いつもファインダーを覗いて撮影するときは右目と左目どちらを使っていますか?
世の中の大半以上は効き目である「右目」でカメラファインダーを覗き、左目はつぶって撮影することが多いのではないでしょうか。
しかし、どこの公式サイトを見てもカメラファインダーをどちらの目で覗くことが正しいのかルールはありませんが、実は使う目によって脳と大きな関わりを持っています。
今回の記事では右目と左目にどんな違いがあるのか?そして私も片目ばかり使い過ぎることでよく陥ってしまう「撮影後のフラフラやめまい」と言った症状の対処法、年末に汚れがたまったファインダーの手入れをご紹介したいと思います。
今回の記事を読むことで無意識でやっていた基本動作を見直すことができ、また撮影後の体調不良への対処法を学ぶことができます。
カメラのファインダーとは?
カメラのファインダーとは皆さんご存知、一眼レフやミラーレスカメラには必ず付いている光学式ビューファインダーのこと。
一眼レフカメラ(ミラー付き)を使っている方の場合はOVF(光学ファインダー)と呼ばれるミラーを屈折させて映る画像を覗いていますが、ミラーレスカメラの場合はセンサーに映った画像をそのまま投影したEVF(電子ビューファインダー)で覗いています。
それぞれの特徴をおさらいしておきましょう。
OVF(光学ファインダー)
OVF(光学ファインダー)は上図のようにレンズから入ってきた情報を内蔵されたミラーに反射させることでファインダーでその像を確認することができます。
少し前の入門機~ミドルモデルで多く採用されておりファインダーに映る像が小さく見えるなどデメリットもありますが特徴は以下。
視野率:90~100%
ファインダー倍率:0.5~0.75倍
眼精疲労:あまり疲れない
消費電力:少ない
タイムラグ:少ない
マニュアルのピント:難しい
印象としてはたくさん撮影してファインダーを覗いても疲れにくい傾向がありますが、小さく見える倍率やマニュアルレンズのピント合わせなど正確性に欠けるファインダーと言えるでしょう。
またこのタイプはミラーを内蔵していることやフランジバック(レンズマウントからセンサーまでの距離)の関係で重量のある大型タイプが多いですね。
EVF(電子ビューファインダー)
最近のミラーレスカメラにはこのEVFが標準搭載されていますがミラーが内蔵されてないためレンズから取り込んだ情報はイメージセンサーを通して像を電気信号化し、制御盤を通して電子ビューファインダーに投影しています。
機能的にはOVFと比べてこちらの方が高性能ではありますが以下のような特徴があります。
視野率:100%
ファインダー倍率:拡大表示可
眼精疲労:とても疲れる
消費電力:多い
タイムラグ:少ない
マニュアルのピント:簡単
視野率100%でメガネをかけていて四隅がケラレて見えにくい場合はファインダー倍率を上げることで見やすさを改善することができます。
またマニュアルレンズとの相性もよくMFピーキングやピント拡大で簡単にピント合わせができるためオールドレンズが流行した背景にはEVFの存在があったのではないでしょうか。
デメリットとしてはとても目が疲れやすいことやOVFと比べて消費電力が多いので予備バッテリーを持っていることが必要不可欠です。
自分の効き目はどっち?効き目と脳の関係
「皆さんの効き目はどちらですか?」
この記事を読んでいる方はカメラをすでに持っている方が多いと思うので初めてカメラを手にしたとき「どっちが覗きやすいかな?」と試して効き目が右か左か分かっている方が多いでしょう。
よく「左手」が利き手の人は直感的・独創的・記憶力がすごいと言われていますが、効き目に関しても脳と深く関わりがあります。
≫1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き――「選ばれた才能」を120%活かす方法
効き目の違いによってどんな特徴があるのか面白い資料を見つけたので引用しておきます。
【脳の特徴】
効き目が左(右脳派):直感や芸術的感覚が優れています
効き目が右(左脳派):言語と理論でじっくり考えることに優れています出典:うしく整形外科クリニック
恥ずかしながら私は直感的に撮っているタイプだと思っていましたが効き目が右(左脳タイプ)なので「直感的に撮っている」という理論をハナから持っていただけの可能性が、、
ちなみに右が効き目の場合、対象物に焦点を合わせるとき右目軸で捉えてしまうため頭を左に振ることで右首や肩が緊張状態になり右肩こりが起こりやすくなるようです。
反対に左が効き目の場合も反対のことが起こりやすいので理想としては状況に合わせて「右と左の使い分け」がポイントになります。
効き目が分からないという方はこちらの簡単なテストで適性を見つけることができます。
①2~3m先にある遠くの物体を見て下さい
②その物体を見たまま物体を指さししましょう
③その状態で右・左と片方の目を閉じてみます
④物体と指が一致している方が効き目
知らず知らずのうち日常生活で効き目を使っているのでこのテストをしている時点で無意識に効き目にピントを合わせている、という訳です。
あくまでもここで紹介した特徴は傾向であって効き目が左だから左脳が全然働いてないか?と言われるとそうではないと思うのでこの限りではありません。
カメラのファインダーはどちらの目で覗くのが正しい?
