ポートレートってどうやって撮ったらいいの?不安なんだけど…
ポートレート未経験のカメラマンにとってポトレは未体験のことだらけ。
モデルさんと1対1で撮影する場合はカメラ設定のことだけでなくモデルさんとの会話やロケーション選びに背景へのこだわりも必要になります。
でも、どんな点に気を付けたら良いのでしょう?どう声かけしたら良い表情を引き出すことができるのだろうと悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
今回は年間50件以上のポトレ、商業、記念撮影を行ってきた現役カメラマン目線から、魅力的なポートレートの撮り方のコツや雰囲気作り、被写体との上手なコミュニケーション方法をご紹介します。
この記事を読むことで初めてのポートレートを迎える方でも少し心の余裕をもって迎えることが出来るようになります。
【モデル依頼】まずは魅力的な被写体モデルさんを探す
趣味で写真を撮ってる方にとって初めてのモデル撮影はとても緊張するもの。
私自身も同じような経験をしてきましたが、ポートレート撮影はカメラマン側だけの事情だけでなくまずはモデルさんと日程決め、衣装を決めて撮影に望む必要があります。
これは半年以上、運営してきた写真部MUZEにもよく寄せられる相談ですがカメラマンとモデルさんのトラブルが後を絶ちません。
のちにトラブルがないよう相互無償なのか有償なのかモデルさんと確認を行い、写真のSNS掲載許可もしっかり貰うようにしましょう。
Instagramから被写体さんにDM依頼する
被写体さんが周りにいる方は声かけすることはそこまで難しくないと思いますが、知り合いにいない場合はInstagramかTwitterで探すことになると思います。
どの地域にもカメラマンやモデルさんの輪があると思いますので「#カメラマン募集」タグ付けしているモデルさんに活動地域を含めて交渉してみましょう。
私が初見の被写体さんに依頼するときはいつもこんな感じです。(Instagram「@shinya.hisanaga」のDMを引用)
相手が被写体モデルに興味を持っていることが前提になっていますが、コツは日程を先に決めてしまうと話しが流れにくいかなと思います。
✔被写体モデルさんに依頼するときのコツ
・これまで撮影した人物写真をInstagramにアップしておく
・先に日程を決めてから詳細を決める
・依頼前に相手のプロフを読んで地雷を踏まないようにする
・年下でも基本敬語を使う
・ロケーションにあった洋服選びや時間を伝える
これはカメラマンとモデルに限った話しではなく普通の一般常識です。
しかし、現実とかけ離れた匿名性のある活動をしている場合、カメラマンとモデル双方にこの認識が欠けてしまうことがあるため注意しましょう。
モデルさんは横の繋がりを持っていることが多いのでくれぐれもセクハラ発言や暴言は控えましょう。その地域でとっても活動しづらくなるケースを何度か私も目撃しています。
被写体モデルさんの探し方のコツは下の記事で詳しく紹介しています。
良い第一印象が撮影チャンスを多くつかむポイントですね。
衣装やギャラを決める
モデルさんによっては相互無償だったりギャラをお支払いする必要がありますが、のちのトラブルを避けるためにも必ず事前にギャラの金額や無償であることを確認しましょう。
また、重要なのが「衣装」ですね。
被写体モデルさんの衣装は自前の場合が多く、どんな撮影でどういうファッションをしたら良いのか詳細に伝えてあげましょう。
カメラマンの要望に合った服を持っている場合もあればそうでない場合もありますので、あくまでも出来る範囲で合わせてもらい小道具などをカメラマン側で用意するのが望ましいでしょう。
✔ロケーションや背景に合った衣装選び
・モデルさんのテンションが上がる私服
・背景と異なる色を選ぶ(NG例:森の中で緑の服)
・背景が明るい空や海なら暗めの服がベター
・秋冬は着脱できるアウターとインナーで2パターンできる
・季節感が出る小道具(冬ならマフラー、夏なら麦わら帽子)
もちろんこの限りではありませんが初めてポートレートをお願いするときにアイデアを思いつかないときは参考にして下さい。
一例としてモデルさんが新しく買ったお気に入りの服はテンションが上がるので、色や形状にこだわりがない場合はそちらを選ぶのもベターです。
ちなみに「被写体モデルの料金相場とは?撮影募集やモデルの探し方をお教えします。」でも紹介してますが、ギャラ有の場合は撮影時間にもよりますが1時間あたり”3000円~10000円”が相場と思っておくと良いと思います。
初見でいきなり露出の高い衣装をお願いすると嫌われま~す!
