雨の多い時期やデートスポットとして人気のある水族館。
鹿児島には「いおワールド」という水族館がありますが、暗くて上手く撮れなかった経験のある方は多いのではないでしょうか。
今回は2022年GWにいおワールド「ナイトアクアリウム」を撮影してきた経験から、水族館に棲むイルカ・クラゲ・魚にスポットを当てて、スマホでもデジカメでも真似できる水族館写真の映える撮り方12選とコツをご紹介します。
この記事を読むことでデジカメやスマホでも映える写真を撮る方法を知ることができます。
※今回使用したカメラはOLYMPUS「OM-D EM-5 MarkⅡ」、七工匠「50mm f0.95」。記事中に登場する写真はスマホをのぞいて全てこの組み合わせで撮影したものです。画像圧縮しているため一部、劣化して見えることがあります。
水族館ってなぜ暗いの?
水族館に入ると館内のライトはほとんどシャットアウトされ、光っているのは水槽面だけ。
そんな幻想的な世界を切り取ろうと思ってもなかなか上手く撮れないことってありますよね。
NHK「チコちゃんに叱られる!」でも紹介されましたが水族館が暗いのはなぜ?と疑問に思う方は多いのではないでしょか。
どちらが正しい回答だと思いますか?
答え①:訪れたお客さんは暗い方が魚が見やすくなるため
答え②:魚の目から人間が映らないようにするため
正解は「答え②」。
間違えても、大丈夫です、私も答え①だと思っていたので、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」という言葉を甘んじて受け入れます。
番組に出演していた水族館の獣医・邊文乃先生によると、
『「人を消す」となると物騒な響きに聞こえますがこれは「水槽の中の魚たちから人が見えないようにする」という意味。魚たちから見えるのはぼんやりとした人の姿だけですよね。
これは水槽内照明の光の方が外よりも強くなっており、魚から見た水槽が鏡の役割を果たして反射した水槽内の景色が映るために起こる現象。一方で水槽の外にいる人の目からは水槽の中からの光が多く目に入るので見えやすいという意味でも。
明るい室内や車内から暗い外が見えづらく、外からは中が丸見えなのと同じ原理ですよね。魚の視力は人間の10分の1程度で色の判別もほぼ出来ないので、そうなると人の姿はさらに見えづらくなると。
魚は大きな影や素早く動くものに驚いてしまうのでそれを防ぐためだそう。』
出典:NHK「チコちゃんに叱られる!」-tmbi-joho.comより
また、水族館では強度の強い分厚いアクリルパネルを採用しているところがほとんどですが、水圧への強度・魚への配慮をすることで、お客さんが楽しめる空間作りが行われているそうです。
それにしてもクラゲゾーンの異様な暗さはちょっと演出入ってる気がしますね。
水族館写真の撮り方が難しくなる3つの原因
水族館が暗い理由をおさらいしたところで「暗いのは仕方ないとしても写真撮りにくいよ!」と言う事実は変わりませんよね。
ここでは、特に水族館写真を難しくしている3つの要因をご紹介しておきます。
明るさを確保できない
全てはここから始まってここで終わる気がしていますが、この暗さというのは特にデジカメで撮る場合はかなり厄介な存在です。
最近のスマホの場合は自動で明るさ補正したり、色調補正が行われるので普通に撮影すること自体はそこまで難しいことではありません。
しかし、自動オートであるが故に細かい調整ができず、幻想的な世界を映し込むことは困難です。
一方、デジカメの場合は手動で露出やホワイトバランスを変えることができますが、良い機材でないとトラブルが発生します。
✔スマホの場合
・選択肢が少ないので映える・エモい写真が撮れない
・明るさと簡単な色味しか変えられない
✔デジカメの場合
・ISO感度を上げすぎると画質が劣化しやすい
・f値の明るいレンズが必要
いおワールドでもスマホで撮影するお客さんの方が圧倒的に多いわけですが、幻想的な世界を撮りたいならデジカメの方がおすすめですね。
水槽越しだと写真がにじむ
ほとんどの水族館では厚手のアクリルオアネルが採用されていますが、この厚手が故にピントが合っているはずなのに合ってないように見える現象がよく起こります。
写真がにじむ、と言った感じ。
