鹿児島出身の写真家・西田航さんのYoutubeチャンネルで「Adobe LightroomではCanon新機種R5、R6、1DX3、RPはプロファイル未対応!?」というけっこう衝撃的な内容の情報提供がありました。
RAW現像ソフト「Adobe Lightroom」は、世界中でプロの約9割が使用していると言われる「Adobe Photoshop」の対のような関係性を持った写真の管理・編集を専門に扱う人気ソフトです。
現在「Adobe Lightroom」は有料版・無料版がありスマホアプリでも簡単に写真編集が行うことが可能で、桑田真澄さんの息子さんMattさんが愛用していることで若い世代からも人気を集めていますよね。
今回はCanonユーザーの中でも特定機種を持った方に限ったお話しになりますが、この管理人コラムではカメラ経験や知識がある方など中級者以上向けに情報発信していこうと思います。
※2022年2月頃~実装開始され、2023年2月現在でも最新のCanon RFシリーズがLightroomマッチングプロファイルに対応しています。
詳細は「Lightroomがアップデートされるまで待つ」でご紹介しています。
Adobe LightroomとはRAW現像ソフト
出典:Adobe
写真やカメラに興味がある人なら誰でも耳にしたことがあるAdobe社が提供する写真管理やレタッチ編集を可能にする「Adobe Lightroom(アドビ ライトルーム)」。
私自身もLightroomを使っていますが、レタッチ編集でトーンカーブやカラーグレーティングなど簡単に階調を変えることができ、カンタンな映り込みを消去することができる機能まで実装されて月額1,078円とあって重宝しています。
実際に私の周りでも「Capture One」より「Lightroom」を使っている割合の方が多く、安心して使える編集ソフトだよね?という認識は今でも間違いないと思っています。
Lightroomには通常の「Lightroom」と「Lightroom classic」の2種類がありますが、classicの方がより凝ったレタッチができるためこちらはハイエンド・プロ用と言った感じです。
Adobe Lightroomの魅力
出典:Adobe
今回は「Adobe Lightroomがマズイよー!使えないよー!」といった感じの見出しで偏った認識がでるとまずいので、先に素晴らしい編集ツールを備えた「Lightroom」の機能をご紹介しておこうと思います。
カメラを始めたばかりの方は特にポートレートや風景撮影においても思った以上にアンダーになってしまったとか、絞り開放にし過ぎてハイライト飛んじゃってる、なんて経験があるのではないでしょうか。
誰もが初めてソフトを触ったときは「えっ、こんな事できるの!?」そんな感動を覚えたことと思いますが、実際Lightroomを使いこなせるようになると写真の出来が2倍も3倍もうまくなると言われています。
カメラメーカーはそれぞれRAW現像ソフトをリリースしていますが比較してみると、
✅色
✅明るさ
✅コントラスト
✅シャープネス
✅トーンカラー
✅カラーグレーティング
✅レンズ補正
すべての面においてLightroomの方が優れた機能を持ち、その影すら踏ませないという現状があります。
同じように人気がある現像ソフト「Capture One」ではハイライトは上げる、シャドウは下げることしかできないのに比べてLightroomでは自在に上げ下げが可能。
加えてスポット修正することができるので不要な映り込みや背景を消すことができます。
最近では「被写体」と「被写体以外」をAIが自動認識して、被写体と背景を別々で調整することも可能。
「Capture One」と「Lightroom」はいずれもサブスク定額制で提供されていますが、前者が月額2,000円~3,000円するのに対して後者は月額1,078円~2,178円と安いことも人気の一つではないでしょうか。
Lightroomでトーンカーブ設定についてお悩みの方はこちらの作例付き記事が参考になると思います。
Canon新機種はLightroomとのカメラマッチングプロファイルが合わない?