前章では効き目と脳の関係をご紹介しましたがそれでは実際に撮影するときにどっちの目が使うのが良いのでしょう?という話しです。
カメラマンは独創的で孤高の存在に憧れる人が多いので迷わず「効き目を左目(右脳タイプ)にしよう!」と考える方が多いと思います。
ですが、左目ばかり酷使することは長い目で見ると良くないので片目と両目のケースもそれぞれ特徴を知っておきましょう。
右目で覗く場合
多くの人が効き目は「右である」というデータが出ていますが、無意識にカメラを初めて手にした時から右目で覗く(左脳タイプ)人が多いのではないでしょうか。
右目軸でファインダーを覗く場合は左脳が優位に働きやすくなるため写真全体の構図や被写体の配置を強く意識しやすいと思います。
またモニターよりファインダーを片目で覗いた方が細かいピント合わせがしやすく、背景のボケ感もその場で確認しながら撮りやすいと思いますね。
ただし、左側にこれ以上いけない壁や柵がある場合は右目しか使えないと撮りにくかったり不便を感じることがあるでしょう。
左目で覗く場合
「左が効き目」という方の割合は少数派ですが皆さんの周りには左目でファインダーを覗くカメラマンがいるでしょうか。
このタイプは右脳が優位に働きやすくなるため正中が整った写真というよりその時の直感でカメラを構える傾向があります。
こちらも右目と同じように細かいピントチェックや背景のボケ感、また左側に障害物があっても邪魔にならない利点があります。
あと例外的ですがCannonのミラーレスカメラの場合、EVFの右側に接眼センサーが付いていてこのセンサーに顔が近づいたときEVFが起動する仕組みになっています。
効き目が右だと接眼センサーが耳側になってしまうため頭を左に振って右目を押し当てるようにEVFを覗かないと反応しませんが、左目の場合だと接眼センサーが鼻の位置にくるので真正面を向いたまま撮影できる利点がありますね。
両目でファインダーを覗く場合
この使い方をする方は少ないかもしれませんがファインダーを覗くときは片方をつぶらずに両目を開けたまま撮影することができます。
私もたまーに使う程度ですがしっかりとした足場があって落ち着いて撮影できる環境では片目で撮影して、不安定な場所や人通りが多い場所では片目をつぶっているとぶつかってしまったり周りが全く見えなくなるので身の危険もあるでしょう。
効き目をファインダーにあててもう片方の目はリアルな世界を覗いているわけなので、ファインダーの四隅が見にくいといった欠点はありますね。
この撮り方は早い俊敏に動く被写体(野鳥、カーレース、昆虫等)を写すときに有効で、被写体を見失わないように撮ることができるのではないでしょうか。
個人的には片目との併用して両目で写真構図と周りを把握したらシャッターを切る瞬間だけ効き目じゃない方をつぶる撮り方がおすすめ。
両目で液晶モニターを使う場合
記念撮影や建物を下から撮影するときに有効な方法で液晶モニターを見ながら撮影するという方法があります。
最近のデジタルカメラはバリアングル(横開きで上下方向に回転)やチルト(上下方向に回転)が主流になっており、Vlogや動画撮影するカメラマンはこの液晶モニターを使って撮影する方が多いのではないでしょうか。
最近、私も静止画でこの撮り方をすることが多いのですがまずファインダーを覗いて構図や配置を決めたらそのままファインダーから顔を離して液晶モニターと被写体をチェックしながら撮影しています。
そうすることで目視で被写体の細かい部分を確認できるので写真全体のディレクションをする意味でも有効かなと思っていますね。
デメリットとしてはEVF(電子ビューモニター)を使うより消費電力が大きいので撮影時にはバッテリー切れに注意が必要です。
片目と両目のメリットとデメリット