上の写真でもピントはだいたい合っているのに、アクリルパネルで反射が起こってにじんで見えます。
そして、さらに難しい難点がドーム状に作られた「水中トンネル」など歪みがあって正中が崩れている地点。
出典:いおワールド
鹿児島・いおワールドの例で言うと1Fフロアからエスカレーターで上った先にある「黒潮大水槽」。
ここはジンベイザメや大きいエイが棲んでいて一番初めに周回する名物スポットですが、ここから順路の「②南西諸島の海」に行く途中にある水中トンネルのようなドーム状に作られたアクリルパネル(上図の赤丸)。
普通の視覚でも狂って見える場所ですがここでは魚を真下から見ることができるため、人だまりができやすいのですが撮影はさらに困難に。
加えてパネルに引っかき傷がたくさんあって写りにも影響してしまうので撮影には不向きと言えるでしょう。
撮影アングルが限定されている
誰もが見たことのないような写真を目にすると、ハッとさせられますよね。
日常でもちょっとした角度の違いや撮影方向の工夫によって広大に見せたり、気付かなかった魅力を認識することができます。
しかし、水族館の場合は決められた周回ルート以外のアングル撮影は不可能に近く、唯一色んなアングルが撮れると言えば観客席があるイルカショーぐらいのもの。
この「撮影アングルの限定」によって撮れるバリエーションもずいぶんと減ってしまう点は、水族館写真の難しいところでもあると思います。
✔水族館写真で可能な撮影アングル
・アクリルパネルの正面
・ローアングルから上に向かって
・上からローに向かって
・(小さい水槽は左右からも可)
いおワールドでは「黒潮大水槽」から順路を進みサンゴ礁エリアに入ると小さい水槽が多くなり、2022年GWに見かけたヒラメ水槽では左右から撮ることも可能。
この写真は右真横からヒラメの尾を狙って撮った写真で、潜る仕草のときに起こる砂吹雪がとてもキレイでした。
とは言えこれまで誰もが見たことないようなアングルというのは至難の業なので、撮り方や加工で差別化するのが望ましいですね。
映える!水族館写真の撮り方12選とコツ!
ここまで読んできた方は「なんだか水族館で撮るのが難しそうだから辞めようかな」と思うかもしれませんが工夫次第で映えるキレイな写真はいくらでも撮ることができます。
2022年GWに実際に撮影してきた体験からおすすめしたい映える水族館写真の撮り方12選とコツをご紹介していきます。
ちなみにデジタルカメラ撮影をおすすめしますが、スマホでもアングルや現像(加工)は参考になる点もあると思います。
水槽アクリルパネルがきれいなところを選ぶ
水槽面のアクリルパネルはある程度、キレイに清掃されている所が多いと思いますがキズがあるスポットは注意が必要。
水中で撮影できる訳ではないので引っかき傷はそのまま水槽内にいる魚の世界観に入ってくると写真をシラケさせてしまうからです。
✔アクリルパネルがキレイなところを見つけるコツ
・小さな子供の手が届かない高いパネル面を探す
・小さい水槽の方がキズは目立たない
・明るい水槽より暗い水槽
光が多い大水槽では傷に光が乱反射して目立ってしまうため、小さくかつ暗めの水槽ではほとんど目視で傷は目立ちませんでした。
また、大きな水槽では被写体(狙った魚)が奥にいる場合は、レンズ面を水槽アクリルパネルに密着させることで傷をボカしてなかったことのように撮ることが可能ですね。
f値開放で明るくする
前章でも軽く触れましたがカメラボディにはISO感度という、内部光量を調整できる機能がありますよね。
しかし、カメラグレードによって上げられる幅は表記上「~25600(56200)」になっていますが、ハイエンドモデルをお持ちなら問題ありませんがミドルクラスでは実際に使える範囲は「~1000」ぐらいが一般的。
1000以上、上げていくと画質が劣化し始めることが多く、今回の撮影時も800以下で全て撮影しています。
しかし、明るさを確保する必要があるため、最後の頼み綱は「f値の明るいレンズ」。
✔明るいレンズを選ぶときのコツ
・f1.8など安価な撒き餌レンズを使う
・オールドレンズのf1.8クラスはかなり安い
・ズームレンズより単焦点の方が安くて明るい