出典:unsplash
ここからが本題ですが、この記事執筆時点(2021年7月時点)ではLightroomのマッチングプロファイルはCanonの最新機種に対応するプロファイルだけが実装されていないという事実があります。
SonyやNikonなどのメーカーではLightroom側も最新の機種まで幅広くプロファイル対応されていますが、Canonだけ遅れているという現状。
この事を知ったのは写真家・西田航さんのYoutubeがキッカケですが、話しの中でAdobe側に確認したところ、
「今のところ実装する予定を公表することはできない」
この記事の執筆時(2021年7月時点)では、このような回答があったそうです。
2019年3月発売の「EOS RP」、2020年2月発売の「1DX MarkⅢ」、2020年7月発売の「R5」、2020年8月発売の「R6」。
いずれも発売から約2年未満の機種に関しては2021年7月時点ではプロファイル対応していなかったのですが、詳しく見ていきたいと思います。
Adobe社の公式サポートを見てみる
まず、公式が発表している情報を見ないと事実関係を把握できないのでご参照下さい。
Canonに限って見てみると「1DX MarkⅢ」を除くほぼすべてのEFマウントシリーズ、RFマウントシリーズでは「EOS R」(※条件付きで使用可能なカメラマッチングプロファイルとして表示)以外2021年7月時点では「✕」として表記されていました。
詳しい方はご存知だと思いますが、EOS M50以前の機種では「CR2」と言うフォーマットでRAW画像(静止画)の拡張子が作られていましたが、EOS M50以降の最新機種では「CR3」というフォーマットで拡張子が作られていることが大きな原因だと思われます。
CR3について調べてみると、
CR3形式はISOベースメディアファイル形式に基づき、カスタムタグ&ロスレスRAW又はロッシーC-RAW圧縮をサポートするcrxコーデックが含まれる。で保存した場合は、画像サイズの違いは最小限に抑えることができ、約40%サイズが小さくなります。
出典:Whatext
要するにこれまで従来のRAW(CR2)と同レベルの画質を維持しながらもC-RAW(CR3)の方が画像容量が小さくなりディスクスペースを節約できるという感じで間違いないと思います。
CR3はCR2の改良版でコスパが良いということですね。
RAW(CR2)とC-RAW(CR3)を比較したテストはいくつか行われているようですが画質やノイズは同レベル、違いがあるとすれば「アンダーで撮影して現像時に持ち上げるテスト」でわずかなダイナミックレンジの違いが見られる程度だそう。
それにしてもWindowsやMac、一部のアプリケーションではCR3未対応のため表示されない、と言ったお悩みがよくネット上にありますがLightroomでも同様の現象が起きていると思われます。
すぐに対応プロファイルをアップデートしてくれたら良いのですが2022年2月頃になってやっと対応されるようになり、その間にLightroomから他社現像ソフトに乗り換えてしまった方も多かったのではないでしょうか。
canonの最新機種R5C・R6・R6 Mark II・R3・R7・R10はいずれもマッチングプロファイルが対応しています。
Adobe Lightroomマッチングプロファイルが合わない時の対処法
LightroomとCanon最新機種のプロファイル互換性に問題があることがお分かり頂けたと思いますが、ここからは「じゃあ、どうする?」というお話し。
実際、Lightroomに慣れ親しんだユーザーは簡単にRAW現像ソフトを変えることに抵抗があると思いますし、バリバリ広告やファッション雑誌を撮ってます!的なプロでもない限り微細なスキントーンを気にするかどうかによって選択肢は変わってくるでしょう。
余談ですがネット上で指摘されているコメントを見ていると「顔が土気色になってしまう」など異変に気付いた方は”自分の実力不足”と感じていた方が一定割合いるようですね。
西田航さんみたいなプロがYouTubeを通じて大声を出したことによって「あ~やっぱりそうだったんだ!」と納得されたユーザーさんも多いことでしょう。
ここから先は、今後の新機種や新しいRAW形式が誕生した際に生じる可能性がある、カラートーンにとまどいを感じているユーザーさん向けに今できる、対処法を3つご紹介いたします。
プロファイルブラウザーで階調を補正する
まずは、Lightroomにあらかじめ実装されている「プロファイルブラウザー」で色調を変更してしまう方法です。
結論を先に言いますが、ごまかし以外のなにものでもありません。
ただし、「プロファイルブラウザー」で階調を補正することで”肌の色が土気色”にならないように見せることは可能です。
例を見てみるとコチラの写真の撮って出しがこちら。
そしてLightroomの「現像」→「参照」をクリックして「ビンテージ10」に設定してみるとこのように少し温かみがある肌色に変わりました。
少し背景の赤味が強くなり髪色は柔らかい感じになりましたが、スキントーンは温かさを感じることができます。
これって色温度を上げてイエローを強くすれば同じじゃない?と思いがちですが、試しに色温度をわずかに上げてみると、
背景と髪色の変化はほとんど同じですが、肌にかなりイエローが乗ってしまって土気色感が出てしまいました。
部分的に補正指定すれば同じような結果を得られるかもしれませんが、手間を考えるとこのプロファイルブラウザーを活用すればスキントーンが自然な状態でレタッチをスタートすることができます。
わずかな違いかもしれませんが自然なスキントーンを表現するならこの「プロファイルブラウザーで階調を補正する」という対処法もアリではないでしょうか。
