暑い日差しの海岸やビーチではしゃいだあと、必ずと言っていいほど記念にエモい写真を撮りたくなるものですが
「どうやったらエモくなるか分からない」
「気軽にスマホで良い感じの写真を撮りたい」
こんな悩みを持っている方は意外と多いもの。
上手なカメラマンさんも夏が近づいてくると機材を抱えて、海岸線やビーチで自然・被写体モデルを撮影しています。
しかし、デジタルカメラがなくてもポイントを押さえておけばスマホでも手軽にエモい写真を撮ることは可能。
今回はデジタルカメラ・スマホ問わず海のエモい写真を撮りたいと思っている方向けにポイントとなる「天候」や「時間帯」、そして技術的な「撮り方」をご紹介します。
この記事を読むことで短時間ですぐ真似できるアングルを知ることができます。
海の撮影における「エモい写真」とは風情があること
出典:unsplash
インスタに映える写真という言葉は誰でも耳にしたことがあると思いますが、実は「エモい」は「映える」の反対語。
出典:FUJI_NOTE
エモいは「エモーション:emotion(感情)」が語源と言われていますが、端的に言えば見る人の”感情を揺さぶる写真”のことを指しています。
エモい…ストーリー性を追求、目に見えない価値、写真の彩度が低いことが多い
映える…見た目の綺麗さを追求、目に見える価値、写真の彩度は高め
とりわけ海岸やビーチには暖かい春~夏にかけて訪れることが多いため、海の写真に関しては晴れた青空や海原の壮大さ、そしてそこに映る人間の哀愁に人は心を動かされます。
こう言ったシチュエーションから考えると鮮やかなブルーが多く明瞭度が高い写真は「映える写真」。
反対に青空や夕日(またはそこにいる人)など彩度は低いものの風情ある写真が「エモい写真」と言えそうです。
フィルムカメラや写ルンですで撮った写真って、彩度が低いけど独特の粗さがありどんな状況だったんだろ?と想像力を掻き立てるから「エモい!」となるわけですね。
海のエモい写真は「天候」「時間帯」が大切です
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何となく分かっていたエモい写真をおさらいしたところで「じゃあ、さっそく撮ってみよ~」となるわけですが、大切なポイント2つをご存じでしょうか?
風情ある写真を撮るには「天候」「時間帯」を考えないとせっかくのロケーションも写真を見る人には伝わりません。
ここでは、もっとも狙うべき「夕焼け」、そして晴れ・曇りの場合のシチュエーションを紹介しておきます。
狙うなら夕焼けがベスト
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もっともドラマチックでエモい写真が撮れる「夕陽」のすばらしさについては、これまでも別記事でたびたび紹介してきました。
日中活動を終えて太陽が地平線に沈む夕方になると人間は気の緩みや判断力が低下する「黄昏時効果」という状態に陥ります。
「黄昏効果(Twilight effect)は、人の認知能力、思考・判断能力が黄昏時(たそがれどき)に、著しく低くなることを利用した心理効果のことです。」
出典:ムソムソの心理学用語辞典
日中の仕事や学校を終えて気持ちの緩んだときに美しい夕陽を見ると「あーきれいだなぁ」とボーっとした経験があるのではないでしょうか。
夕陽には黄昏時効果以外にも青空が「青⇒橙」のグラデーションになったり、太陽が低い位置にくることで斜光になり人やモノのシルエットが横長になるなど視覚的にも美しい情景があります。
日中なら晴れ間の青空を生かす
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夕陽がベストとは言ったもののお昼前後に海に出かける方も多いのではないでしょか。
また、その日の天候も運任せとなるわけですが雨が降るような悪天候ではそもそもビーチで遊ぶケースは少ないと思います。
快晴だった場合はきれいな青空を映す割合を多くすることで印象的な写真になります。
✔晴れ間の青空を生かす
・人物なしなら青空の映り込む割合を1/2や2/3に増やす
・人物ありなら青空を1/3または1/2入れる
こうすることで構図的にも整った写真になりますが、厳密にこだわってしまうと見た目の綺麗さを追求する「映える」写真になってしまうため注意が必要。
最新のiPhoneやAndroidで撮影すると彩度が高くなってしまう傾向がありますが、アプリで彩度を落としたりフィルター加工するともっと良くなりますね。
曇りや雨模様ならローアングル気味
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予想してなかった雨が急に降り出したり、天気がグズついてるときは空を映しても無色になります。
映える写真目的なら曇り空はタブーですが、エモい写真においてもあまり面白い色味ではありません。
✔曇りや雨模様時の対策
・空を映す割合を減らして地面の割合を増やす
・上から下に向かって撮影する
・フィルムなどモノクロに切り替える
割と最近のiPhoneやAndroidカメラは人間の視野より広い「広角レンズ」が基準になっているため、そのまま撮影する場合は地面~空まで広く映り込んでしまいます。
そのため、味気ない空を切って撮る必要があるためローアングルでカメラを構える、または上から下に向かって撮影するなど工夫してみましょう。
ちなみにフィルムカメラ風アプリやフィルムカメラを使って撮影するときはモノクロ(白と黒だけ)で撮影しても良さそですね。
すぐ真似できる!海のエモい写真の撮り方7選!