今回の撮影ではOLYMPUS「OM-D EM-5 MarkⅡ(m4/3センサー、1720万画素)」とカメラ性能はエントリークラスだったので、レンズはm4/3センサーを補うためにも明るいものをチョイスして七工匠「50mm f0.95」大口径レンズを使用しました。(下の写真は上位機種のOM-D EM-5 MarkⅢ)
というのも前回、撮影したときはキャノン組で「RF50mm f1.8」を使いましたが、画質の粗と特に暗いクラゲエリアでは暗さを解消できなかったためOlympus組に変更。
ちなみに、f値が小さいほどピント層が薄くなるため、手ブレやピントには細心の注意が必要です。
AFなら置きピンでMFもおすすめ
大きめの水槽では1つの水槽内に複数の魚が棲んでいるものが多いですが、ピントを1点AF(オートフォーカス)で合わせるのは困難。
また、特に暗いエリアではAFが正常にピントを追えないことが多いため、ゾーンAFなどのようにあらかじめ置きピンしておくとそこに狙っていた魚が入りこんだときにシャッターを切った方が成功しやすいです。
✔AFやMFでピントを合わせるコツ
・暗いエリアではゾーンAFで狙った魚を待つ
・明るいエリアでは1点AFでも可
・ピント調整できるMF(マニュアルフォーカス)は合わせやすい
別サイトでは「1点AF」「セレクトAF」を推している記事を見かけます。
ハイエンドモデルカメラ・レンズをお持ちならピントの悩みは減りますが、ほとんどの方はエントリー・ミドル機を持っている方が多いと思います。
手間はかかりますがゾーンAFで待ったり、シャッター回数は増えますがMFでピント微調整しながら撮影した方が失敗は減るでしょう。
接写可能なマクロレンズがあると良い
レンズにはそれぞれ最短撮影距離というものが存在します。
レンズによっては被写体からレンズまでの距離が1m以上寄れないもの、30cmや16cmまで寄れるものまでさまざま。
✔マクロレンズを使うメリット
・魚全体を撮るより尾・顔などパーツ撮りできる
・かなり寄れるので小さい生き物を正確に捉えやすい
・かなり没入感ある写真が撮れる
マクロレンズは焦点距離90mm・100mmなど望遠レンズが多いですが、普通の標準ズームレンズや単焦点レンズでも30cmやそれ以上近づけるものがあるのでそちらもおすすめ。
映える写真は魚と周りの雰囲気まで広めに切り取った方が良いですが、マクロレンズでは一部分に密着できるのでエモい写真が撮れると思いますね。
カメラのISO感度は~1000でセーブする
f値の明るいレンズをチョイスするのとイコールなのですが、ISO感度は高感度カメラでない限り「~1000」で抑えるのがベスト。
明るいエリアや状況によってはISO:4000ぐらいまで上げても問題ないシーンもありますが、せっかく撮った写真が画質劣化しているとその写真はもう使い物になりません。
そういったリスクを考えるとISO感度は1000以下で抑えることができれば、失敗する枚数は減っていくでしょう。
✔ISO感度1000以下に抑えるコツ
・明るいf値レンズを選ぶ
・シャッター速度を1/60まで落とす
・WB(ホワイトバランス)で微調整
シャッター速度は遅くするほど明るさを確保できますが、1/60辺りが手持ち撮影でブレないギリギリだと思います。
それ以下はf値開放でピントが薄くなっている状況を考えると、あまりおすすめできません。
イルカショーでは高性能な望遠レンズが必須
水族館の一番の見どころでもある「イルカショー」。
たくさんの可愛いイルカたちがアクロバットな技を見せてくれるシーンは大迫力ですが、撮影となるとその動きを捉えるのは容易ではありません。
特にイルカの大ジャンプでは次にどこから飛び出してくるか分からないため、ピント合わせに必死だった経験があるのではないでしょうか。
✔イルカにピントを合わせるコツ
・高速AFの望遠レンズを使う
・パンフォーカスで撮る
・ゾーンAFなど置きピンやMFもおすすめ
どアップでイルカを切り取りたい場合は望遠レンズ一択ですが、ピント合わせには苦労するのでAF精度・速度は必須です。
また、全体の雰囲気で撮りたい場合は、f値を「4.0~8.0」まで絞ってパンフォーカスで撮影したり、ゾーンAFやMFでも問題なく撮れると思いますね。
ちなみに、イルカショーは半屋外など明るい場所で行われるため、明るさに苦労することは少ないのでピント合わせに集中しましょう。
ローアングルから明るい水面を狙う