また、操作が難しいトーンカーブやキャリブレーションを駆使すればもっと肌の色を自然に高品質の作品作りをすることができます。
トーンカーブをマスターする方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
Lightroom解約してCapture Oneに乗り換える
こちらはもう極論になってしまいますが「Lightroom解約してCapture Oneに乗り換える」という方法です。
Capture Oneの対応カメラを見てみると2020年12月時点ですでに最新機種のプロファイルが実装済み。
【SONY】 :α7 III、α7R II、α7R III、α7R IV、α7C、α6000、α6300
【Nikon】 :D810、D850、Z 6、Z 7
【Canon】 :EOS 5D Mark II、EOS 5D Mark III、EOS 5D Mark IV、EOS 5Ds R、EOS R5、EOS R6
【フェーズワン】 :IQ3 100MP、IQ4 150MP
【ライカ】 :S3、SL2
実装されているということはカメラ側のプロファイルをそのまま現像ソフトに移行しても、バシッと色が合う訳です。
Capture Oneの良さは対応の早さにあるように思えますが、この辺りは圧倒的なユーザー数を抱えるAdobe社に求めるのは少し酷かもしれませんね。
若干の出費は増えるわけですが、現状の出来ばえをすぐ変えたいと考えている方は「Capture One」あるいは別のRAW現像ソフトに乗り換えた方が今後のストレスも解消するのではないでしょうか。
Lightroomがアップデートされるまで待つ
気の遠くなるような話しですがいずれはLightroomでもアップデートされてCanon新機種もプロファイル対応してくるのではないか、と思います。
2019年に掲載された日経新聞の「点検世界シェア74品目」を見てみると、
デジタルカメラ上位5社の2019年のシェアは93.7%。販売台数1483万台(-22.4%)
– キヤノン 45.4%(+2.4)
– ソニー 20.2%(+0.9)
– ニコン 18.6%(-1.6)
– 富士フイルムホールディングス 4.7%(-0.4)
– パナソニック 4.7%(0.0)
統計上ではCanonの市場シェアがもっとも大きいわけですが肌感としてはポートレート撮影するカメラマンはSONY αシリーズやNikon Zシリーズ保有率が高いと感じています。
実は最近、大変ありがたいことにMUZE宛に中国・深圳の光学メーカー「7Artisans」からレンズ提供&サンプリング撮影依頼を頂いたのですが、Canon「EF」「RF」に対応したマウントを作られていませんでした。
また、マウントアダプターで有名な「焦点工房」を見てもCanonボディに変換するマウントは少ないように感じます。
何が言いたいのかと言うと「脱・キャノン」又は「キャノンの独自政策」のような動きが世界中であるとしたら、Canonユーザーにとっては色んなレンズを試す機会が減り、RAW現像ソフトのようなアプリケーションでも使い勝手が悪くなる可能性が今後もあるのではないでしょうか。
もちろん、私自身の見解なので想像の域はでませんが、Lightroomがアップデートされるまでにはまだしばらく時間がかかると思います。
※追記
2021年10月27日~28日に開催された「Adobe MAX 2021」に合わせてLightroomがアップデートされ、R5・R6・R3・1DX3のマッチングプロファイルが対応されるようになりました。
詳しくは下の記事で紹介しています。
※2022年2月時点の確認で見てみると「Canon RFシリーズ」は全てLightroomのマッチングプロファイルが対応しておりました。懸念していたRPも対応したとのことでお知らせいたします。また、2023年2月時点では最新機種R5C・R6・R6 markⅡ・R7・R10も対応済み。
出典:Adobe
下記リンクからAdobe公式ページで確認することができます。
≫Camera RAWがサポートするカメラ
ネット上でも「おかしいのでは?」と言う声が上がっている
ネット上でもにわかにCanon新機種のプロファイル未対応について議論や憶測が飛びかっていますが、いずれも明確な答えにたどりつくことはできませんでした。
「価格.com」の口コミ欄でも同じような議論がされていますが、Adobe公式カスタマーにも同様の声が寄せられていましたね。
いずれにしても撮る写真の編集・加工についてどこまで許容できるか、できないかの問題なので支障が出るなら変える。または代替案を考える。
間違いなく言えることは「Lightroom」「Capture One」いずれにしても、マッチングプロファイルの違いによるスキントーンや階調の違いを一目で見分けられるよう精進していくばかりです。
冒頭でも言ったように衝撃的な内容の情報提供があった西田航さんのYouTubeチャンネル動画を貼り付けておきます。
興味のある方はどうぞご覧ください。
今回の記事がCanonユーザーでLightroomマッチングプロファイルが合わなくて困っている方の参考になれば幸いです。
鹿児島写真部MUZEでは「MUZE撮影会」やイベント企画など撮影技術向上を目指した企画を行っています。
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カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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