サードパーティ製とはカメラボディを製造するメーカー以外の互換性レンズのこと。
サードパーティ製レンズと言えば、国内ではシグマとタムロンが有名ですが中国製レンズも負けじと素晴らしいレンズを格安で製造販売しています。
今回は写真部MUZEがもっともおすすめしたい、2022年の広角・標準・ズーム・単焦点ごとに厳選した中華レンズの神レンズ7本をご紹介します。
この記事を読むことで、以下のような悩みを解決することができます。
・中華レンズって使えるの?
・中華レンズの中でも神レンズを知りたい
・中華レンズのデメリットを知りたい
中華レンズの中でも特に高い性能を有する神レンズ、中華レンズのメリットやデメリットを知ることができるので最後まで読んで頂けると幸いです。
中華レンズの台頭は中一光学・銘匠光学・七工匠・Neewer
出典:中一光学
中華(中国)と言えば昔から「MADE in China」は安っぽくて偽物が多いという印象を持つ年配の方も多いのでは?
しかし、現代では明らかに真似ごとのレベルを超えた技術進歩や経済発展において、電子機器や光学レンズは日本だけでなく世界にも大きな市場を持つ中国製。
レンズもしかり純正レンズよりはるかに安い価格帯で驚きの最小F値と描写を持つ神レンズが続々と登場しています。
✔有名な中華レンズメーカー
・中一光学(ZHONG YI OPTICS)
・銘匠光学(TTArtisan)
・七工匠(7Artisans)
・Neewer
中華レンズと言えば上の3つが有名ですがその他にも個性的なレンズを作る「LAOWA(ラオワ)」、AF(オートフォーカス)レンズが高評価の「YONGNUO(ユンヌオ)」など新興メーカーもどんどん増えていますね。
以前、七工匠からレンズサンプリング提供を頂いたことがありますが、どのレンズも純正ではありえないような大口径レンズが多い印象ですね。
特徴としてはMF(マニュアルフォーカス)が多いのですが、あらゆるカメラマウントに対応しており、価格帯も国内サードパーティ製レンズ(タムロン・シグマ)と比較してずっと安い。
その割に描写が良いため、たくさんのユーザーが手を出しやすいようになっています。
ちなみに七工匠(7Artisans)の方から直接お聞きしましたが「銘匠光学(TTArtisan)」はもともと七工匠にいた技術者が独立して作った別会社だそうです。
中華レンズの3つの特徴
出典:unsplash
前章でも触れたように中華レンズの特徴としてあらゆるカメラマウントに対応している、大口径レンズが多い、価格が安いといった特徴があります。
ここでは一つずつその特徴をご紹介していきます。
あらゆるカメラマウントに対応している
中華レンズはサードパーティ製らしくCanon・SONY・Nikon・富士フイルム・ライカなど色んなカメラメーカーのマウント形状に合うようバリエーション多く用意されています。
例えば、前出の七工匠「50mm F0.95」というレンズの場合、
✔7artisans「50mmF0.95」の適合するカメラマウント
・Canon EOS-Mマウント
・SONY αマウント、NEXマウント
・Nikon Zマウント
・富士フイルム Xマウント
・Olympus Eシリーズ、Panasonic G・GX・GFシリーズ(マイクロフォーサーズマウント)
出典:Amazon
このレンズはAPS-CフォーマットですがCanonのEF・RFシリーズをのぞくとほぼ全ての最新カメラマウントに適合しています。
その他の「35mm F0.95」「35mm F1.2」も同じように様々なカメラに対応しており、別商品ではライカMマウントに合うものまで。
あらゆるカメラに使えることで予算の少ないカメラマンにとってコンパクトで安価な大口径レンズはとても魅力的に映ってしまいますよね。
もちろんハイアマやプロ向けの純正レンズには性能差で劣ってはいるものの、MFオールドレンズブームに乗っかりうまく市場を広げている印象があります。
3万円以下で買えるF0.95レンズはコチラ
➡7artisans「50mmF0.95」
国内のサードパーティ製レンズで人気が高いタムロンの神レンズはこちらで紹介しています。
「F1」以下の大口径レンズは暗いもの知らず
ポートレートを撮るカメラマンにとって大口径の明るいレンズはとても人気が高いもの。
純正レンズでもF1.0以下は恐らく存在していないと思うのですが、世界F値最小はカールツァイスの「Planar 50mm f/0.7」。
圧倒的なボケ破壊力で、わずか数ミリ先はピントが外れてしまうほど被写界深度が浅いわけですが、使いこなすには至難のわざが必要です。
実際に私もF0.95ですらガチピンと言えるものが果たしてどれだけあったかな、という印象。
上の写真はいずれも私が撮影したものですが、いずれも日中では明るすぎるためNDフィルターがない場合はシャッター速度1/1600~1/2000まで上げる必要があります。