今回の撮影時に観察していて改めて分かったことですが、だいたいどの水槽も水面側から光が水槽下に向かって差し込んでいます。
そのため、水槽の底面は限りなく暗いシーンが多々ありました。
明るさを確保しつつ良い画を撮るには構図も重要ですが、明るい方向に向かって撮るのがポイント。
✔ローアングルから撮るコツ
・大き目の水槽を選ぶ
・しゃがんでローアングルから明るい水面に向かって撮影する
・逆光になるが幻想的な世界になる
上の写真は「いおワールド」での撮影が難しいと感じたドーム状に作られた「水中トンネル」で撮影したものです。
普通に撮影すると画が歪んでしまうため構図をシルエットに変更して、キラキラと光っている水面に向けて撮影したもの。
幻想的な世界観を切り取ることができたので、思わず嬉しくなったことを鮮明に覚えています。
撮る被写体を決めておく
大水槽あるあるですが魅力的な色・形の魚が泳ぎ去っていくと目移りすることがあります。
動くスピードは魚によってまちまちですが素早い回遊魚を捉えるのはなかなか難しかったりしますよね。
✔撮る被写体を決めるときのコツ
・構図を決める
・ゾーンAFやMFで被写体待ちの状態にする
・目的の被写体が入ってきたら複数枚撮る
目的の魚がフレームインしてきても他の魚が映り込んだり、撮りたい被写体が急に反転することも良くあります。
待ち構えた状態で入ってきたらその前後もたくさん撮っておくと、被写体だけ映った写真を撮ることが可能。
あれもこれもと目移りしてたくさんシャッターを切っても後で見返したとき、全然使えない写真ばっかりになることがあるので大事なポイントですね。
構図はこちらの記事で詳しく紹介していますが、ポートレートだけでなく風景・生き物の撮影でも共通して使われている構図を紹介しています。
暗くてもシルエットが強調されればOK
手持ちのカメラ・レンズの性能では暗さをカバーできないことは仕方のないことですが、選択肢が全くない訳ではありません。
魚の質感や色味は写らなくてもシルエットを切り取る方法があります。
✔シルエット撮影のコツ
・特徴的なシルエットの生き物を探す
・手前のシルエットと奥のシルエットで立体感を出す
・大水槽のシルエットは定番
シルエット撮影ではとにかくチョイスする生き物の形状が大切です。
上写真のようにヒレの尖った魚、イソギンチャクやサンゴ、ノコギリザメなど探せばけっこういるもの。
また、手前と奥のシルエットで大小があったり、大水槽バックで人混みを入れたシルエット撮影は定番ですね。
1つの水槽撮影は30秒~1分ほどに
いおワールドに限らずどこの水族館でも観覧車の周回ルートや順路が決まっていますよね。
大勢の人で賑わう週末などはたくさんの人が列を作り、キレイな魚や珍しい生き物を見たいと思っています。
いおワールドの場合はクラゲエリア「クラゲの一生」には、ミズクラゲの成体やエフィラという小さなクラゲが生息する小さな水槽が並んでいます。
出典:いおワールド
ここでは1つの水槽に対して2人ほどしか観覧スペースがないのですが、周回ルートが決まっていて一か所に留まることはモラル的にタブーです。
そのため、1つの水槽で写真を撮れるチャンスは30秒~1分ほどが限界。
もっとも難しい部類に入るクラゲ写真ですが一度では撮りきれないため2度、3度と回ってカメラ調整しながらベストな一枚を狙っていく必要があります。
現像で明るさを大幅に変えないこと
カメラ側でISO感度を上げてレンズf値を開放にしたことで最大の明るさを維持できる訳ですが、現像でやっていけないことは露出(露光量)を大きく上げてしまうこと。
暗くなってしまった写真のシャドウ・黒を持ちあげる現像をしている方は体験済みだと思いますが、上げすぎると画像に粗が出てきてしまうためです。
上の写真は実際にシャドウや露光量を上げたことで写真がにじんで、ブルーが薄くなり白飛びしてしまいました。
✔水族館写真の現像のコツ
・現像するならJPEGよりRAWを修正する
・露出、コントラスト、ハイライト、シャドウは少し上げる程度に
・ブルーやグリーン寄りになっているのでWBプリセットやオレンジフィルターで対処
・テクスチャや明瞭度を上げるのはおすすめ
明るさが維持できない暗い領域色は色情報が潰れてしまっていることがあるため、ムリに上げようとすると画質が壊れてしまうんですね。
