目の照明だった。屋外で曇りだった時の対処法も解説します。

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多くのカメラマンが日中に屋外撮影するとき写真に大きな影響を与えるのが”自然光”

光を生み出すストロボや定常光を使った撮影手法のハードルが低くなった今、改めて自然光の美しさを感じることがあります。

今回は年間50件以上のポートレート、商業、記念撮影をしてきた中で感じた自然光の特性を利用して上手に撮影する方法、曇りの時の対処法をご紹介します。

この記事を読むことで自然光の仕組みと利用方法と曇りの撮影アイデアを学ぶことができます。



自然光とは巨大な照明のようなもの

逆光シルエット

屋外で撮影するときに避けても通れないのが”太陽の光(自然光)”です。
 
 
屋内にいても外の天候が影響を与えることも多いため、私たちはこの自然光と上手に向き合っていく必要があります。
 
 

「 太陽光や月光などの自然に由来する光。特に、カメラやビデオカメラの撮影または照明技術でいう。

あらゆる方向の偏光面をもち、ある時間における振動の強さの方向分布が一様である光。」

出典:コトバンク

 
 
自然光にはいくつか種類があってその特徴は大きく分けて以下の2つ。
 
 
✔自然光の特徴
・硬い光(直進して当たる直射日光)
・柔らかい光(カーテンや窓ごしに当たる拡散光)
 
 
ご想像の通り「硬い光」では影が強く出て、高コントラストの写真になりやすい。
 
 
反対に「柔らかい光」は影が出にくく、低コントラストの写真になりやすいでしょう。
 
 

人物や建物など強いエッジを出してクールな印象を出したいときは硬い光がよく用いられます。反対に人物の肌がキレイに映り優しい印象を与えたい時に柔らかい光が活用されるのが一般的。

 
 
ストロボを使わない自然光下での撮影では撮りたい写真テイストにあわせて自然光を直接的に当てるか、街のビルやガラスに反射する拡散光を利用するか。
 
 
同じ自然光でも撮り方はさまざまですが次は自然光の種類を見ていきましょう。
 
 

https://muze-photography.com/wp-content/uploads/2021/07/おじさん 80x80.png

曇り空や雨空のときは、空が真っ白のディフューザー(光を拡散させる照明機材)代わりになるので美白効果が得られます。

時間別に見る自然光の種類

斜光のシルエット

光の種類については色んなところで紹介されているので敢えて細かくは説明しませんが、作例を見ながらおさらいしておきます。

注目して欲しいのは「時間帯」によって生み出されやすい光のシチュエーションが異なるため、撮影予定を組むときの参考になると思います。



日中の照り付ける順光

順光
出典:MyPocket

まずは一番の王道が被写体(対象物)に直接、自然光があたる”順光”
 
 
これは人物の場合、顔に全く影が出にくいことからプロフやコンポジ撮影では顔の真正面から一番強い光を当てます。
 
 
順光には以下のような特徴があります。
 
 
✔順光の特徴
・晴れの日中に出現しやすい
・変な影が出にくい
・人物のシワやニキビ跡が目立たない
・人物被写体はまぶしい
・立体感が出にくい
 
 
被写体だけでなく背景にも均等に光が当たっているため写真の中に影の割合が低く、全体的に立体感や奥行きが乏しい写真になります。
 
 
順光の作例は以下。

順光①

順光②
 
 
順光と言っても必ず自然光をカメラマンの背にする必要はないので、横から斜めから撮るとまた印象が変わってきます。
 
 

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窓が一か所しかない屋内だと窓側から順光が差してきてエモいですね。

朝陽や夕陽で生まれやすい斜光(半順光)

斜めの光
出典:MyPocket

朝陽や夕陽など太陽が低い位置にあるとき被写体(対象物)に横から自然光があたる”斜光”
 