そして、前面にピントがありますが背景はもう全て一枚の壁のようにボケています。
でも、F1.0以下レンズが真価を発揮するのは暗い夜や室内での撮影。
暗い場所ではこのレンズが持つF値が究極に小さいというアドバンテージのおかげでわずかな光があるだけで最大限に生かすことができます。
お仕事用レンズとしてはピントの心配があるため心許ないですが、カメラ内蔵のMFピーキングやMF拡大アシスト機能を使えばある程度はピントの合った写真を確保できるでしょう。
このわずか数センチしかないピント域の調整ができるようになれば、かなりMF技術も上達させることもできますね。
価格がつき抜けて安い
中華レンズの何がすごいかって、それは圧倒的な「安値」ではないでしょうか。
ほぼ同スペックと考えられる単焦点レンズの価格を比較してみましょう。
✔単焦点ンズの価格比較(2023.2月時点のAmazon価格)
・七工匠50mm f0.95 ➡ 27,258円
・Nikon AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G ➡ 20,655円
・SONY E 50mm F1.8 OSS SEL50F18-B ➡ 31,325円
・富士フイルム XF50mmF2 R WR ➡ 48,213円
・SIGMA 56mm F1.4 DC DN ➡ 45,000円
価格や描写が同クラスのレンズと並べてみると同じ単焦点なのに七工匠50mmf0.95は他のレンズより大きく離れたF値になっています。
他のレンズはAF(オートフォーカス)で七工匠レンズはMF(マニュアルフォーカス)という難儀な点は割引が必要ですが、より明るいレンズを求めているカメラマンにとってこの価格帯はかなり魅力的。
中華レンズは構造がシンプルでちょっと重みを感じる金属製が多いですが、大口径のわりにレンズ前玉も小さくて持ち運びしやすいコンパクトさも兼ね備えていますね。
【2022年】中華レンズの神レンズ7本!
出典:unsplash
ここからは2022年、写真部MUZEがおすすめする中華レンズの神レンズ7本をご紹介します!
結論として、MF特性が多いためズームレンズは数が少ないですが、単焦点ならでは素晴らしいレンズはとても充実している印象。
オールドレンズっぽい映りをするレンズ、そうでないパリッとした高画質が売りのレンズがあるので撮りたい用途やテイストに合わせて準備するのがおすすめ。
中華レンズ超広角~広角ズームの神レンズ
LAOWA「10-18mm F4.5-5.6 ZOOM」
出典:LAOWA
【スペック】
発売日:2019年8月8日発売
楽天価格:115,830円(2023年2月時点)
レンズ構成:10群14枚
撮影最短距離:0.15m
重量:約496g
マウント:Sony E、Nikon Z、ライカ L
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中華レンズでは珍しい超広角ズームレンズ。
超軽量コンパクト・最小クラスのフルサイズ対応レンズですが、最短撮影距離15cmまで寄れるので0.25倍のマクロ撮影も可能という面白いレンズです。
作例を見ると分かりますがほんのりと甘い色乗りながら細かい描写はしっかりしており、夜景や建造物の撮影で活躍してくれるでしょう。
また、広角マクロは珍しいのでとても面白い表現ができると思いますね。
中華レンズ広角の神レンズ
銘匠光学「TTArtisan 21mm f/1.5 ASPH」
出典:焦点工房
【スペック】
発売日:2021年4月30日発売
Amazon価格:38,520円(2023年2月時点)
レンズ構成:11群13枚
撮影最短距離:0.5m
重量:約420~460g
マウント:SONY E、Nikon Z、Canon RF、ライカ L
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焦点距離21mmの大口径レンズで価格も突き抜けて安い神レンズ。
大手カメラマウントにはほぼ対応しており夜景ポートレートや夜景撮影ではかなり活躍してくれること必至です。
まだ作例が少ないですが開放時は淡いオールドレンズ風の描写になり、絞るとかなりシャープな描写が実現するのでさまざまな表現に最適ですね。
銘匠光学「TTArtisan 35mm f/1.4 ASPH」
出典:焦点工房
【スペック】
発売日:2021年4月30日発売
Amazon価格:55,970円(2023年2月時点)
レンズ構成:7群8枚
撮影最短距離:0.7m
重量:約410g
マウント:SONY E、Nikon Z、Canon RF、ライカ L
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昨年発売されたばかりフルサイズ対応の大口径レンズ。
