被写体モデルさんと2人でポートレート撮影していると、特に初めましての場合はモデルさんだけでなくカメラマン側も緊張しますよね。
「ホントはもっとこうして欲しかったんだけど」
「笑顔の表情も欲しかったなぁ」
など上手にコミュニケーションできない方の場合、撮影後に後悔するカメラマンさんも多いのではないでしょうか。
今回は年間50件以上ポートレート撮影や商業撮影をしている私が上手にコミュニケーションとれないカメラマンさんにおすすめ5つの会話術をご紹介します。
この記事を読むことで緊張するカメラマンさんの不安を取り除き、思い通りの撮影ができるモチベーションを身に付けることができます。
カメラマンもモデルもガチガチに緊張!まさにカオスです
ポートレート撮影自体に慣れてきた方でも初めましての被写体モデルさんだと緊張はするもの。
私もいまだにすごくお顔立ちが整ってて見るのも眩しいようなモデルさんだとなおさら上手く喋れなかったりすることがあります。
撮られるモデルさん側も慣れてないカメラマンさんだと不安や緊張を感じるように、カメラマン側も緊張で思っていた半分しか取れ高なかったという話しもよく聞きますね。
カメラマンが緊張してしまう要因としては、
・女性と話すのが苦手
・モデルさんが美少女
・撮影経験が少ない
・良い写真を撮れる自信がない
・共通の話題がない
・沈黙が沈黙を呼ぶ
かく言う私もカメラを始めたちょうど去年の今頃に初めてポートレート撮影を体験しました。
女性と話すこと自体は苦手ではないのですが良いロケーションを見つけられなかったりシャッターを切るときは無言でモデルさん側はさぞ不安を感じていたと思います。
2時間ほどの撮影で良い写真は全然撮れていなかったのですが最後モデルさんが「取れ高は大丈夫ですか?まだ私は時間大丈夫ですよ」と気を使って貰ったことも鮮明に覚えています。
この場合は慣れているモデルさんだから初心者カメラマンの自分をフォローできたわけですが、カメラマンとモデルどちらも全くの初心者だとなかなか撮影は難航するでしょう。
慣れてないカメラマンさんは撮影慣れしている有償モデルさんと、初めて被写体デビューするモデルさんは魅力的な写真をたくさん撮ってるプロフォトグラファーにお願いすると良いと思います。
モデルさんと上手にコミュニケーションとれないカメラマンさんにおすすめ5つの会話術
ここからは具体的にモデルさんと上手にコミュニケーションとれないカメラマンさんにおすすめしたい5つのコツをお伝えします。
カメラマンは現像した「写真=結果」にこだわりますが、被写体モデルさんは「写真=結果」だけでなく「撮影自体=課程」も楽しみたいと思っている方が多いように感じます。
その辺りも踏まえて被写体モデルさんをもてなす気持ちやサービス精神はとても大切なポイントだと言えますね。
①モデルさんの好きな物や関心事をリサーチしておく
インスタやTwitterなどSNSを通じて撮影依頼することが多いと思いますが、誰にでもカンタンにできるのが「相手の好きな物や関心事をリサーチしておく」こと。
顔や雰囲気ばかりに目がいきがちで意外とおろそかにするカメラマンさん多いのですが撮影当日のコミュニケーションで知り得る情報には限りがあります。
事前にリサーチしておくと話題作りにも困らないし時には「じゃあ、その柱をお兄ちゃんだと思ってギュっとして!」と場が和むような指示を出すことにも繋がります。
先日撮影したモデルさんは兄妹大好きなのをリサーチで知っていたので現場でとっさの指示によって、初めましてとは思えないとても柔らかい笑顔を引き出すことができました。(もちろん撮られ慣れているのもありますが)
