マウントアダプタって種類多くて調べても欲しいものが見つからなくて難しい。
レンズ交換式の一眼レフカメラを使っている方は純正レンズの他に、色んなレンズの組み合わせを試してみたくなった経験ってありませんか?
でも、他メーカーレンズを使おうと思ってもマウント形状が違うため、そのままでは接続することはできません。
今回はカメラを始めて半年でプロモデルやテレビ局タレントを撮影した現役カメラマンが、初心者向けに色々なカメラに適合するマウントアダプタと、メリットやデメリットを分かりやすく解説します。
この記事を読むことでお手持ちのカメラはどのアダプタを使用したら、組み合わせられるのかカメラとレンズの組み合わせの悩みを解決することができます。
マウントアダプタとはマウントの変換デバイスのこと
私、自身はキャノンユーザーでRFマウントのカメラを中心に使っていますが、これまでオールドレンズを使うためにPENTAX Kマウント、M42マウント、EFマウントなど色々な組み合わせを試してきました。
まず、組み合わせを理解するのに必要な基礎知識をおさらいしておきましょう。仕組みを理解している方は、次章の一覧表に飛んでもらったら良いと思います。
そもそもマウントとは
出典:フォトスク
一眼レフカメラは交換式レンズを使用しているためシーンに合わせて必要なレンズを組み合わせることができますよね。
このカメラボディ側にある規格・構造のことを「マウント」と呼びます。(全17種類)
例えばスマホを充電するときiPhoneなら純正の充電器「Lightning」を使わないと充電できませんよね。
反対にAndroidでは「USB Type-C」と呼ばれる端子でしか充電することはできないように、メーカーによって異なるカメラマウントというものが存在します。
純正を使いなさいということでしょうか
基本的にカメラを製造するメーカーが販売する純正レンズを使って欲しいわけですから、当然と言えば当然のことなのかもしれません。
それでも、メーカーによって映りやテイストが違うし、何より純正レンズは高額なので中国製のサードパーティレンズは人気がとても高いです。
メーカー | マウント一覧(※2022年2月時点) |
Cannon | EF-M、EF(EF-S含む)、RF |
SONY | A、E(NEX、αシリーズ) |
Nikon | F、Z(Zシリーズ) |
FUJIFILM | G(GFXシステム)、X(Xシステム) |
PENTAX | K、Q、645(645シリーズのみ) |
Panasonic | S、L(LUMIXシリーズ)、マイクロフォーサーズ(m4/3) ※2 |
Olympus | OM、フォーサーズ(4/3)、マイクロフォーサーズ(m4/3) ※2 |
※2 マイクロフォーサーズマウントはPanasonicとOlympusが共同開発した共通マウントです。
現代のメーカーごとの主流アダプタは上図の通りで、「業界動向Search.com」調べ2020-2021年売上高&シェア率を見てみると、
【1位】Cannon(キャノン) 47.9%
【2位】SONY(ソニー) 22.8%
【3位】Fujifilm(富士フィルム) 19.2%
出典:業界動向Search.com
このような感じで約半分をCannonのEF-M、EF(EF-S含む)、RFマウントが占めていることになります。
東京2020ではEOS-1D X Mark III(EFマウント)がメインで使われていましたね。
この他にもフィルムカメラ時代に使われていたオールドレンズはMF(マニュアルフォーカス)が主流で、スクリュータイプのマウントにはM39、M42、FD、L39などがありますね。
アダプタはマウント変換する
出典:360LiFE
マウントの一覧を見てもお使いのメーカー以外はあまりピンとこないかもしれませんが、マウントアダプタは2つの異なるマウント同士を変換して繋ぎ合わせるデバイスのこと。
これが可能になると上図の様にSONYカメラに、Cannonレンズを取り付けることも可能になります。
また、同じメーカーで新旧の違うシリーズがある場合は必ずメーカー側が消費者のユーザビリティを高めるため、純正アダプタを販売しており互換性・性能は保証されています。
旧Cannonユーザー向けにEFレンズを最新のRFカメラマウントに変換するための「キヤノン マウントアダプター EF-EOSR」という商品があります。
このほかにも異なるメーカー同士を繋ぎ合わせるアダプタをKipon、K&F、Urth、SHOTEN、RAYQUALなどのメーカーが製造していますが、全てがつながるわけではないので注意が必要。
有名どころのCannon EF、SONY E、Nikon F、PENTAX Kは色んなカメラとの互換性が高いですが、そもそもフルサイズ機やAPS-C機ではセンサーサイズの関係上、自分より小さいフォーサーズレンズを繋ぐことは基本的にはできません。
反対にフォーサーズ機ではマウントアダプタを経由して、APS-Cレンズやフルサイズ用レンズを装着することが可能。
ちなみにフォーサーズ機にフルサイズ用レンズを付けると焦点距離が約2倍になって高い望遠効果を望むことができますね。
こちらの記事でマイクロフォーサーズの特徴やフォーサーズとの違いを詳しく紹介しています。
マウントアダプタの一覧表
ここからはシェア率の高い上位メーカーのマウントごとに、お探しのマウントアダプタ商品を紹介していきます。
ただし、アダプタは製造数が少なくすぐ売り切れたり製造中止になる場合もあるのであらかじめご理解下さい。