片目と両目のケースをそれぞれ紹介してきましたがメリットとデメリットを分かりやすく体系的にまとめておこうと思います。
それぞれ良いところと悪いところがあるのでそのロケーションや環境に合わせて使い分けるのがおすすめ。
片目で覗く場合は高い集中力と繊細さを追求できる
まずは片目(右・左)でファインダーを覗いて撮影する場合。
メリット | デメリット |
集中力が高まる | 構図が決めにくい |
細かいピントチェックが可能 | 客観的な視点がなくなる |
背景ボケ感をチェックできる | 目が疲れやすい |
四隅までしっかり確認できる | 周りの障害物に気付かない |
マニュアルレンズが使いやすい | 人通りが多い場所では撮りにくい |
片目でファインダーを覗くときは繊細な作品撮りや安定した撮影環境で行うと良いでしょう。
両目を使う場合は客観的な視点と構図が冴える
両目を使う場合はファインダーを覗く場合、そして液晶モニターを使う両方のケースがあります。
メリット | デメリット |
構図が作りやすい | 細かいピントが見えない |
客観的な視点がある | ボケ感や色味が分かりにくい |
片目だけの負担が少ない | マニュアルレンズは難しい |
人通りが多い場所でも撮りやすい | 集中力が欠ける |
マニュアルレンズが使いやすい | 四隅にケラレが出やすい |
両目を使って撮影するときはピント合わせが困難になるためマニュアルレンズはほぼ使えないと思いますが、Vlog的な撮影や片目で細かいボケや色味のチェックをしてから併用すると良いでしょう。
撮影中に目がぼやけたり体調不良が起こった時の3つの対処法
この記事を書こうと思ったキッカケでもあるんですが毎日のように2時間~3時間と撮影していると気分が悪くなったり、フラフラするようなことがあります。
特に片目でファインダーを覗いている時やその直後に起こりやすく同じような経験をした方もいると思いますのでその際の対処法を載せておきます。
マクロ撮影やマニュアルレンズでピントを合わせた直後は息することも忘れてしまうことがあると思いますので腹式呼吸も身に付けると良いでしょう。
対処法①目を休ませる
まず第一にできることは「目を休ませること」。
EVF(電子ビューファインダー)は高画質であるがゆえに目が疲れやすいというデメリットがあり、長時間片目でファインダーを覗き込んでいると使っている目には大きな負担がかかります。
私たちの目もピント調整機能があって片目だけ使っているとピント調整にズレが生じて、壊れたAFレンズのようにピント合わせに迷ったり視力低下にも繋がるでしょう。
まずはしっかりと休ませて片目だけの撮影に慣れてしまっている人は両目を使ったり、構図は目視で作るなど工夫することで向き合っていくしかないと思います。
視力回復の本などによく載っているピント調整の訓練法(親指を立てて近くの親指と遠くの景色を交互に見る)も役立つのではないでしょうか。
対処法②適度に休憩をとる
長時間におよぶ撮影でも適度な休憩はおろそかにしがち。
女性モデルさんを呼んでいるときは撮影できる時間に限りがあったり有償モデルならギャラも変わってしまうため焦る気持ちがあると思うのですが、目や頭が疲弊した状態ではあまり良い写真は撮れないんじゃないかと思います。
1時間の撮影の合間に10分ほどは休憩をはさむようにしてその時間はモデルさんとコミュニケーションを取る時間にしたりおしゃべりして過ごすとムダな時間にならないのではないでしょうか。
繊細な撮影をしているときは呼吸することも忘れてしまうようなシーンがあるものですが、口呼吸だと肩が上がってカメラも動いてしまうため鼻から息をする腹式呼吸を身に付けると良いですね。
対処法③その場から動かない
撮影直後にめまいやフラフラに見舞われたときはその場から移動することを控えましょう。