それに暗がりの方が目線がわずかに明るいところに行くことを考えると、明るくすることで世界観そのものが壊れてしまうこともあります。
また、水族館で撮った写真は全体的に淡色ブルーが強く出てしまうため、レンズに装着できるオレンジフィルターやWBで「オレンジ色」のプリセットを当て込んでおくと「青⇒白」と認識してくれるため改善できるでしょう。
クラゲ水槽ではWBを「電球」にしよう
色情報が少なくなってしまう暗い水槽ではWB設定は意外と重要なポイントです。
RAWデータがあればブルーが強かった場合は現像時に色温度を変えることができますが、できることならタイムロスを減らしたいですよね。
その場合は、水族館では3000K(K:ケルビン)ほどの「白熱電球」にしておくと、淡いブルーにクラゲが白っぽく映るので幻想的な感じを演出しやすくなります。
ブルーが嫌なときはレンズ用オレンジフィルターやオレンジ色のWBプリセットを作っておくとある程度は改善しますが、クラゲの水槽は青っぽい光になっていることが多いので敢えて変える必要もないでしょう。
スマホでおすすめの水族館写真の撮り方3選とコツ
デジタルカメラの設定は難しいからスマホで撮りたいという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、スマホの特性を考えておすすめしたい撮り方をご紹介していきます。
色味はスマホの方が忠実に再現できる
デジタルカメラと比べてスマホは自動でも目に見えている”色”を正しく描写する自動補正があります。
難しい色温度設定を変えなくてもある程度の写真が撮れるのはスマホならではのメリットですよね。
この特性を生かせば次のような撮り方ができます。
✔スマホの高い色再現を生かした撮り方のコツ
・原色に近いエビ、サンゴ、ウミヘビ、ウツボなどグロテスクチックな生き物を撮る
・見ているものを正しく伝えることができる
例えばこちらのクラゲの写真。
デジタルカメラで撮ると上写真のように色が抜け落ちてしまっていますが、スマホで撮ると触手のパープルが忠実に色乗りしています。
こういったスマホ特性を生かせば色鮮やかな生き物を撮るにはうってつけです。
この他にもマングローブ水槽など緑が多い場所での撮影でもコントラストが出てキレイに撮ることができるでしょう。
水槽の枠が映らないように近づける
スマホで撮影するときは基本、カメラを立ち上げると広角で撮影することが多いと思います。
ピンチアウトしてズームしてしまうと画質が悪くなってしまうため、撮影するなら広角側のまま撮るのがおすすめ。
✔水槽枠が映らないように撮るコツ
・なるべく大きな水槽をチョイスする
・水槽アクリルパネルに近づいて撮影する
・記録写真ならそこで鑑賞している人も入れて水槽枠ごと撮る
広角で撮影するとどうしても広く回りを写し取ってしまうため、水槽枠が映り込んでしまうとせっかくの生き物が残念な感じに映ってしまうことがあります。
大きめの水槽アクリルパネルになるべく近づいて撮影すると水槽内の世界観のまま写真を撮ることができます。
また、縦・横どちらのアングルでもOKですが、縦長の水槽なら縦アングル、広い水槽なら横アングルが最適ですね。
明るい方向を狙って撮る
これは前章でも紹介した方法ですが高性能カメラを装備したスマホでも、明るさは確保したいところ。
デジタルカメラ同様に水槽アクリルパネルのローアングルから光を放っている水面側に向かって撮影すると、シルエット撮影など幻想的な世界を撮ることができます。
✔スマホで明るい方向を狙って撮るコツ
・大き目の水槽で枠がフレームインしないよう近づいて撮る
・光量の多い水槽をチョイスする
・自分の目線より下にスマホを構えて上方向に撮る
泳いでいる魚の背面に水面がキラキラしていると、魚の目線になったような気になってエモい写真が撮れます。
今回、自分が撮影した際もなるべく魚の背後に回るような目線で撮影したものが多いのですが、どれも普段は見れない世界を垣間見た気がしましたね。
水族館の写真が上手くなりたい方向けの機材
出典:unsplash
今回はデジタルカメラとスマホそれぞれに共通する撮り方をご紹介してきましたが、ある程度撮っていくとどうしても超えられない機材の壁が存在します。
ここでは、水族館だけでなく夜景や星空撮影などでも活躍してくれる機材をご紹介しておきます。