「天候」と「時間帯」が重要なポイントですが具体的にどうやって撮ったら良いか分からないもの。
細かく話していくと写真構図・自然光・背景の整理などキリがないので、ここでは割愛しますが感が良い方は見本を真似て撮るだけで意外と上手くいったりします。
ここではどんな天候・時間にも対応できるよう7つのシーンごとにアイデアをご紹介します。
背景に大きく広がる青空はアオハルを想わせる
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海と言えば若い人にとってアオハルそのものですが「アニメのワンシーンのように。」という写真集をご存じでしょうか。
この写真集は実際にデジタルカメラで撮影したものを加工してアニメ風にしたものですが、この写真集でもふんだんに青空を多く映しているものが多いですね。
そして、ポイントは風景・地面・青空をバランスよく取り入れられる方法として”広角側”で撮影できるスマホは最適。
✔アオハルの青空にする方法
・カメラ起動した広角カメラで撮る(画面拡大のピンチアウトしない)
・ゴチャゴチャしていない場所で撮る
・加工アプリで少し彩度を上げる
・空の特徴的な雲を見つける
人や建物がゴチャついていない場所で下からあおって撮るとそれなりにエモい写真は撮れますが、自分的には空の雲はポイント高いです。
夏の積乱雲やうろこ雲、ヒコーキ雲は形が独特で写真でも印象的になりやすいので、積極的に雲を探してみるのもおすすめ。
人物を遠くに入れるとストーリー性が生まれる
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風景だけの写真もステキですがそこに人物が入りこむことで写真に物語を吹き込むことができます。
上の写真では晴れ間に海バックでとても魅力的な写真ですが、手を繋いだ家族が映り込むことで、
「あ~この3人は幸せなんだろうなぁ」
「大きな波に挑んでる少女が可愛いなぁ」
と見る側は勝手に頭の中で想像力を膨らませるのでとてもエモい写真になりやすいでしょう。
ポイントは”顔が分からないぐらい遠くに配置して人物のシルエットだけ”にすることで、顔や容姿など余計な情報が入ってこなので想像を膨らませやすくなります。
デジタルカメラがあれば人物アップでも海をキレイにぼかしてエモい感じにすることができますが、スマホの場合は基本的に人物は遠くに配置した方がうまくいきやすいですね。
海のリフレクション(反射)を使ってシンメトリーな世界に
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リフレクションとは「水面やガラスの反射を利用してシンメトリーな世界を演出する」こと。
普段からInstagramやTwitterでこういった写真を目にすることも多いかと思いますが、InstagramやTwitterでウケる写真を知りたい方はこちらの書籍がおすすめ。
無風で波があまり立たないシチュエーションや、引き潮で砂浜に水たまりが出来ているときはリフレクションのチャンスです。
✔リフレクションのポイント
・カメラアングルは横長がベスト
・写真を上下半分に分けてちょうど中央横で「現実の景色」と「映り込んだ景色」を分ける
・加工アプリでコントラストや彩度を少し上げる
こうすればスマホでもそれなりに映り込むを期待できるので挑戦して欲しいですね。
ちなみにレンズ交換式カメラを持っている方はPLフィルター(偏光フィルター)を使うことで、反射を取り除くことができるので水中が透けて見えるキレイな写真も期待できます。
夕焼けと美しいシルエット
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夕焼けはもっとも美しくエモい写真にピッタリのシチュエーション。
太陽がだいぶ沈んでくると光量も少なくなるので横長の影ができやすいこと、そして海面に美しいオレンジ色を映し込むことができます。
✔夕焼けシルエットのポイント
・太陽に向けて撮影する(逆光)
・スマホならそのまま、デジタルカメラならf値を絞る