どんな歌手やタレントが好きで、アニメの何が好きとか知ってるだけで会話に困らないので1時間以上の長い撮影のテンポも良くなると思いますね。
②撮影に入る前にイメージのすり合わせを行う
カメラマンさんがどんな写真を撮りたいのか視覚的にイメージを共有することはとても難しいもの。
関西写真部SHAREのWEBサイト上でも運営者の小野友暉さんが
「ポートレートカメラマンにとって、モデルとの撮影前の打ち合わせは、撮影のクオリティを左右する非常に重要な時間になります。」
このように述べていることからポートレートカメラマンにとって重要な共通認識であることが分かります。
しかし、打ち合わせなしに撮影スタートしてしまうとただゴールもないマラソンのようなもので力加減もモチベーションもいまイチ上がりませんよね。
撮り慣れていないカメラマンさんの場合、そもそもゴールとするプロが撮った写真の中から選んでマネして撮るのが一番てっとり早いです。
「こういう感じの写真を撮りたいと思っています」
「表情はこれみたいにクールな表情でお願いします」
そうスマホを見せながら伝えるだけでもモデルさんも表情に対する意識が変わってくるので、簡易的でも良いので必ず撮影に入る前にイメージのすり合わせを行いましょう。
③沈黙にならないよう心掛ける
いざ撮影スタートすると慣れないうちはどうしてもロケーション決め、構図決め、ポージングと考えることが多いので沈黙になりがちです。
シャッターを切っている時も多くの人は無口になりやすいという傾向があるそうですね。
沈黙が長いとモデルさん側も今の状況が「あっ、上手く撮れないのかな」「私のポージングって、、変?」など不安になります。
私は撮影中も雑談しながら良い表情や動きがあった時にシャッター撮るくせがついているので、モデルさんがガチガチに緊張した写真はあまり見なくなりました。
撮影イメージがクール系とかなら沈黙でも良いのかもしれませんが笑顔や自然な表情を撮りたいのであれば、沈黙は沈黙を呼ぶだけなので改善しましょう。
撮影しながら雑談が難しいよ!という方はモデルさんの仕事や恋愛観について質問を投げかけてあげると色んな表情を見せてくれるのでおすすめですね。
④撮影中はとにかく褒めて不安にさせない
日本人はまぁとにかく私も含めて褒めるのが下手くそな人種です!
ある意味ハードルが一番高いように思えるかもしれませんがこの辺りは「慣れ」だと思いますね。
先ほども不安については少し触れましたが不安や負の感情はモデルさんの表情や口角に現れるので、ポートレート撮影時に「不安」はいらない要素です。
ポージングや顔の角度が良かったときはすぐ口に出して「今の良いよ!最高!」と褒めてあげましょう。
純粋に褒められると嫌な気持ちになる人はいないと思うので褒めながら腕の角度が今イチだったら「今の良かった!次は腕を曲げてみようか!」とスムーズに修正すると良いでしょう。
相対的にモデルさんよりカメラマンの方が年上である場合が多いため、その辺りはおじさまとしての余裕が欲しいところですね。
ちなみに私の撮影中の口グセは「良き、良き」だそうです。無意識なんですが褒めようと言う気持ちがこぼれちゃってるのかもしれません。
⑤撮影終了時刻を決めてスタートする
撮影や会話テクニックを伝える情報が多いなかで「撮影の時間」に言及する記事はこの記事だけだと思うのですが、皆さん撮影開始時刻は考えていても「終了時刻」をしっかり決めていますか?