 
建造物だと横に長い影が出てとても印象的な写真になることが多いですね。
 
 
斜光(半順光)には以下のような特徴があります。
 
 
✔斜光(半順光)の特徴
・朝夕に出現しやすい
・影を使った印象的な写真が撮れる
・人物の顔半分に当たる
・人物被写体はまぶしくない
・立体感が出やすい
 
 
人物や被写体とその背後にも色んな影が出るので立体感が出やすく、光と影のコントラストが生きやすい。
 
 
斜光の作例は以下。

斜めの光①

斜めの光②
 
 
人物の場合は顔の向きを変えるだけで順光→斜光と変えることができます。
 
 

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写真の光と影みたいな感じで作品的になりやすいですね。

快晴なら時間を選ばない逆光

逆光
出典:MyPocket

被写体(対象物)の背後から自然光があたる”逆光”
 
 
被写体の明るさが失われる代わりに世界観で魅せることが出来るおしゃれな撮り方です。
 
 
斜光(半順光)には以下のような特徴があります。
 
 
✔逆光の特徴
・快晴なら時間帯を問わず出現
・シルエット写真が撮れる
・人物の顔に光が当たらない
・人物被写体の顔が暗くなりやすい
・フレアやゴーストの干渉を受ける
 
 
フレア(レンズ内で反射して発生する光のカブリ)耐性の弱いレンズの場合、白くなりがちですがシルエットやはっきりとしたコントラストをつけることができます。
 
 
逆光の作例は以下。

逆光②

逆光①
 
 
ストロボを使わない限りで逆光で顔を明るくするのは難しく、特にスマホ撮影だと顔は真っ暗になりやすいです。
 
 

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ストロボがなくても大きなレフ板を顔の前で使えば影起こしすることができますね。

自然光を使って上手に撮影する方法

木陰のベンチ

自然光の特徴が分かったところで実際に撮影にどう生かすことができるのか見ていきましょう。

応用的に逆光、斜光、逆光を組み合わせて使うことができるので、色々な組み合わせを試してみるのもまた楽しみの一つですね。



”逆光”でエモい写真は正義

エモい写真は正義

「エモい写真」と言うフレーズとセットで有名になったのが”逆光写真”です。
 
 
何もストロボがなくてもレフ板や明るい単焦点レンズがあれば被写体の暗さをある程度まで解消することができるでしょう。
 
 
✔逆光でエモい写真とは
・自然光と人物に哀愁がある
・建造物のコントラストがノスタルジック
・感傷的な気持ちを揺さぶる
・もの悲しい感じがする
・ふと写真に目を奪われてしまう
 
 
要するに自然光をダイレクトに収めることができるので世界観が写真に加えられます。
 
 
そしてそこに写る”人””建物”の表情が物語を作り、見る人の心を揺さぶりやすい写真が生まれるでしょう。
 
 

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オールドレンズとエモい写真の相性が良い理由は昔のレンズは逆光耐性が弱いため写真内にキレイなフレア・ゴーストが生まれやすいからなんですね。

影を加えた”順光”は何より美しい

瞳を隠すモデル

普通の順光ならポートレートモデルの場合、眩しくて目を開けていられないもの。
 
 
そこで手を使って少し影を作ることでモデルさんの「眩しさを解消&印象的な影を作る」目的で順光に影をプラスしてみた写真です。
 
 
✔影を加えた順光写真とは
・肌の美しさはそのままに奥行きが生まれる
・とても印象的な写真になりやすい
・硬い光も利用できる
・カメラの露出補正を下げる必要あり
 
 
顔を手で隠す以外にも「しゃがんで顔を傾けて影を作る」「顔の前に草花を入れる」など工夫してみると良いシチュエーションを作ることができます。
 
 
建物が被写体の場合は順光が一番美しいですがカメラ側に影を作ったり、撮る角度を少し変えると印象的な写真になるでしょう。
 
 

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順光は日差しが強い日中よりも朝夕などオレンジがかっている時がもっとも美しいと思います。

