水族館って暗いから上手に撮れない
今回はこんな方向けの記事になります。
水族館の色彩豊かな魚やクラゲを自分のカメラに納めたい!そう思ってもなかなか思うように撮れなかった経験ってありませんか?
今回はカメラを始めて半年でプロモデルやテレビ局タレントを撮影した私が、水族館の写真撮影が上手になる6つのコツと設定方法、水族館ポートレートを上手く撮る方法をご紹介します。
この記事を読むことで初心者の方でも、あまりお金をかけずに上手に撮ることができるようになります。
水族館は夜景撮影と似てる!?
水族館と夜景の撮影には一定の共通点があります。
まとめてみると、
・全体が暗い
・光が少ない
・ピントが合わせづらい
・光の明暗差が大きい
高層ビルや建造物が美しいフォルムにライトアップされる夜景、ドラマチックな光の演出が多い水族館。
条件としては同じように見えますが実は撮影時に、大きな違いがあります。
それは被写体が動いているかどうか。
暗い場所では露出アンダーになりがちなので、それを補うため露出補正を上げてシャッタースピード、ISO感度、絞りを調整しますよね。
しかし、夜景では被写体がほぼ動かないためシャッタースピードをいくらでも下げることができるのに対し、水族館ではつねに魚たちは動いているのでピンボケしないためにはシャッタースピード1/120または1/60くらいを保つ必要があります。
夜景撮影や夜景ポートレートはこちらの記事で上手に撮る方法を紹介しています。興味があればどうぞ。
水族館の写真撮影が上手になる6つのコツ
ここからが本題ですが、水族館の写真撮影でここは押さえておきたいコツをご紹介します。
技術的なことも大切ですが何をどう撮りたいかあからじめ決めてから撮影に臨むと得られるものが大きいと思います。
レンズ交換式カメラなら露出補正をスマホなら明るさ調整を上げる
レンズ交換式カメラには”露出補正”という機能があります。
あらかじめカメラメニューから手動設定することができる機能で、カメラセンサー内の明るさを5段階で調整可能。
出典:SONY
同じf値・ISO感度・シャッター速度でも上図のように明るさが全く違ってくるので、まずはこの露出補正を上げてからのぞむのが鉄則です。
普段から手動操作していない場合は自動調整になっていることが多いため、撮影前にカメラメニューから手動設定を行いましょう。
スマホの場合は、カメラ起動して被写体をタップして上下のスワイプで明るさを調整することができます。
撮りたい対象に狙いを定める
水族館には色んな姿形をした生き物や、色どりのキレイな魚がたくさんいます。
カメラを構えるとファインダー越しにたくさんの生き物が映り込んできますが、あれも撮りたいこれも撮りたいはあまりおすすめしません。
じっとしている生き物なら良いですが、たくさんの被写体を追っかけるとピンボケしたり、思ったような位置や構図で捉えられないことがよくあります。
まずは、撮りたい生き物に狙いを定めて、水槽から差し込んでくる明るい光に照らされたときにシャッターを押すことをおすすめします。
レンズ交換式カメラの場合は、AF速度が速いほど有利になると思って大丈夫です。
こちらで紹介しているポートレート構図は被写体が魚やクラゲであっても有効なので参考にして下さい。
水槽ガラスにレンズをくっつける
水族館の水槽ガラスは分厚く作られていて透明度が高いため、人の影が映りこんだりガラス表面の手アカや汚れが映り込むことがあります。
これを防ぐ方法として、カメラレンズを水槽ガラスにくっつけることで余計な光をさえぎることができます。
レンズ交換式カメラの場合、おすすめはラバータイプのレンズフード。
≫レンズフード 52mm-67mmレンズ用 夜景撮影 窓ガラスの映り込みを防止
レンズ面の外径「52mm-67mm」ならオールインワンで取り付け可能、柔らかいゴム形状なので水槽のガラス面にぴったりとくっつけることができるため外光を取り除くことができますね。
またレンズフードが必要ない場合はカメラ側にひっくり返しておけば、カメラ機器を保護するアイテムに早変わりします。
手ブレに気をつける
水族館の中でもとくに光源が弱いエリアではISO感度を上げたり、シャッタースピードを下げることになると思います。