また、今回はドイツ製レンズマウントやマイナーマウントは一部をのぞいて除外しています。
Cannon(キャノン)カメラに付けられるアダプタ
これは一部ですがCannonカメラボディの場合、FUJIFILM、Panasonic、フォーサーズ、マイクロフォーサーズとは互換性がほとんどありません。
フォーサーズ(4/3)やマイクロフォーサーズ(m4/3)と言ったマウントはAPS-Cと呼ばれるフルサイズと比べて小さめのセンサーサイズより更に小さいため専用のフォーサーズカメラボディで使うのが一般的です。
SONY(ソニー)カメラに付けられるアダプタ
レンズ側 | E(ボディ側) |
EF-M | - |
EF |
K&F Concept EF/EF-Sレンズ-SONY Eカメラ Urth キヤノン EF&EF-SレンズからソニーEカメラ |
RF | - |
SONY A | K&F Concept KF-AAE.P 絞りリング付き |
SONY E | - |
Nikon F | K&F Concept KF-NGE.P 絞りリング付き Urth ニコンF(Gタイプ)レンズからソニーEカメラ |
Nikon Z | - |
FUJIFILM G | - |
FUJIFILM X | - |
PENTAX K | Urth ペンタックスKレンズからソニーEカメラ |
PENTAX Q | - |
PENTAX 645 | - |
Panasonic S | - |
Panasonic L | - |
マイクロフォーサーズ(m4/3) | Pixco M4/3レンズ-Sony NEX Eマウント |
Olympus OM | Urth オリンパスOMレンズからソニーEカメラ |
Olympus フォーサーズ(4/3) | KIPON 4/3-NEX フォーサーズマウント |
M39 | Urth M39レンズからソニーEカメラ |
M42 | K&F Concept KF-42E.P Urth M42レンズからソニーEカメラ |
FD | Urth キヤノンFDレンズからソニーEカメラ |
L39 | L39 / M39 → ソニー NEX Eマウント |
SONY機ではAマウントのアダプタはほとんど作られていないため、αシリーズのEマウントをメインに紹介しています。
Cannon同様にFUJIFILMやPanasonicとは連結しませんが、Eマウントの面白いところはフォーサーズやマイクロフォーサーズレンズを付けることが可能な点。
希少だと思いますがこの記事を執筆時点でも「Pixco M4/3レンズ-Sony NEX Eマウント」は販売中でしたね。
Nikon(ニコン)カメラに付けられるアダプタ
レンズ側 | Z(ボディ側) | F(ボディ側) |
EF-M | - | - |
EF | K&F Concept キヤノンEF-ニコンZ Urth キヤノンEF&EF-SレンズからニコンZカメラ |
- |
RF | - | - |
SONY A | Urth ソニーA(ミノルタAF)レンズからニコンZカメラ | - |
SONY E | TECHART TZE-01ソニーEマウント → ニコンZマウント変換 | - |
Nikon F | K&F Concept ニコンF-ニコンZ Urth ニコンFレンズからニコンZカメラ |
- |
Nikon Z | - | - |
FUJIFILM G | - | - |
FUJIFILM X | - | - |
PENTAX K | K&F CPentax K PKレンズ-Nikon Zカメラ Urth ペンタックスKレンズからニコンZカメラ |
K&F Concept KF-PKF ペンタックスK→ ニコンF Urth ペンタックスKレンズからニコンFカメラ |
PENTAX Q | - | - |
PENTAX 67 | - | - |
Panasonic S | - | - |
Panasonic L | - | - |
マイクロフォーサーズ(m4/3) | Pixco Micro4/3 レンズ – Nikon Z マウント | - |
Olympus OM | K&F Concept Olympus OM レンズ-Nikon Zカメラ | - |
Olympus フォーサーズ(4/3) | - | - |
M39 | K& Leica M39レンズ-Nikon Zカメラ Urth M39レンズからニコンZカメラ |
- |
M42 | Urth M42レンズからニコンZカメラ | Pixco M42 マウント レンズ → ニコン Nikon F マウント K&F Concept KF-42F M42 → ニコンF |
FD | K&F Concept キヤノンFD-ニコンZ | Urth キヤノンFDレンズからニコンFカメラ |
L39 | K&F Concept KF-39Z ライカL39 → ニコンZマウント | - |
Nikon機では現在Zシリーズが主流のためFマウントのアダプタはオールドレンズのPENTAX KやM42などのマウントにしか対応できません。
CannonやSONYと比べると少しラインナップが少ないのかな?という印象がありますが、根強い人気があるのがNikonや富士フィルムのカメラ。
サードパーティ製レンズメーカーもCannonを避けるようにNikonやSONY、富士フィルムのマウントを製造している傾向があります。
マイクロフォーサーズと富士フィルムカメラに付けられるアダプタ
