一眼デジタルカメラを持っている方は雑誌やSNSを見ているとよく「ライティング」というフレーズを耳にすることがあると思います。
しかし、実際はカメラレンズだけでも高額なのに純正ストロボまで手が回らないよ!という方も多いのではないでしょうか。
純正クリップオンストロボ1灯だけでも3~5万円することも珍しくなくハードルが高いように思われがちですが、GODOX製ならそこまでお金をかけずにストロボ撮影を楽しむことができます。
今回は年間50件以上の商業、ポートレート、記念撮影を行ってきた現役カメラマンが写真部におすすめしているGODOX製ストロボの使い方、どのような効果を得ることができるのかご紹介します。
この記事を読むことでストロボ初心者でも新しいライティングスキルを手にいれることができます。
カメラに使うストロボとはどんなもの?
出典:unsplash
ストロボという言葉はカメラに関わる方なら誰もが聞いたことあると思いますがカンタンに言ってしまえば「人工的な発光装置」のこと。
マスコミ取材のカメラマンがよくカメラ上にフラッシュを取り付けて光らせるタイプをクリップオンストロボ。
電源あるいは電池を動力にしてカメラから離れた位置にストロボ機を設置、ワイヤレス操作して光らせるタイプをオフカメラやモノブロックと呼びます。
フラッシュという言葉もありますがこれはストロボとほぼ同義語なので同じと思って良いですね。
ストロボは定常光か瞬間光で種類分けされる
ここではストロボの「光り方」にフォーカスしていきますが、種類は大きく分けて2つあります。
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「定常光」=常に点灯しておりシャッターを切る前から光の当たり具合を確認できるが、電力を多く必要とする。
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「瞬間光(フラッシュ)」=シャッターを切った瞬間だけフラッシュして光る。撮ってみないと光の当たり具合を確認できない。
大型の撮影スタジオに置いてあるタイプはコンセントから電源を取る定常光の大型ストロボで「モノブロックストロボ」と呼ばれるもの。
撮影スタジオでは「定常光」タイプが多いですが小さいな写真スタジオではフラッシュするタイプの「瞬間光(フラッシュ)」もよく用いられています。
子供撮影のスタジオアリスでもシャッターを切った瞬間「ピー、ピー、ピッ、ピッ」と鳴って光るストロボも瞬間光(フラッシュ)タイプ。
出典:OM SYSTEM
ストロボをフラッシュ発光して撮影する仕組みはストロボが光った瞬間に、シャッター幕が同調して開いて光を取り込むようになっています。
使用上の大きな違いは「定常光」は強い光を当てて撮影前に確認できるので失敗しにくいですが電力を多く必要とする。反対に「瞬間光(フラッシュ)」は少し弱い光で撮ってみないと分からない部分が多いけど、電池や専用バッテリーで補える点。
ストロボとLEDライトの違いは色味
ポートレート撮影するときの光源としてストロボのほかに最近は個人カメラマンの間でもLEDライトが普及してきました。
少し難しい話しになりますがストロボの先端にある光る部分は「キセノン管」というもので出来ていて、シャッターを切った瞬間に激しく放電して光る仕組みになっています。
一方、LEDライト(発光ダイオード)は半導体で出来ており電子がぶつかり合うことで発光します。
出典:テクノロジー
LEDライトを構成するカラーは一般的に「青+黄」「赤+青+黄」の2種類。
当然、「赤+青+黄」のRGBカラーの方が表現できる色温度の幅は広いですね。
ストロボ光に比べて白はより白らしい色合いになりその他に青・黄・赤など光の色温度を変えられるのも大きな特徴ですね。
色の3原色RGBは絵具のようにそれぞれ混じりあうことで違う色を出すことができるんですね。
オフカメラとクリップオンの違いは設置場所
オフカメラと言うのは言葉の通りカメラから取り外し、スタンド等に取り付けて遠隔で光らせる方式。
クリップオンはマスコミ取材のカメラマンスタイルでカメラ上部の「ホットシュー」と呼ばれる部分に取り付けてカメラのレンズ上から発光させる方式のこと。
オフカメラの場合は好きな方向から光らせることができるので表現の幅が増えますが、遠隔操作するには電波方式(ラジオスレーブ)対応のリモコンが必要になります。
おすすめは最大5台までストロボの遠隔操作ができるGODOX製「X-PRO」シリーズ。
複雑なライティングに挑戦するときはこのリモコンが必須になるので、ぜひストロボと一緒に揃えておきたいアイテムですね。