・人物の顔は写らないのでシルエットを生かす
スマホならそのままで問題ありませんがデジタルカメラの場合はわずかな光もたくさん拾ってしまうため逆光耐性が強いレンズを選ぶか、f値を絞ると少し暗くなりますがシルエット撮影には向いています。
反対にデジタルカメラだと人物の仕草や表情がわずかに映りますが、スマホ撮影だと逆光では顔などは全く映らないので改善するにはスマホ用リングライトを用意しましょう。
サンワダイレクトのリングライトは安価ながら色味(色温度)を変えることができるので、青い光やオレンジの光を作り出すことができます。
顔をはっきりと明るく照らすには光量が足りませんが、近くで撮影すれば瞳や表情はそれなりに期待できますね。
女性なら水しぶきで艶っぽく
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ポートレート撮影ではよく髪を振り乱して水しぶきをあげるシーンが人気があります。
上の写真を撮るのはハードルが高いですが足や手で水しぶきを作り出すことは可能です。
✔水しぶきで撮るポイント
・手や足で水しぶきを大きく起こす
・水しぶきが飛ぶ背景は暗い場所がベスト
・夕陽の逆光で撮影する
・デジタルカメラならシャッター速度を上げる
逆光で撮影すれば飛び上がった水しぶきに光があたるため、粒として認識しやすくなります。
スマホはそのまま撮影できますがデジタルカメラの場合はシャッター速度を1/500以上と早くしなければ水粒がブレてしまうので注意が必要。
あと、意外にもっとも重要なのが水しぶきを飛ばす位置をあらかじめ決めて暗い背景にすること。
背景が暗ければ白っぽい水しぶきを認識しやすくなるためおすすめです。
フィルム調でレトロな感じに
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上写真のように特になんでもない岩場と灯台でも、フィルム調になると急にエモく感じてしまうもの。
フィルム写真の良さは淡い写りと、最新カメラレンズのように外から入ってくる光を制御しきれずに生まれるフレアや感光と言った現象が味になる点です。
右下の岩場が赤っぽくなっているのは光漏れによる感光と呼ばれるもので、光が映り込んでしまう人工産物。
また空の右側だけ青くて「左⇒中央」が白くなっているのは、太陽光がレンズ内で反射して生まれる光のカブリが原因のフレアという現象です。
✔フィルム調でレトロな感じに撮るポイント
・フィルム手巻きのカメラを使う
・使い捨てカメラ「写ルンです」を使う
・フィルムカメラ風アプリを使う
フィルムに関しては特に撮り方におすすめはありませんが、これまで紹介したように構図や配置は意識しない方がむしろ良いです。
何気ないスナップのような画がもっともフィルムに合うためですね。
また、フィルム手巻きのカメラや「写ルンです」は現像プリントするのが面倒という方は「1998 Cam」「NOMO CAM」というアプリが抜群におすすめです。
詳しくはこちらの記事で詳しく紹介していますので興味がある方はご覧下さい。
モノクロ写真でシックな印象に
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若い世代にフィルム風はウケてもモノクロームはあまりウケが良くないかもしれませんが、シックな印象のモノクロもまた情報が限られているためエモい写真になりやすい。
ただの白黒と思われるかもしれませんがフィルム写真よりさらに色情報・立体感がなくなっていることで、見る人の想像を掻き立てることができるとも言えます。
✔モノクロ写真のポイント
・デジタルカメラが望ましい
・コントラストを上げる
・白黒の階調が豊か
スマホで印象的なモノクロ写真は難しい理由は”白と黒しかない世界”なので、黒は黒でも深い黒、淡い黒、その中間と繊細な色の表現が求められるため細かい描写ができるデジタルカメラが向いているから。
フィルム写真とは対照的にこちらは物や人の配置など構図を意識すると見やすい写真になりやすい印象がありますね。
エモい海写真はデジタルカメラがないとダメ?