描写に関しては同シリーズ「TTArtisan 21mm f/1.5 ASPH」に似ており、開放では淡い写りをするのに対して絞るとシャープな描写が持ち味。
印象としては少しオレンジやイエローが強く出てしまう傾向があるため、色温度調整が必要かなと思いますが価格を考えるとお得であることに変わりありません。
特徴的なのはレンズ専用マウントアダプターが販売されており、装着することでハッセルブラッド・富士フイルムZ・Xなどほぼ全てのフルサイズマウントを網羅することになりますね。
中華レンズ望遠の神レンズ
LAOWA「105mm F2 BOKEH DREAMER」
出典:LAOWA
【スペック】
発売日:2016年7月2日発売
Amazon価格:112,860円(2023年2月時点)
レンズ構成:8群11枚
撮影最短距離:0.9m
重量:約746g
マウント:Canon EF、Nikon F、Sony A、SONY E、PENTAX K
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2016年に発売された100mm望遠の神レンズ。
名前に「BOKEH DREAMER」という名前が付いているよう最大の魅力は美しいボケ、そして開放時でもピント周辺はシャープな描写を実現している点ですね。
中華レンズの中ではもっとも高価格帯ですがアポダイゼーション(APD)フィルターという光を徐々に減光する仕組みが採用されています。
中華レンズ単焦点の神レンズ
中一光学「SPEEDMASTER 85mm F1.2」
出典:焦点工房
【スペック】
発売日:2015年5月28日発売
Amazon価格:89,100円(2023年2月時点)
レンズ構成:6群9枚
撮影最短距離:0.85m
重量:約920g
マウント:Canon EF・RF、SONY E、Nikon F・Z、ペンタックス K
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こちらは中一光学の中でも高品質なSPEEDMASTERシリーズの85mm大口径F1.2の神レンズ。
私もこのレンズ大好きで今でも愛用していますが、ハッキリ言ってCanon純正「EF85mm F1.2 L」と同等クラスの高い描写が持ち味。
フレアに弱い・レンズ付近での前ボケが苦手という弱点をのぞけば、開放ではぐるぐるボケが出現し絞ると高いシャープネスを実現します。
オールドレンズ風ではなくパリッとした描写をしてくれるのでこの価格帯でこの性能はまさに神レンズで、写真家HASEOさん、イルコ・アレクサンダロフさんが紹介していた理由もうなずけますね。
中一光学「SPEEDMASTER 50mm F0.95」
出典:焦点工房
【スペック】
発売日:2021年2月26日発売
Amazon価格:100,000円(2023年2月時点)
レンズ構成:7群10枚
撮影最短距離:0.5m
重量:約770g
マウント:SONY E、Nikon z、Canon RF、ライカ L
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⇒PHOTOHITO
描写やボケが素晴らしいSPEEDMASTERシリーズの50mmF0.95という驚異的に明るい神レンズ。
フルサイズセンサーと組みわせることでさらにそのボケは強さを増しますが、フォーカスリングが320度回転しより細かいピント合わせが可能になっています。
F1.0以下は見る方も撮る方もまさに息をのむ世界観なので、明るい単焦点レンズを探している方は検討してみましょう。
焦点距離85mmより50mmの方が好みの方にはこちらをおすすめしたいですね。
YONGNUO YN85mm F1.8S DF DSM
出典:Amazon
【スペック】
発売日:2021年2月4日発売
Amazon価格:45,700円(2023年2月時点)
レンズ構成:8群9枚
撮影最短距離:0.8m
重量:約346g
マウント:SONY E、Nikon Z、Canon RF
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中華レンズでは唯一YONGNUOだけがAF(オートフォーカス)駆動レンズを作っていますが2本目となる神レンズ。
F1.8と大口径とまではいきませんが美しいボケと高い描写性能が魅力、4万円台でこの写りを手に入れることができるのは純正メーカー側は脅威ですね。
SONY αシリーズとの組み合わせで瞳AFがしっかり駆動しており、MFはどうしてもうまくいかないという方にはこちらをおすすめします。
中華レンズのデメリット
出典:unsplash
私自身、中一光学と七工匠レンズを持っていて格安でボケがすごい中華レンズですが、純正レンズと比べてそれなりに苦労する点もあるのでお伝えしておこうと思います。