暗い所と明るい所のコントラストを利用する

暗い所と明るい所のコントラストを利用する

室内や大きなビル群の近くには大きな影が出やすくコントラストが高い環境が生まれやすくなります。
 
 
いちごタルトの写真。室内で照明を消して木漏れ日を入れるため窓際で撮影したものですが、見せたいものにだけ光が当たることで目線誘導ができます。
 
 
✔コントラストを使った写真とは
・暗い所と明るい所が一目で分かる
・見せたいもの(テーマ)が伝わりやすい
・斜光と逆光が適している
・フリンジに注意
 
 
特に明暗差が激しい場合は被写体に緑やパープルのフリンジ(滲み)が出やすいので強い自然光の場合は注意が必要です。
 
 
街中や大きなビルが建っているところでは自然とコントラストがはっきりと分かれたシーンに目を奪われることがありますね。
 
 

https://muze-photography.com/wp-content/uploads/2021/07/おじさん 80x80.png

人間は写真を見るとき明るい所から暗い所を順に見る習性があるそうです。

お昼正午の撮影は避ける

お昼正午の撮影は避ける

お昼の正午あたりは太陽がちょうど真上の位置にくるため強い日差しが真下に向かって降り注ぎます。
 
 
人物ポートレートの場合は顔下に影が出やすくなり、極端な明るさでカメラの露出補正にも気を使うことが増えるでしょう。
 
 
✔お昼正午の撮影で起こること
・顔下に影が出やすい
・白飛びしやすくなる
・明るい単焦点レンズが使いにくくなる
・多くのカメラマンが嫌う真上からのダウンライト
 
 
室内照明で撮影すると暗い影が出やすくなりますがお昼正午あたりの自然光でも同じことが起こりやすくなります。
 
 
明るいだけならまだしも被写体の輪郭までボヤけてしまうので撮影は朝夕の自然光がもっともおすすめですね。
 
 

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クリエイティブな作業は脳みそが疲れていない午前中がおすすめです!私は午前中の撮影がもっぱら好きですね。

真夏はNDフィルターが必須

日差しが強い真夏の撮影では暑くて辛いだけならまだしも開放F値の小さい単焦点レンズだと確実に白飛びします。
 
 
F1.2の大口径レンズを炎天下の中で使うためにはシャッタスピードを1/1600辺りまで上げる必要が出てきますよね。
 
 
✔真夏はNDフィルターが必要な理由
・真夏の日差しは強烈
・シャッタスピードを下げられなくなるため
・大口径レンズには必須
・可変式NDフィルターなら露出補正しなくてもOK
 
 
可変式NDフィルターなら明るさ調整したいときシャッタースピード、ISO感度をそのままでリングを回せば減光調整ができます。
 
 
ただし、1000円ほどの安いNDフィルターは画がにじんでピンボケみたいに見えることがあるためKaniやKenkoがおすすめですね。
 
 

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NDフィルターで減光すると青味が残りやすくなりますが、この商品なら青味を抑制してくれます。レンズフィルター径によって商品が異なるためレンズのフロントキャップ裏を見て確認してからお買い求め下さい。

【KANI】レンズフィルター NDフィルター バリアブル 可変式 動画 ND2-64 (105mm)

せっかくの屋外撮影が”曇り”だった時の対処法

雨のマーク

例えどんなに晴れ男・晴れ女だったとしても日本の天気は晴れが6割、雨が1割、曇りが3割と言われています。

撮影を予定していた日が曇っていたり雨になることは誰にでもあることなので、延期にするのではなくその環境を利用した撮影に切り替えるのがおすすめ。

これまでの実体験から曇り天気だった時の対処法をご紹介します。



高コントラストよりも柔らかい光を利用する

前章で紹介したように曇り空は「ディフューザー(光を拡散させる照明器具)」のような働きをするためコントラストが強い撮影には不向きです。
 
 
マットな印象になるので柔らかい光を使った撮影に切り替えるのが鉄則ですが、
 
 

・美白効果があるのでポートレートなら顔アップの撮影
・光が拡散されているので森、川、竹林など暗い場所でも撮りやすい
・曇り空が映らないマクロ撮影
・光る電球や花火を使うとマットな曇りテイストが生きる