高感度に耐えられるカメラボディ
出典:Amazon
カメラには常用ISO感度というものがありますが「100~25600」または「~51200」というのがハイスペック機の水準になるかなと思います。
その中でもハイスペック高感度カメラとしてももっともおすすめがCannon「EOS R6」という機種。
【スペック】
発売日:2020年8月27日発売
楽天価格:312,010円(2022年5月時点)
有効画素数:約2010万画素
センサーサイズ:フルサイズ(35mm)
連続撮影速度:約12コマ/秒
常用ISO:100~102400
質量:約680g
★商品レビューはこちら
≫Amazonカスタマーレビュー
★作例はこちら
≫PHOTOHITO
画素数は約2010万画素と据え置きですがこのカメラ最大の特徴は常用ISO感度「100~102400」とデジタルカメラとしては最高クラスの明るさを誇ります。
暗い場所での撮影を得意としておりISO値を「6400」や「12800」まで上げても、画質が劣化しないというレビューも多いため水族館や夜景ではレンズ性能に関わらず明るさを確保することが可能。
これからデジタルカメラを買って夜景とか星空撮影にも挑戦してみたいと考えている方にはこちらの「EOS R6」をおすすめします。
マクロも撮れる明るいレンズ
出典:Amazon
水族館では被写体(魚や生き物)との距離が近いシーンが多いため、寄って撮影できることは大きなアドバンテージになります。
マクロレンズと言うと望遠レンズを想像しますが、Cannonカメラを使っている場合は「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」が断然おすすめ。
【スペック】
発売日:2018年11月15日発売
楽天価格:77,268円(2022年5月時点)
レンズ構成:9群11枚
F値:1.8-22.0
撮影最短距離:0.17m
重量:約305g
★商品レビューはこちら
⇒Amazonカスタマーレビュー
★作例はコチラ
⇒PHOTOHITO
水族館など人混みの多い場所では大きな望遠レンズは邪魔になってしまうことがありますが、この「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」は約305gで超コンパクトなマクロレンズ。
こちらはプロレンズではありませんが5段分の手ブレ補正効果があり、描写も素晴らしくf1.8と明るいレンズとしても有能です。
最大0.17mまで被写体に寄れる上に焦点距離35mmとワイドなので、大きな水槽から小さい水槽まで大活躍してくれることは間違いないですね。
最近ではこのレンズで商品撮影をしている方を多く見かけますが、普段の記録写真やお仕事用としても活躍してくれるおすすめレンズ。
水族館写真の豆知識
最後に水族館で撮影するうえでのルールや意外と知らない情報を併せてご紹介しておこうと思います。
特に水族館ではフラッシュ禁止とは言ったものの使えるエリアもあるので手軽なLEDライトやストロボも活用することができます。
水族館は基本撮影OK?
水族館では特殊なケースをのぞき、入館料を払って観覧する人には撮影OKしている場合がほとんど。
以前、写真部MUZEイベントを水族館で行いたいと思い鹿児島水族館「いおワールド」に直接電話して撮影許可が必要か確認した際の返答ですが、
「撮影やSNS掲載して頂くのは自由です。ただし、フラッシュ禁止エリアになっている2F黒潮大水槽、4Fアオリイカ大水槽ではフラッシュライトを使用しないようにして下さい。」
出典:水族館ポートレートや魅力的な魚の撮影が上手になる6つのコツとおすすめ設定方法!
というものでした。
電話対応して下さった女性の方がとても丁寧な感じで快く回答して頂いたのは今でも覚えていますが、たくさん撮っていっぱいSNSアップして下さいとも取れるニュアンスを感じました。
ただし、あくまでもその裏には「フラッシュ禁止エリアではライト使用しない、一般常識やモラル、他の入館者の妨げにならないようにする」という前提があってだと思います。
撮影許可が必要な場合は、TV撮影やYouTube動画など水族館側の威信に関わるような放映の場合は別途、許可を取るべきだと思います。
水族館で撮影した写真には著作権はある?