その時、シャッタースピードをあまり下げ過ぎると、ピンボケになりやすくなるので注意が必要です。
手ブレを防ぐためには1/120あるいは1/60あたりを限度にすれば、ピンボケを少し防ぐことができるでしょう。
カメラを構えるときは脇をしめ、水槽ガラスにレンズを押し当てて固定すれば安定させることができます。
特にクラゲコーナーでは極端に光が少ないため、クラゲがゆったり泳いでるから大丈夫!と思いこんでいるとピンボケ多発するので気を付けましょう。
ISO感度を上げて素早い動きに対応
水族館にはイルカやアシカなど素早い動きの動物がたくさんいますよね。
陸に上がっているときはシャッターチャンスですが、いざ泳ぎはじめたら動きが速すぎてカメラで追いかけるのは困難です。
そんなときはISO感度を~1000を目安にすれば、シャッタースピードを1/250~1/1000まで上げることができるので瞬間を捉えることができるようになります。
イルカやアシカが泳ぐコーナーは屋外に近いことが多いため、そこまで暗い状況は考えにくいのでシャッタースピードを上げることを意識すれば良いでしょう。
レンズは広角で明るいレンズが理想
ハード面の話になりますが水族館撮影ではレンズ選びも重要なポイント。
おすすめは、
・F値の小さいレンズ
・広角レンズ(焦点距離 12mm、24mm、35mm)
・ズームレンズ(焦点距離 24mm-105mmなど)
まずF値の小さいレンズは絞りを開くと、たくさんの光をセンサーに取り込むことができます。
水族館は暗いエリアが多いため少しの明かりでもそれを生かすためにはF値の小さいレンズは欲しいところ。
ただし、F1.2~F1.8まで開くとピンボケしやすくなるため、F2~F4くらいに設定するのがお勧め。
広角レンズがあれば体の大きなジンベイザメ、ホオジロザメ、シャチが泳いでいる水槽のように横長ワイドな場面で全体像をきっちりと納めることができるでしょう。
また、レンズあんまり持ってない!という方はズームレンズを持っていくと良いと思います。人込みで思うように被写体に寄れないことが多いのでズームできると便利ですよね。
カメラやレンズを安く買いたいと思っている方にはこちらの記事がおすすめ。
水族館撮影のおすすめ設定方法
ここではあらかじめ知っておくと、出だしから良い写真が撮れるおすすめ設定方法をご紹介します。
基本的には三大要素f値・ISO感度・シャッター速度を上手に調整する必要がありますが、カメラ操作に慣れていない方はシャッタースピード優先モードを活用しましょう。
初心者はTv(S)シャッタースピード優先モード
シャッタースピード優先モードはデジタル一眼カメラならどの機種にも搭載されている標準機能です。
このモードは、
・F値(絞り)はカメラが自動設定
・ISO感度はカメラが自動設定
・SS(シャッタースピード)だけ自分が手動設定
このような特徴を持っていますがマニュアルモードだと明るさの加減によって絞り・ISO・シャッタースピードの設定を全て変えないといけないため、面倒だと思う方におすすめのモードですね。
撮りたい被写体(魚)の動くスピードに合わせてシャッタースピードを変えるだけで、あとの絞り・ISOはカメラが適正になるよう調整してくれます。
失敗を防ぐためにはもっとも安パイの設定です。
シャッタースピード、ISO感度、絞りが分からない方はこちらの記事で詳しく解説しています。
ISO感度は1000以下を目安に
最近のデジタルカメラは高性能なのでISO感度を1600まで上げても、画質が劣化しないことがあります。
でもこれは全ての機種に当てはまることではなく、CannonならEFマウントシリーズ、ニコンならFシリーズとか一世代前の機種だとシビアに考えた方がいい問題。
実際に私が水族館で撮影したときにシャッタースピード1/250、絞りF1.8の状況にしたかったので、ISO感度1600まで上げたんですが、あとで見てみたら画質がしっかり劣化していました。
これまでの暗いロケーションや撮影の経験からもISO感度は「~1000」を一つの目安にしましょう。
露出補正を上げる
先ほども少し触れましたが明るさを上げる方法の一つにカメラで設定操作できる「露出補正」を上げる方法があります。
どうしても私はブレずにクラゲが撮りたい!