この点とうまく付き合っていくことができれば、裏を返せばもっと楽しい写活ができる要因にもなると思っているところですね。
MF(マニュアルフォーカス)が長時間は使えない
中華レンズのほとんどが単焦点MFである場合が多いわけですが、日常的に使うにはそれなりに神経と視力をすり減らされることがあります。
私もポートレート撮影でいまだに中一光学「SPEEDMASTAR 85mm F1.2」を愛用していますが、AF(オートフォーカス)レンズと違ってファインダーを覗いてピント調整する手間が発生しています。
オールドレンズ風の描写が多い中華レンズの中でも純正レンズ顔負けの描写・ぐるぐるボケが魅力のこのレンズですが、絞って撮影するとめちゃくちゃキレイ。
また、動画撮影ではMF(マニュアルフォーカス)レンズが人気があり、適度にピンボケした感じがエモい表現と繋がることも多いです。
でも、正直2時間ほど撮影していたら目の疲労感が半端ないとも感じています。
✔MF(マニュアルフォーカス)が長時間使えない理由
・絶対に逃してはいけないお仕事撮影は不向き
・ピント合わせに手間がかかる
・シャッターを切るまでにロスが生まれる
・シャッター回数が多くなる
AF(オートフォーカス)と違ってシャッターを切るまでに時間がかかったり、その間にモデルさんとの妙な間もできてしまうことはよくありますね。
また、単純にピント誤差を減らすためシャッターを切る回数が多くなり、あとで写真選別するときも時間がかかるでしょう。
モニター越しの撮影が難しいためファインダーをのぞかないといけないわけですが、それなりに目を酷使しますし適度に休養しながら撮影する必要がありそうです。
利き目と撮りすぎてめまいやフラフラする場合がある方は以下の記事が参考になるかと思います。
オールドレンズっぽさが抜けない
これは自分だけの見解ではないのですがネット上を見てみると中華レンズに対して「オールドレンズっぽい」と評価を下しているカメラマンさんが一定数いるようですね。
以下は「7Artisans 35mm F1.2」のレビュー記事を引用しています。
「撮影してみた印象は「まるでオールドレンズのよう」でした。絞り込みによる描写変化はやや大きめで、シャープネスとコントラストが分かりやすく変化するように思います。絞り込み以外にも撮影距離によって描写変化・ボケ味の変化が大きいというのも、最近のレンズにはない特性でしょう。」
出典:デジカメWatch
確かに安くて明るいレンズには違いないのですがF値を絞るとそれなりにシャープな印象。
しかし、開放にするとフレアが強くなり一気に描写が甘くなるため、それがオールドっぽいという印象を抱く原因かもしれませんね。
ただし、「SPEEDMASTAR 85mm F1.2」のように重量のある大口径レンズを除くと、驚くほどコンパクト軽量なのでスナップには最適だと思います。
この辺りは好みもあるかなと思うのでポトレ・スナップ・風景・作品撮りなどジャンルに合わせて使い分ける選択肢のうちの一つと思っておくと良いでしょう。
中華レンズの神レンズで高コスパを目指す
出典:unsplash
今回は写真部MUZEがもっともおすすめしたい、2022年の広角・標準・ズーム・単焦点ごとに厳選した中華レンズの神レンズ7本をご紹介しました。
SPEEDMASTER系は国内サードパーティ製に劣らないレンズもあり、価格なりに逆光耐性・描写の甘さはありますがそれでも充分良いレンズであることに変わりありません。
純正レンズであらゆる焦点距離をカバーすることは現実的ではないため、新しい焦点距離に挑戦するときや動画撮影で人気が高いMFレンズの練習をしたいと思ったときは迷わず中華レンズがおすすめ。
今回の記事が中華レンズのおすすめ神レンズを知りたいと思っている方の参考になれば幸いです。鹿児島写真部MUZEでは「MUZE撮影会」やイベント企画など撮影技術向上を目指した企画を行っています。
前回、前々回と参加してなかった方でも気軽に参加することができるので、皆さんの部員応募やイベント参加をお待ちしています。
また、写真部MUZEでは2021年11月から有料「MUZE撮影会」を開催しており随時有料モデル(時給1000円~3500円・実働2h~4h程)を募集しています。興味のある方はこちらのモデル応募フォームまたはInstagramのDMよりご相談下さい。
部員参加は下記、入部フォームから簡単にお申込みすることができます。たくさんのカメラ写真好きの皆様とお会いできることを楽しみにしております!
■無料・部員入部ホーム■
カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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