水族館での撮影は基本OKだとしても、例えば当サイトのようにWEBコンテンツに魚やクラゲの写真を利用したり、Youtube動画で配信する場合は法律的にどうなのでしょうか。
基本的に写真には「著作権」「肖像権」が大きく関わってくるケースがあります。
【著作権】…美術の著作物と未発行の写真の著作物に限って認められる権利で、これらを原作品によって公に展示する権利です。
【肖像権】…みだりに自己の容ぼう等を撮影され,これを公表されない人格的利益
出典:日本写真家協会-一部抜粋
著作権は「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(第2条第1項第1号)」なので、つまり水族館の魚たちは生き物のため著作権には当たりません。
また、動物や生き物には肖像権やパブリシティ権もありませんので、著作権には引っかかることはありませんが、注意したいのは肖像権の方で水槽の前にいる通行人の顔や個人を特定できるものは写して許可なく公開することはタブーです。
Q.水族館で撮影した魚の写真や動画をSNS(Instagram、youtube)にアップし、誰でも閲覧できる状態にすることは違法でしょうか? また、youtubeの動画には広告を貼って収益を得たいと思っています。
A.場所として撮影が禁止されていなければ、基本的には特に問題はありません。
出典:弁護士ドットコム
水族館で撮った写真を商用利用する場合も禁止エリアをのぞいた場所であれば、法律的に問題視されることは少ないそうです。
水族館でフラッシュ撮影が禁止されているエリアはどうしてダメ?
フラッシュ撮影が禁止されていないエリアがあるとお伝えしましたが、どうして許可されているエリアとそうでないエリアがあるのでしょうか。
その一番の原因はマグロなどの回遊魚や、光に敏感なアオリイカはフラッシュ光の刺激によって思わぬ行動をすることがある、という点。
これは水族館関係者でも実態を把握していないそうですが、水槽内部からは人間の顔は見えないようになっているため突然強い光が走ると興奮するという可能性はありますよね。
2017年に沖縄美ら海水族館で撮られたYouTube動画が話題になりました。
『マグロが透明な壁に激突したのは、フラッシュが数回たかれた後のことだ。激突したマグロは、血を流して底に沈み、「なんか血吐いてる! どうした? どうした?」と誰かが叫ぶ様子で終わっていた。』
出典:JCASTニュース
実はこのとき沖縄美ら海水族館では全館フラッシュ撮影OKとされていたそうですが、この事件を機に一部見直しが行われています。
「光による刺激は生物に対して影響を与えることがあります。当館では、フラッシュ光がアクリル面での反射、および水中透過時に減衰することから、安全性を確認した上でフラッシュ撮影を可能としております(一部の水槽を除く)。」
出典:縄美ら海水族館公式
沖縄美ら海水族館ではアクリルパネルの厚さが60mmと言われているため、フラッシュOKとしていますが一部の水槽を除くとされています。
撮る側としてはフラッシュやストロボが使えた方がベストですが、撮るはずの被写体(生き物)を傷つけてしまっては元も子もないのでモラルやルールは守りたいものですね。
知識を身に付けて水族館撮影を楽しもう
今回は水族館の写真が上手く撮れない悩みを解決する撮り方12選とコツをご紹介しました。
これまで自分も何度となく水族館撮影をしてきましたが、今回は「ナイトアクアリウム」という18時~21時まで開催されているイベントに参加していたためいつもよりさらに館内は暗く感じました。
デジタルカメラで撮る場合は高感度カメラ・明るいレンズのどちらも欠かせないものですが、ちょっとした工夫や失敗しないためのコツを知っておくだけで出来上がりは全然違ってきます。
また、スマホにはスマホにしかない特性があるのでそれを上手に活用して水族館撮影を楽しみたいものですね。
今回の記事が、スマホやデジタルカメラで水族館の写真を上手に撮りたいと思っている方の参考になれば幸いです。
鹿児島写真部MUZEでは「ポートレート撮影体験」「フォトウォーク」「写真展」等のイベント開催を行っており、撮影技術向上・モデルマッチング・地元観光応援を目指した企画を行っています。
前回、前々回と参加してなかった方でも気軽に参加することができるので、皆さんの部員応募やイベント参加をお待ちしています。
また、写真部MUZEでは2021年11月から有料「MUZE撮影会」を開催しており随時有料モデル(時給1000円~3500円・実働2h~4h程)を募集しています。興味のある方はこちらのモデル応募フォームまたはInstagramのDMよりご相談下さい。
部員参加は下記、入部フォームから簡単にお申込みすることができます。たくさんのカメラ写真好きの皆様とお会いできることを楽しみにしております!
■無料・部員入部ホーム■
カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
コメント