こういう状況があったとすると、私のおすすめ設定は
・絞り F2~F4
・ISO感度 800~1000
・シャッタースピード 1/125〜1/60
ブレない、暗くない、ボカしたいという望みを叶えるためにはこの設定は譲れません。
それでもアンダー気味になっていれば最終手段として「露出補正」そのものを+1、+2してみることをおすすめします。
あまり上げすぎると白飛びしてしまう可能性があるため、上げすぎには注意を。
私の持論ですが、
露出アンダー > 露出オーバー
明るすぎると色が潰れてしまうため編集ソフトでも修正できないですが暗くなってしまった場合なら、編集ソフトで露光量を上げたりシャドウ起こしをすることができます。
編集ソフトを使ってもっと写真が上手になりたいと思ってる方にはこちらの記事もおすすめしてます。
水族館でポートレート撮影を上手く撮るには
撮影の難しさや人が多いこともあり、水族館でのポートレート撮影はそこまでメジャーではありません。
ここでは、鹿児島写真部MUZEが8月28日に開催する「アクアリウムと私の世界【テーマ:水族館 × ポートレート】」に向けて、撮影時にどういった点に気を付ければいいかポイントをご紹介します。
単焦点レンズを使う
レンズ交換式カメラのレンズは”単焦点レンズ”と”ズームレンズ”の2種類。
ズームレンズは足を使わなくても焦点距離が稼げる便利なレンズですが、単焦点レンズに比べて高価で暗いf値の場合が多いです。
「単焦点レンズF1.8」と「ズームレンズF4」の2本があるとすると、このf値の誤差は真っ暗な水族館では大きな違いとなります。
「F値が小さい(明るい)単焦点レンズは、光を多く取り入れることができるため、暗いシーンでも手ブレやノイズを抑えて夜景を撮影することができます。また、人物やスナップでも、背景を大きくぼかした撮影が可能です。」
出典:SONY
SONY公式ページでもこのように紹介しており暗い場所での単焦点レンズの明るさを推奨しているのはメーカー側も同じですね。
≫キャノン Canon RF50mm F1.8 STMミラーレス RFマウントカメラ用
Cannonユーザーの方はf1.8にも関わらず描写もキレイで高性能レンズ「RF50mm f1.8 STM」がおすすめ。
純正レンズはちょっと予算が、という方にはこちら。
≫YONGNUO YN50mm F1.4 C キャノンEFマウント 標準レンズ 単焦点レンズ
中国製レンズメーカー「YONGNUO 50mm F1.4」はこのクラスの中でも最安値帯で、プロカメラマンからも一定の評価を受けているので検討してみてはいかがでしょうか。
単焦点レンズについてはこちらの記事でもっと詳しく紹介しているので興味がある方はご覧下さい。
水槽バックに逆光シルエットで撮る
水族館は水槽以外のダウンライト照明がほぼカットされており、水槽以外の場所は暗いですよね。
しかも、水槽の形状や大きさによって光が乱反射し、複雑な撮影環境になっていることがあります。
普通に撮るだけではモデルさんの表情や動きを捉えることはハッキリ言って難しい
そこで、初心者の方におすすめしたい方法は、水槽を背にして逆光状態でモデルさんのシルエットを撮るという方法。
これなら水槽の明るさだけ気にしていればOK、モデルさんにポージングしてもらえばキレイなシルエットを撮ることができるでしょう。
大水槽の前にモデルさんが祈るように見上げている写真は想像するだけでストーリーが満ち溢れています。
特徴的なシルエットを演出するためにつばの大き目の麦わら帽やハット、ワンピースなどを着用してもらえばエモいシルエットがキレイに出ると思いますよ。
また、シルエット撮影では構図が大事になりますので、構図を学びたい方にはこちらの記事がおすすめ。
クリップオンストロボやLEDライトを使用する
次章でも紹介していますが水族館では全館フラッシュ撮影禁止ではない場合があります。
一部のコーナーをのぞけばフラッシュ撮影できる場所が意外とあるもの。
「いおワールドかごしま水族館」のHPを見てみると、
・黒潮大水槽(本館2階)
・アオリイカ水槽(本館4階)
このエリアがフラッシュ禁止エリアに指定されています。(2021年8月時点なので変更になっている場合あり。公式HPをご確認下さい。)
それ以外のエリアではフラッシュ使用して良いということなので小型のクリップオンストロボやコンパクトLEDライトを使用すればモデルさんの顔を明るくすることができます。
ストロボをお持ちでない方には手軽に買えるコチラがおすすめ。
【NEEWER カメラ/一眼レンズカメラ用 TT560 フラッシュ・スピードライト Nikon,Canon,Pentax,Olympusなどに対応 【並行輸入品】】