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ここまでシチュエーションごとに7つのエモい海写真の撮り方をご紹介してきましたが、やはり問題は何で撮るか?という部分。
必ずしもデジタルカメラがないとダメかと言うとそういう訳ではありません。
最近の「Google Pixel 6」ではデジタルカメラと見分けがつかないほど、諧調豊かで美しい写真を撮れるスマホが登場しています。
一眼レフやミラーレスで諧調が美しいのはセンサーサイズの違い
高画質スマホでもキレイな写真が撮れるのに、いったいどうしてこだわり派は一眼レフやミラーレスカメラを求めるのでしょうか。
✔こだわり派が一眼レフやミラーレスを使う理由
・デバイスがかっこいい
・センサーサイズが違うから高精細な写真が撮れる
・レンズバリエーションが多く色んな画を作れる
・ボケがきれい
・スマホより明るい
スマホとデジカメの圧倒的な違いとしてはまず「センサーサイズの違い」が挙げられます。
デジタルカメラのセンサーとは上のイラストのようにレンズ取り付け面にあるイメージセンサーのこと。
もっとも重要な部分でレンズから入ってきた光や写真情報をこのイメージセンサーが電気信号に変換⇒データ転送⇒映像として出力、という仕組みになっています。
いわば母艦のようなものでこの許容量が大きいほど高画質で高精細な写真が撮れることを意味していますね。
デジタルカメラのセンサーサイズはフルサイズ(36×24mm)が主流になってきており、スマホのセンサーは1/2.3型と呼ばれるものでフルサイズより1/5または1/6ほどしかありません。
この状況ではスマホモニターで見るレベルなら違いが分かりませんが、拡大してみると意外とその差は歴然としています。
そして、もう一つの大きな違いはセンサーサイズの大きさが違うことで、外から取り入れることができる光量が少ない点。
デジタルカメラでポートレートの逆行撮影すると顔が認識できる程度に暗くなりますが、スマホの場合は逆行撮影ではまず人物の顔は見えなくなると思って良いでしょう。
こうした大きな違いがあるため撮れる写真の幅が違うという点から考えると、デジタルカメラの方がおすすめですね。
スマホなら広角レンズの前提で画作り
最近のAndroidやiPhoneには外部カメラが3基や4基付いているものが多いですよね。
これって上記で説明したように光量が足りない対策として、スマホボディの薄さを保ちつつ光をたくさん取り入れられるよう複眼化されています。
また、広角・標準・望遠とズームインアウトしたときに最適なカメラに切り替える機能も備わっていて、「ポートレートモード」で背景をぼかすことができるのも複眼化の恩恵。
しかし、ドアップの望遠で撮ろうと思うとどうしても画質は著しく劣化してしまうもの。
✔スマホ撮影のポイント
・広角側で撮ること
・ポートレートモードのf値(ボケ)はなるべく大きい方が良い
・縦より横が良い
望遠で撮ると画質劣化してしまうなら広角側で、さらに大きく見せられるよう横アングルで撮るのがおすすめですね。
また、スマホの「ポートレートモード」のボケはデジタルカメラと比べると不自然になりがちなので、「f4.0」より小さい数値はあまりおすすめできません。
結論!エモい海の定番は「夕焼けの海 + 人物」
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今回は海岸やビーチですぐ真似できるエモい写真の撮り方7選と、撮影時のポイントをご紹介しました。
デジタルカメラを持っているとさらに高いレベルの写真を撮ることができますが、最近のスマホでも十分エモい写真を撮れる要素はあります。
暖かくなってくると海にふらっと出かけたくなりますが、訪れる時間帯や天候を考えることもエモい写真には欠かせないポイント。
今回の記事が、スマホやデジタルカメラの特性を知って楽しみながら海のエモい写真を撮りたい!と思っている方の参考になれば幸いです。
鹿児島写真部MUZEでは「ポートレート撮影体験」「フォトウォーク」「写真展」等のイベント開催を行っており、撮影技術向上・モデルマッチング・地元観光応援を目指した企画を行っています。
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カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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