 
 
柔らかい光の使い方には上記のような方法があります。
 
 
ポートレート撮影なら顔をアップした写真や優しい印象、悲しい印象の写真に合いますね。
 
 
自然風景の場合は特におすすめは川・滝の撮影です。その理由は周りが落ち着いた静寂の世界になる、太陽光の反射がないため水流をキレイに撮ることができます。

屋内撮影に変更する

曇りの柔らかい光は屋外だけでなく屋内撮影でも活用することができます。
 
 
ポートレートなど人と待ち合わせ約束しているなら屋根がある屋内撮影に、1人なら室内で物撮りとかもおすすめですね。
 
 

・室内の窓際でマットな印象の柔らかいポートレート
・ゴチャゴチャしている街中の背景がマットな印象でまとまる
・日本庭園や日本家屋と、幻想的な柔らかい光は相性が良い
・マクロの物撮りと相性が良い

 
 
上記のような方法がありますが個人的には窓際での柔らかくて優しい表情のポートレートが好きですね。
 
 
また、商品やアート作品の物撮りしている人にとっては強い日差しより曇り空の方が光が均等に分散されるため撮影しやすいメリットがあります。

空を背景にしない

曇り空はただの虚無で真っ白なので基本的には曇り空をたくさん画角の中に入れることはありません。
 
 
意図的にそうしているなら良いのですがただ寂しい空の割合を多くするより、ハイアングルから地面や街を背景に撮影するのがおすすめ。
 
 

・どこから撮っても影が出ないのでどんなアングルでも挑戦できる
・淡い色の花や暖色を差し色で使う
・寝そべってポートレート撮影
・街や地面を背景にする

 
 
こうすることで「撮影日が曇りだったんです」と言い訳できなくなるので、自分の引き出しを増やすことができますね。
 
 
敢えて「曇り空」じゃないと映らない世界観を撮れればその一日はムダにならないし、心まで曇り模様になってしまっては意味がありませんから。

自然光のような照明でライティング撮影

暗い所でストロボ撮影

自然光を上手に使えば色々な撮影ができるということが何となくお分かり頂けたかと思いますが、慣れてきたら次はストロボを使ったライティングをおすすめします。
 
 
光は足し算であるように自然光の特性を知ってからそこに足りない光を1灯、2灯と足していくことで表現の幅は広がります。
 
 
✔ライティング撮影で実現できること
・逆光下でもモデルさんの顔を明るくできる
・室内でも顔に印象的なエッジを作ることができる
・暗い環境でも被写体だけを目立たせる
・バックライトで輪郭を際立たせることができる
・Photoshopで切り抜きするならライティングが必須
・光の質感を自分で作れる
 
 
と、まぁできることが増える代わりに機材を集める予算や、撮影時の手間は増えることは間違いありません。
 
 
しかし、私たちが普段何気なく見ている雑誌やグラビアページは自然光のように見えて実は「ライティング」によって生み出された光であることが多い。
 
 

忙しい芸能人のスケジュールを抑えた撮影日が必ず”晴れ”であるとは限らないからですね。天気予報は晴れでも曇りや雨になることだってあるわけです。

 
 
そんな状況でもひるまず撮影できるのはライティングという自然光のような人工照明があるからなんですね。
 
 
照明には瞬間光のクリップオンストロボと定常光を出すモノブロックと言う2種類がメジャーですが、その辺りは下の記事で紹介しているので興味ある方はご覧下さい。

自然光はもっとも美しい1つ目の照明

美しい夕日

今回は自然光の特性を利用して上手に撮影する方法、曇りの対処法をご紹介してきました。

もっともお金がかからず美しい光は常に世界を照らしていて、その自然光を利用することはとても自然の摂理だと思います。

自然光の日中のような明るさだけでなく朝陽、夕陽、曇り、雨とそれぞれに特徴があるので、上手に活用して素敵な写真を撮っていきたいですね。

今回の記事が自然光の特性や活用方法を知りたいと思っているカメラマンさんの参考になれば幸いです。



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