決められた環境と時間の中で取れ高を確保する商業カメラマンは当たり前に持っているスキルですが、時間管理ができるようになると時間の浪費を防ぐことができます。
私は時間を決めずにダラダラと撮っても絶対に良い写真は撮れないと思っているのですが、終了時刻を決めずに撮るのはアイデアとモチベーションを浪費するだけです。
例えば「毎日好きなだけTVゲームして良いよ」と言われたらその日は好きなだけするけど次の日、また次の日となるにつれてモチベーションは下がっていきます。
なぜならいつでもゲームができるから時間を気にする必要がない、わけですね。
反対に「ゲームは一日2時間だけ」と言われたら貴重な2時間をムダにしないよう、事前にしっかりリサーチして万全の態勢でゲームに向かうはずです。
さらに翌日のゲームができる2時間に対するモチベーションも高まり限られた時間で計画的に進めるにはどうしたらいいか?と考えるため時間効率も良くなるでしょう。
趣味の撮影であっても「終了時刻」までしっかりと決めてモデルさんにも伝えておくと一緒にゴール設定を共有できるのでおすすめですね。
それでも緊張が取れない方向けとっておきの秘策
前項でお伝えした上手にコミュニケーションとれないカメラマンさんにおすすめ5つの会話術を見ても「いや~私にはムリだ」と感じた方には”物”を利用してスムーズに撮影できる方法をご紹介します。
どんなロケーションでも通用するわけではありませんが、ちょっとしたグッズやアイテムがあるだけで大きく改善する可能性はあります。
リラックスできるBGMを流す
これは私も初心者モデルさんを撮るときは緊張をほぐすため実践しようかなと思っているのですが、YoutubeでリラックスできるBGMを流すという方法。
音楽によってはリラックス効果や集中力を高める効果があるわけですがこれはもちろん人混みの多いところや公共施設ではなく、自然の中での撮影しているときが条件になります。
おすすめはキャンプ用としても人気の高いSONY製のBluetooth型ワイヤレススピーカー。
重低音や中高音の音の使い分けもしっかりされており防水・防塵対応(IP67対応)対応なのである程度の自然環境下でも問題なく使用できます。
フル充電なら約16時間も再生可能で、小型軽量なので撮影時の荷物にもならないのでおすすめですね。
≫ソニー ワイヤレスポータブルスピーカー: 防水 / 防塵 / Bluetooth対応 / 重低音モデル 軽量 コンパクト 2019年モデル / マイク付き/ブラック SRS-XB12 B
100mm以上の望遠レンズで遠くから撮る
どうしてもモデルさんと話すことができないという究極の人見知りさんにおすすめするのは望遠レンズで遠くから撮るという方法があります。
焦点距離100mmレンズになるとモデルさんから4~5mは離れないと全身撮影することができないため詳細な指示ができなくなる半面、あらかじめイメージを伝えておけば小まめなコミュニケーションを取る必要がなくなります。
これが最善の方法だとは思っていませんがまずはモデルさん(女性)に慣れることから始めたいと思っている方にはおすすめ。
ポートレートでは85mm、100mm、135mmが好まれることが多いですが、顔アップの寄りで撮るときもそこまで近づかなくても撮れるのでそういう使い方もアリですね。
望遠レンズだとF1.2とか明るい単焦点レンズよりはどのメーカーでも安い傾向があるので、ねらい目かもしれません。
ちなみにCannonの「EF100mm f2.8 マクロ」は市場価格が下がってきており、割と明るいLレンズながら10万円前後なのでCannonユーザーで望遠が欲しいと思っている方にはおすすめですね。
≫Canon 単焦点マクロレンズ EF100mm F2.8L マクロ IS USM フルサイズ対応
モデルさんとパーティーゲームをする
モデルさんの笑顔や色んな表情を撮りたいけど「どうやったら引き出せるんだろう?」と悩んでいる方にはパーティーゲームがおすすめ。
卓上のパーティーゲームはたくさん種類がありますが一番おすすめなのが誰でもカンタンにできるハラハラドキドキの「ジェンガ」やジェスチャーで伝える「ボブジテン」。
ジェンガはお馴染み交互にバランスを取りながら棒を抜いていって崩した方が負けというシンプルなルール。
モデルさんが抜くターンにカメラを構えれば真剣に見つめる表情、抜いたときのホッとした表情、崩れてしまったときの笑顔など色んなバリエーションを収めることができます。
持ち運びも楽で場所も取らないので室内でも屋外でも楽しめることが間違いなしですね。