こちらは私も持っていますが明るさの性能基準となるガイドナンバー「38」で、簡易なストロボとしては安くてとても使えるストロボです。
本格的なライティング撮影をする方には不向きですがとりあえずストロボ使ってみたいという方にはおすすめですね。
そしてもう一つあると便利なのが、
こちらはスマートフォンサイズの小型RGBビデオライト。色温度の調整までできるタイプで一台あると重宝するでしょう。
あくまで水族館は公共の場なので大がかりなストロボや光源を持ちこむことは難しいです。小型で取り扱いがカンタンなものがおすすめです。
レフ板や水槽の明かりをレフ板代わりに使う
3つ目はそこにある光を有効活用する、という方法です。
水槽の照明は奥からお客さん側、あるいは上下に向かって光っています。これを利用してモデルさんの顔を水槽ガラスに近づけることで顔にスポット光を当てることができるでしょう。
≫Selens 5-IN-1 撮影用 楕円レフ板 80x120cm ハンドル付き
同じ考え方でレフ板をあてて影起こしをすれば、そこまで表情に暗さを感じない写真が撮れると思います。
上のレフ板は80cm×120cmと中盤サイズで手持ちで使いやすいようハンドルが付いているため、撮影時に安定して固定することができるのでおすすめ。
気を付けないといけないのはわずかな光源のため、寄りの写真(バストアップか顔アップ)に限定されるのでその辺りを意識して撮影すると良いでしょう。
水族館でのフラッシュ撮影には気を付けよう
出典:unsplash
水族館では音や光に敏感な生き物がたくさん住んでいます。
フラッシュやストロボ光をあててしまうと水槽にぶつかって死んでしまったり、水槽の中の生態系に大きな影響を与えてしまうことになります。
前に鹿児島水族館に撮影の件で問い合わせをした際の返答が、
「撮影やSNS掲載して頂くのは自由です。ただし、フラッシュ禁止エリアになっている2F黒潮大水槽、4Fアオリイカ水槽、ではフラッシュライト使用しないようにして下さい。」
迷惑そうな感じではなく「どうぞ、どうぞ!たくさん撮って下さい」というニュアンスだったのは今でも覚えていますね。
いっぱい撮ってSNSアップすることで宣伝になるわけですが、くれぐれもフラッシュ禁止エリアでのフラッシュや、水族館にはたくさん人がいるので通行の邪魔にならないように撮影を楽しむ必要があります。
暑い夏は水族館で撮影を楽しもう!
今回は水族館の写真撮影が上手になる6つのコツと設定方法、そして水族館でポートレート撮影を上手く撮るためのポイントをご紹介しました。
いずれも撮る場所や明るさによってカメラ設定や撮り方は変わってきます
水族館で撮影したステキな写真はネット上にたくさんあるので、
どんな写真を撮りたいか、どの焦点距離で撮ればいいか、光をどう使えばいいのかなど完成図を意識しながら撮影すると成功しやすいでしょう。
また、現在いおワールドかごしま水族館では「第9回 かごしま水族館フォトコンテスト」が開催されています。
≪第9回 かごしま水族館フォトコンテスト概要≫
対象者:どなたでも
応募期間:令和3年4月1日(木)~8月31日(火)
賞:最優秀賞 1点(副賞:賞状、3万円分の商品券)
特別賞 3点(副賞:賞状、1万円分の商品券)
特選 5点(副賞:賞状、5千円分の商品券)
入選 10点(副賞:賞状、千円分の図書カード)
佳作 20点(副賞:賞状、500円分の図書カード)
発表・表彰:10月上旬を予定しています。
出典:いおワールド
プリントのほかEメール応募もできるので、応募することを踏まえると撮影中の気持ちも高まると思います。
興味のある方は応募してみると良いでしょう。
今回の記事が水族館でポートレートや魚の撮影が上手になりたいと思っている方の参考になれば幸いです。
鹿児島写真部MUZEでは「MUZE撮影会」やイベント企画など撮影技術向上を目指した企画を行っています。
前回、前々回と参加してなかった方でも気軽に参加することができるので、皆さんの部員応募やイベント参加をお待ちしています。
また、写真部MUZEでは昨年11月から有料「MUZE撮影会」を開催しており随時有料モデル(時給1500円~3500円・実働2h~4h程)を募集しています。興味のある方はこちらのモデル応募フォームまたはInstagramのDMよりご相談下さい。
部員参加は下記、入部フォームから簡単にお申込みすることができます。たくさんのカメラ写真好きの皆様とお会いできることを楽しみにしております!
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カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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