カメラメーカーによってホットシュー形状が異なるため、Cannon用・SONY用・Nikon用・富士フィルム用とそれぞれ準備されていますので適合するか事前に確認しておきましょう。
このリモコンは最新のGODOX製ストロボならだいたいどれでも対応しているので買い替える手間が省けますよ。
写真部おすすめGODOXストロボの使い方
ストロボの使い方を学習する前に覚えておかないと撮影時にうまく光らない、明るさを調整できない、と焦ってしまうことがあります。
ストロボのモードには以下の2種類があります。
「TTLモード」=メーカーの純正ストロボによく搭載されている機能でシャッターを押すだけでその環境の明るさやカメラ設定を考えてオートで明るさを調整してくれるモード。
「マニュアル発光モード(S1、S2)」=ストロボの明るさを手動で設定できるモード。複数台ストロボを使う場合は専用リモコンを通じて1台ずつ設定する必要があります。
初心者にはTTLモードがおすすめですがGODOX TT600には搭載されていないモードなのでどうしてもTTLモードを使いたい場合は純正ストロボあるいはGODOX 685シリーズ以上のストロボを準備しましょう。
なお、この時カメラ側のモード設定はマニュアル・プログラムオート、絞り優先、シャッタースピード優先のいずれでも撮影できますが、おすすめはもちろんマニュアルモード。
「GODOX TT600」の使い方
おすすめの「GODOX TT600」の使い方をワイヤレスリモコンを使う前提で簡単におさらいしていきます。
①ストロボをスレーブモード(S)にする
②X-PROのCHを好きな数字に設定(他の同機種との混線を避けるため)
③TT600のCHを調整してX-PROと同期させる
④ストロボごとにグループ(Gr)分けする(X-PROの場合、最大A~Eまで5台接続可能)
⑤同期したらX-PROリモコン側から個別に光量を設定する(最大が1、1/2、1/4、1/8、1/16、1/32、1/64、1/128が最小)
⑥プリ発光させて同期しているか確認する
⑦ハイスピードシンクロを使って思いのままに操る(通常はシャッタースピード1/200秒が同調できる限界ですがこの機能を使えば最大1/8000秒まで上げることが可能)
初めは慣れないかもしれませんが何度か使っているとコツがつかめてきます。
「GODOX TT600」は8000円台で購入することができる中国製ストロボで、明るさを示すガイドナンバーは60。
この数値は夜間に撮影するときには十分な光量なので手軽に使うことができますし、日中の少し暗い場所なら全然使うことができますよ。
メニュー機能の使い方はこちらの「初心者向け Godox クリップオンストロボ TT600の使い方」で詳しく紹介されていましたので参考までに。
リモコンをカメラホットシューに取り付けるときしっかりねじ込みしていないと反応しないことがありますね。
「GODOX AD100 PRO」の使い方
次におすすめの「GODOX AD100 PRO」はバッテリー型のモノブロックストロボ。趣味のポートレートから本格的な撮影現場でも使えるなど優れた最新機器ですね。
大きさも350mlアルミ缶とほぼ同サイズで520gと軽量なので屋外への持ち運びも便利。
使い方をおさらいしておきましょう。
①AD100PROにバッテリーを取り付け電源ON → ダイヤルを下に回してロック解除する※誤って起動するのを防ぐためロック機能がついています
②モードからTTLかマニュアルモードの好きな方に設定する
③複数台ストロボがある場合はGR/CHからグループ分けし、それぞれチャンネル設定を行う
④同期したらX-PROリモコン側から個別に光量を設定する
⑤暗い場所ではモデリングランプ(定常光)が使える。撮影用の光源としては弱いが暗い場所での撮影ではピント合わせ用として重宝します。
AD100 PROの明るさを示すWsは100WsなのでTT600よりは少し弱いと思いますが、TTLモードが使えることやモデリングランプを考えればそれなりの価値はあるのではないでしょうか。
ちょっと凝ったライティングにも使えますし、初めてのストロボデビューにはTT600かAD100 PROがおすすめ。
ADシリーズは筒状の丸型なので光の拡散の仕方が、四角いクリップオンストロボに比べて柔らかくなりますね。
なお、モノブロックタイプの場合、明るさを示す基準はガイドナンバーを使わず「Ws(ワット秒)」という単位が使われています。
モノブロックタイプは撮影前から光が見えているのでとても撮りやすいですよ。
初心者~中級者向けおすすめのカメラストロボ&LEDライト
手頃な価格でストロボ初心者におすすめのライティング機材をご紹介していきます。
ここで紹介するGODOXやNeewerは中華製ブランドですが安くて耐久性も高いと多くのカメラマンに愛用されているモデル。