ボブジテンは最近メディアで取り上げられたりしてご存知の方もいるかもしれませんが外来語(カタカナ)のお題を、外来語(カタカナ)を使わず説明して、他の人に当ててもらうと言うルール。
このゲームの面白いところは「ジェスチャー」で説明する「デイブ」が登場した時はジェスチャーだけで相手に伝える必要があります。
モデルさんがデイブを引いたら面白いポーズや可愛い表情のジェスチャーは絶好のシャッターチャンスで、自分がデイブを引いてしまったらちょっと恥ずかしいかもしれませんが場が和むこと間違いなし。
コミュニケーションを意識せずとも勝手にコミュニケーションを図れるパーティーゲームはカメラマンとモデル双方に良い効果をもたらしてくれます。
これはNG!モデルさんへの誤った指示の出し方
最後にこの指示の出し方はNG!と思う誤ったし指示の出し方をご紹介しておきます。
ついつい撮影に夢中になってしまうとモデルさんへの要求が高くなってしまうことがありますが、あくまでも撮らせてもらってるという気持ちで相手に敬意を持って接することが重要かなと思います。
欲しいポージングを強要しない
ポージングに慣れていない人だけでなくカメラマンのこだわりが強ければ強いほど慣れたモデルさんにも細かい指示が飛ぶことがあります。
その人の特色と言えるようなお決まりのポージングをさせるカメラマンさんがいますが、これはモデルさんの同意があって初めて成り立っています。
自然や風景を撮るなら気が済むまでこだわれば良いのですが「人 対 人」のポートレート撮影では、どちらか一方の熱意だけ強くても良い作品は生まれません。
あくまでもモデルさんの気持ちを考えながら仕事ではなく趣味の撮影であるほど、ポージングは強要せずその人に合うポージングを一緒に考えてあげる方が好まれますね。
「笑顔で!」と怖い顔でカメラマンが言う
人間には相手に同調したりその場の空気を読んで順応する力が備わっていますよね。
面白いことに笑顔が引き出せないカメラマンほど「自分が笑っていない」ということがよくあります。
不思議なことにガチガチに緊張してるカメラマンならモデルさんも緊張で顔がこわばっていて、カメラマンが大笑いしている現場ではモデルさんも笑顔が絶えません。
ムスっとした顔で「笑顔で!」と言われても女優じゃない限りムリなので、欲しい表情があったらカメラマンが率先してやることで相手は同調してくれると思います。
まずはカメラマンが欲しい表情をモデルさんが自然と出せる”領域展開”すると良いでしょう。
「そうじゃなくて~」と否定するセリフを吐かない
人それぞれ自己肯定感の高さは違うものですが褒められて伸びる人もいれば、悔しいセリフを言われたら「くっそ~負けるか!」と燃える人もいます。
関係性が深い仲なら引き出すためにあえてダメ出しするという選択肢も生まれてきますが、ポートレート撮影では関係性が浅いケースが多いと思います。
基本的には、
「けなす ✕」「ダメ出し ✕」「不満を言う ✕」「グチる ✕」
「褒める 〇」「伸ばす 〇」「良いと思ったら口にする 〇」
負の感情は伝染するので否定をするより「褒める」ことに特化した方が良いでしょう。
これができるだけでもカメラマンの第一印象が良くなるので2回目、3回目と撮影をさせて貰えることが実体験として多いですね。
コミュニケーションが上手にいく秘訣はテンポや自分が楽しむこと
今回は上手にコミュニケーションとれないカメラマンさんにおすすめ5つの会話術やNGのモデルさんへの指示の出し方をご紹介しました。
人気のあるカメラマンさんというのはたいがい「褒め上手」「良いところを伸ばす」と言った能力を持っている場合がほとんど。
コミュニケーションを取ることに苦手意識をもっている方も多いですがちょっとしたリサーチから話題作りしたり、BGMやパーティグッズを活用することでモデルさんの色んな表情をカンタンに引き出すことができるようになるでしょう。
自分も楽しみながらそんな成功体験を重ねていけばどんな性格のモデルさんと撮影機会を貰っても対処できるようになると私は思っています。
被写体モデルさんと上手にコミュニケーションがとれるようになりたいと思っているカメラマンさんの参考になれば幸いです。
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カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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