最後にマクロ撮影や風景の望遠効果を得るために愛用している方が多いマイクロフォーサーズ機、フルサイズより大きい中盤サイズのセンサーサイズを持つ富士フィルムのGFXシリーズ用アダプタもあわせて紹介しておきます。
印象としてはマイクロフォーサーズはもっとも小さいセンサーサイズだけあって色んなレンズとの組み合わせが豊富。
富士フィルムのアダプタはほとんどが「Fotodiox(フォトディオックス)」というメーカーが作っていますが、他のアダプタに比べて少し値が張る傾向があります。
いずれも王道のCannon EF、SONY A、Nikon Fは接続可能で、オールドレンズ系とも相性が良いとされています。
マウントアダプタのメリットとデメリット
メーカーや市場の流通量によってさまざまなマウントアダプタが生み出されています。
どんなメリットとデメリットがあるのか整理しておこうと思います。
メリットは色んなレンズを試せること
最大のメリットは「色んなレンズを試すことができる」に尽きますが、その他には以下のようなメリットがあります。
・異なるメーカーのカメラ本体を買う必要がなくなるためコスト減になる
・レンズのバリエーションを手軽に増やすことができる
・現代にはないオールドレンズを装着できる
・APS-Cやマイクロフォーサーズ機は望遠効果が望める
色んなレンズを試すことができるという事は高価な純正レンズだけでなく、SIGMAやタムロンのような安くて高画質サードパーティレンズも視野に入ってきます。
色んな焦点距離のラインナップを揃えることができるようになるでしょう。
また、動物撮影などこれ以上、近づいて撮影するのが難しいケースではAPS-Cやマイクロフォーサーズ機にSIGMAレンズを付けると1.5倍~2倍ズームされます。
例えば焦点距離「60-600mm」のズームレンズの場合、マイクロフォーサーズ機では2倍の「120-1200mm」に。
APS-C機なら1.5倍の「90mm~900mm」に早変わりします。
なんか得してない?
状況に合わせて上手に組み合わせれば距離を稼いだり、色んな作風の写真表現ができるようになる点は魅力ですよね。
デメリットは純正アダプタにはない不具合
反対にデメリットをまとめてみました。
・全長と重量が少し大きくなる
・アダプタに付いている電子接点が誤作動を起こして機能を発揮できないことがある
・広角レンズはアダプタ経由すると広角にならない
・Exifが記録されなくなる
・フランジバックに誤差があると無限遠ができない
最大のデメリットかなと思うのは不具合によってAF(オートフォーカス)が狂ったり、ピントが合いにくくなるという点。
純正マウントアダプタは高額な代わりにそういった不具合を防ぐことができますが、サードパーティ製アダプタではたまにある現象ですね。
予算に余裕があるなら純正アダプタがおすすめですが、難しい場合はそのあたりを踏まえて焦点距離がズレてないか、ピントがちゃんと合っているか確認する必要があります。
「Exif」は撮影時に記録されるカメラ・絞り・ISO感度等の情報のことですが、アダプタを経由することで情報が正しく記録されないことがあります。
マウントごとのフランジバック距離についてはこちらの記事が参考になると思いますのでご紹介しておきます。
≫「マウント径の比較一覧」
マウントアダプタはAF(オートフォーカス)が使えない?
アダプタには大きく分けて2種類が存在します。
①AF対応の電子接点が付いているタイプ
②電子接点がなくねじ込んで装着できるタイプ
①は電子接点が付いているタイプなので、AF機能を使うことができます。
②のねじ込んで装着できるタイプは安価な代わりにAF(オートフォーカス)機能を使用することができません。
オールドレンズの場合はだいたいMF(マニュアルフォーカス)なので、その場合は②のタイプで問題ないでしょう。
ただし、AF対応レンズの場合、①のようなアダプタ前後に電子接点がないとフォーカス情報がカメラ本体に伝わらずピントが動かなくなってしまいます。
私自身も値段だけで決めてしまって電子接点なしを買った経験がありますが、メルカリで売ることになる羽目になるので安いからこれでいいや!と考えず電子接点が付いているか確認しましょう。
安いからスグ買おう!の前に冷静に観察しましょう。
また、電子接点が汚れていたり衝撃で潰れてしまうと不具合が出るようになるため、使い終わったら手入れと保管をおすすめします。
正しく組み合わせて幅を広げよう
今回はレンズ交換式の一眼レフカメラをお持ちの初心者向けにマウントアダプタの基礎知識とアダプタ一覧をご紹介してきました。
互換性があるものとそうでないものが存在しますが、どのメーカーボディを使っていても現代の主流マウントを持つレンズなら試すことはできます。
マウントアダプタを活用してレンズラインナップを増やしたり、写真の色味やテイストを変える自分に合ったレンズを見つけて写活を楽しみましょう!
今回の記事がご自分のカメラマウントを変換するマウントアダプタを探している方の参考になれば幸いです。鹿児島写真部MUZEでは「MUZE撮影会」やイベント企画など撮影技術向上を目指した企画を行っています。
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カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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