いわゆるサードパーティ製と呼ばれるものですがいずれも趣味のポートレート、しっかりとした記録撮影やスタジオライティングでも使えるものなので重宝しますよ。
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Neewer「TT560」
瞬間光ストロボの中ではもっとも安い部類に入るNeewerのクリップオンストロボ。
3000円台という驚異のコスパですが機能面ではガイドナンバー38、TTL未対応でラジオスレーブに対応しています。
初めてのストロボとして使うには値段も手ごろでクリップオンだけでなくオフカメラとしてリモコン経由で操作することも可能。
ちなみにガイドナンバー38という数字は室内や夜間撮影には十分な光量で、長くは使えないけどまずはライティングに挑戦してみたいという方におすすめの一台ですね。
一台までなら下のFC-16Nでオフカメラ操作できますが、今後増やす可能性がある方は前章で紹介したGODOX X-PROがあればFC-16Nは不要になるので買う前に検討してみましょう。
GODOX「TT600」
こちらはGODOXのガイドナンバー60という強い光源を備えている8000円台で買うことができるクリップオンストロボ。
TT560や純正ストロボと比較してもTTL調光できる純正ストロボが数万円するのに対し、TT600はTTL機能をのぞけばほぼ純正ストロボと同等の性能を持っています。
このストロボはプロもサブとして使ってる方が多く、TT560と比較して光量が強くなっただけでなく上下・左右への首振りが可能、夜間撮影で役立つアシストビーム機能付き。
屋外への持ち出しや室内撮影でも十分使えるので、ライティング撮影に興味がある方は必ず持っておいて損はしない一台。また、多数操作するときのリモコンはX-PROが断然おすすめです。
なお、リモコンとストロボいずれともメーカーによってホットシュー規格が違うので適合するタイプを選びましょう。
GODOX「AD100 PRO」
AD100 PROは定常光モノブロックタイプのストロボで初心者~中級者の間で人気が高く色んな撮影シーンで活躍しています。
大きさも350mlアルミ缶ほどのサイズで約400gと小型軽量を実現、バッテリータイプなので野外での撮影や簡易スタジオを設置するときにも重宝しますね。
光量は「100Ws」でTT560と同程度で決して強い光量ではありませんがモデリングランプ機能付き、クリップオンタイプより高めの価格ですが初めてのモノブロックにおすすめしたい一台。
ランクとしては初心者向けですが夜景や屋内での撮影、スタジオ撮影でも活躍しそうですね。
GODOX「AD200 PRO」
こちらはGODOX AD100PROの上位互換バージョンで100PROでは筒状だったのに対してこちらは四角い形をしたモノブロックストロボ。
価格を比較するとAD100PROより高いですが調光制御が1~1/256とさらに細かい光の表現が可能になり、フル発光で約500回と取り回しの良さを兼ね備えています。
ガイドナンバーは52と充分な光量でストロボヘッドをスピードライトヘッド、フラッシュチューブヘッドに取り換えることが可能。
重量はヘッドライトとバッテリー装着して約900gと機能性を考えれば持ち運びにも十分使いやすそうですね。
難点としては形状が四角いクリップオンストロボ型なので、ディフューザーやアンブレラを使えば上手に光を拡散できるでしょう。
Neewer「660 RGB LEDライト」
Neewer 660 RGB LEDライトは1万円台で本格的なLEDライティングが可能、動画撮影や物撮り向きのLEDライト。
170個の白、170個の黄色、320個のRGBで作られているためHSIカラーに準拠した320通りもの色表現を行うことができます。
また、専用アプリを通じて遠隔でLEDライトの色温度を変えることできるのも魅力の一つ。
パワーは40wと強いものではありませんが室内なら問題なし、怪しい光を演出したり商品の魅力を伝えるのに最適なLEDライトでアーティスト撮影にも欠かせないアイテムですね。
Godox「VL150 LEDビデオライト」
GODOXのVL150はプロ仕様の本格的なライティングをすることができる「定常光モノブロック + LEDライト」をミックスしたストロボ。
光量は150Wと大型の光量で約2Kgと重量はありますが電源コードとバッテリーいずれかを選択することができるのでほとんどのシーンをこの一台で補うことが可能です。
色温度は5600Kでほぼ固定されていますがGODOXのあらゆる商品が「ボーエンズマウント」と呼ばれる共通の規格で作られているため、ディフューザーやアンブレラなど色んな商品と組み合わせることが可能。