私も今年何度かありましたが平衡感覚がボヤっとしてしまうので歩いていると階段を転げ落ちそうになったり障害物にぶつかってしまいそうになるのでその場にジッとしているのがおすすめ。
特に車移動が多い地域では酔っ払っているのと同じ状態なので危険があるため落ち着くまでは絶対に運転は避けましょう。
身に危険があると撮影すること自体が悪い記憶になって写真をやめてしまうことにも繋がりかねないので撮影時間や予定調整などマイルールを作っておくと良いでしょう。
ファインダーがぼやける時はゴミや汚れを掃除をしましょう
愛機を使っていると液晶モニターやレンズ面はお手入れするけどファインダーはお手入れしていないという方がよくいます。
チリや埃がたまるとファインダー内部にゴミが侵入して故障の原因になったりファインダーがぼやけて撮影にも支障が出るため1カ月に1度はメンテナンスすることをおすすめしますね。
カンタンに出来るファインダーのお手入れ方法をご紹介しておきます。
専用ブラシで小まめにゴミを除去する
ファインダーは四隅を囲った形状からどうしても埃やチリが溜まりやすい環境になっています。
また、屋外に持ち出したときに砂や鹿児島では特有の灰が付着することもありますが、一番良い方法はとにかく小まめに撮影のたび、毎週1度はブラシで除去することをおすすめ。
目に見える小さいゴミはまだ良いですが微粒な埃が内部に入り込んでしまうと映りに影響したり、自分で対処することが困難になります。
業者に修理依頼すると高額になるため一番ベストはコツコツと手入れをすること。
掃除用のブラシは安価なものでも毛先が柔らかければOKなので息を吹きかけて大きなゴミを飛ばしたらこのブラシで軽くケアするのがおすすめですね。
このブラシがあればまとめてレンズ面も拭くことができるのでとても重宝します。
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綿棒で四隅を拭く
ブラシでチリや埃を除去できますが皮脂や油がこびりつくとファインダーの四隅がぼやけてしまうことがあります。
ファインダー汚れだけの場合は写りに影響しませんがとにかく見えづらくなり、専用クロスでもキレイに除去できないので「綿棒」を使って除去するのがおすすめ。
綿棒は100均でも良いので水で湿らせたらしっかりと絞って、四隅のこびりついた汚れを除去していきましょう。
濡らしすぎると内部に水漏れする危険があるためしっかり絞ってから使用することで対処できます。
くれぐれもブラシでチリや埃を除去してから使用しないと綿棒で傷をつけることになるので注意しましょう。
カメラのファインダーを覗くのは右目と左目の両方使いが最強!
今回はファインダーを効き目である「片目」と液晶モニターを使った「両目」の使い方や脳への関連性、酷使し過ぎてフラフラする時の対処法についてご紹介してきました。
結論として言えることはあらゆるシーンを考え長く撮影を続けていくためには「どちらの目も同じくらい使えることが大事」かなと思っています。
優れたサッカー選手でも利き足しか上手にパス・シュートできないなら価値がないので両足使える練習をしていますし、両方使えるようになればそのアドバンテージを手に入れることができるでしょう。
カメラも同じで右目で撮った方が良いシーン、左目で撮った方が良いシーン、両目の方が良いシーンはあると思います。
撮影の知識だけでなく腹式呼吸など体全体を使った撮影にシフトしていくと心身共に写真にコミットできる気がしています。
初めは効き目じゃない方だけつぶることすら難しいと思いますが、来年からの新たな挑戦としてトライしてみることをおすすめします。
今回の記事がどっちの目でファインダーを覗くのが正しいのかな?と思っている方の参考になれば幸いです。
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