コスプレ撮影でも人気が高い商品ですが、ライティング撮影に慣れてきて本格的なスタジオ撮影をしてみたい方にもおすすめですね。
ストロボライティングを身に付けると写真表現が増える
ストロボを使うのは少し前ならスタジオを持つプロだけの特権のように思えました。
しかし、安価なサードパーティ製品の登場によって個人のポートレートから店舗オーナーの商品撮影に至るまでカンタンにストロボを扱うことができるようになりましたよね。
ここではストロボ紹介しといて自分は使ってないんじゃないかと思われるとマズイので自分の作品、そして素晴らしいポートレートライティングを惜しみなくYouTubeで公開されている写真家グンキさんの紹介をしていきます。
ライティング撮影は写真の幅が広がる
カメラを始めた初期は明るい日中に自然光で撮ることが多いと思いますが、コロナ渦もあって自宅で過ごす時間が多くなると写欲を自宅で解決できないかと考える機会が増えました。
そこで私は比較的早い段階で安いGODOX TT560を買ってライティング撮影を始めましたがストロボの魅力は、
・太陽以外の光の数が増える
・光の質感のバリエーションが増える
・夜間の暗い場所でも撮影できる
・強調したいシルエットを魅せることができる
・幻想的な世界を演出できる
とにかくかっこいい写真を撮れるようになるんですよね。
初めは物撮りにハマっていたせいもあって週末になると100均で集めたグッズを使って簡易スタジオを作っていました。
これは真っ暗な室内で撮影したものですがグラスとビールに水滴を付けて傾斜にしてそれぞれ撮影。向かって左から部屋に入ってくる自然光、向かって右からTT560(光量1/64+α)を当てています。
最終的にはグラスとビール缶をPhotoshopで切り取って桜イメージの素材と合成していますが、この質感はなかなか満足いく出来でした。
こちらはいちごタルトの高級感を出したくてYouTubeで学んだイメージを基に小物を使って撮影した一枚。
向かって左からストロボ光(光量1/128)をあてて右側は暗くしたかったのでストロボ一灯撮影です。
ライティングの面白いところは光の足し算なのでブラックボックス(真っ暗闇)に光を足して狙った通りに撮れると何とも言えない達成感があります。
簡易スタジオでも光の構図を作ってしまえば不思議と何を撮っても上手くいくので、この辺りは写真館のスタジオ撮影も同じことが言えるのではないでしょうか。
ライティングのお手本・グンキさん
ポートレートのライティングを学ぶと言えば写真家・グンキさんが頭に浮かびます。
光の魔術師と面白い名前が付いているイルコ・アレサンドロフさんという有名なフォトグラファーもいますが、真似して実践してみるという観点からはグンキさんのYoutubeはうってつけ。
撮影現場のロケーションから使用機材、ストロボ設置、カメラ&ストボロ光量の設定まであらゆるテクニックを惜しみなく紹介してくれています!
九州福岡を中心に活躍されている方なのでまだご存知じゃない方は上のYoutube動画を見ればおすすめした理由が分かるかと思います。
ちなみに上の動画では撮影した後のレタッチ術を公開されているので、撮影中~後まで一連の流れが網羅できますよ。
詳しくはこちらの記事でポートレートの撮り方とグンキさんの紹介をしています!参考になるかと思いますので是非ご覧下さい。
ライティングのストロボ効果で差をつけよう!
出典:unsplash
写真部おすすめGODOXストロボの使い方とライティング撮影の魅力をご紹介しました。
撮影する手間は増えることは必至ですがこれまでとは違った写真表現、場所や時間を問わず撮影できるストロボは魅力的です。
写真を撮るときはまず光を見る、と言われますが写真の本質は何を目的にどう魅せるかだと思います。
その選択肢の一つとして純正でもサードパーティ製でもストロボを使うということは幅が広がるということなので興味がある方はすぐトライしてみましょう。
今回の記事がストロボライティング撮影に挑戦してみたいと思っている方の参考になれば幸いです。
鹿児島写真部MUZEでは「MUZE撮影会」やイベント企画など撮影技術向上を目指した企画を行っています。
前回、前々回と参加してなかった方でも気軽に参加することができるので、皆さんの部員応募やイベント参加をお待ちしています。
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カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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