【カメラ設定】デジタルカメラでこだわりを追求する
出典:unsplash
素敵なポートレート写真を撮るためにはiPhoneやスマホではなくフルサイズのデジカメを準備したいところ。
また、魅力的なポートレート撮影のコツは背景とのバランスも大事になるので、その点も踏まえたおすすめのカメラ設定をご紹介しておきます。
ポートレート撮影にはデジタルカメラがベスト
最近のiPhoneやスマホは高画質で顔を認識して瞳にピントが合うフォーカス機能を持っていたりデジカメに劣らない機能を持っていますよね。
スマホでもある程度、工夫すれば良い写真を撮ることはできますが、一般的にポートレート撮影においてスマホで撮影することは盗撮の意味も含めてモデルさんに対して失礼になると思います。
Fresh(フレッシュ)撮影会の公式ページ「【個人撮影会に参加しよう!】参加者が知っておきたい10のマナー」でもスマホ撮影の禁止を明言しています。
Androidスマホで上手なポートレートの撮り方は「Androidスマホの上手なポートレートの撮り方とは?最新機種やアプリを活用して野暮ったい写真を卒業しよう」で詳しく紹介しているので興味がある方はどうぞ。
魅力的なポートレートを撮る上ではデジタルカメラの方がムリなくシチュエーションに合わせた画角を作れたり、背景をボカすことができます。
最近はミラーレスフルサイズカメラが主流になり少し前のデジタル一眼レフはだいぶお買い得になっています。
特におすすめは「Cannon 5DMarkⅢ」ですがプロも現役使用している機種ですが、新シリーズが発売されていることで値崩れしてお買い得になっているため検討する価値大アリ。
ISO・シャッター速度・F値設定のコツ
デジタルカメラにはISO感度、シャッター速度(シャッタースピード)、F値という三つの要素が相関関係にあって「明るさ」「ボケ」「ブレ」の調整を行っています。
ポートレートを撮る場合はF値(絞り)が「1.8」くらいまで下げられると明るくなりボケ感を強くすることができるので魅力的になりやすいでしょう。
✔カメラ設定のコツ
・F値=最低4.0は必須。ズームレンズはF値が低いほど高額なので、単焦点レンズを検討しましょう(参照:「単焦点レンズを使うメリットは明るさと距離感をつかむこと!カメラ初心者はまずズームレンズより単焦点レンズを選ぶべき理由とは。」)
・シャッター速度=1/60~。1/60より低いと手ブレが起こってしまうためポートレートには不向き
・ISO感度=100~1000。機種にもよりますが1000を超えると画質劣化しやすくなります
ISO感度、シャッター速度、F値はどれか一つを上げすぎると残り2つで補う必要があります。
上手な設定方法のコツはまず初めに写真の被写界深度(奥行きの度合い)を決めるF値を決めてから、Iシャッター速度→ISO感度の順に決めていくと失敗しにくくなりますね。
ISOオートモードにせずマニュアル撮影モードで自分で設定するとムリのない数値で納めることができるでしょう。
【事前テクニック】撮影前の段取りを行う
ここからは撮影前~撮影当日にかけて決めておかないといけない事前テクニックをご紹介します。
基本的な撮り方はメディアやYouTubeで学ぶことができると思いますが、意外と重要なのがモデルさんとの打ち合わせです。
ここをおろそかにすると写真のデキが大きく左右されるので参考にしてみて下さい。
ロケーションを決める
カメラマンとモデルさんの活動圏内にあるスポットで撮影ロケーションを探します。
有名観光地ならGoogleマップやInstagramで雰囲気を知ることができますが週末ともなると人通りが多くなるため、ポートレート撮影には不向き。
人通りが多くない写真のイメージに合う隠れスポットを事前に下見したり、リサーチしておくのもカメラマンの役目です。
✔撮影ロケーション選びのコツ
・シーズンに合った場所
・人通りが多すぎない場所
・景観が美しい
・街中なら待ち合わせしやすくスナップが撮れる
・近くにトイレがある
どうしても見つからない場合は公園や海など背景がシンプルな場所は失敗が少ないと思います。
ロケーション探しはInstagramの「検索窓」で調査するのがおすすめ。
出典:Instagram「shinya.hisanaga」
「最新投稿」から調べると最新の開花情報やリアルタイムな情報を得ることができます。
ちなみに建物の場合はあらかじめ撮影許可が必要だったり、肖像権の問題があるためSNS掲載する場合は注意が必要です。
撮影に入る前に打ち合わせ
撮影当日。モデルさんと初対面の場合はカメラマンとモデルお互いに緊張していることが多いと思います。
いきなり撮影スタートするのではなく10分~30分ほどかけてどういう写真を撮りたいのか見本となる写真があれば事前にモデルさんに見せて伝えましょう。
✔事前打ち合わせ~撮影中の会話のコツ
・被写体モデルさんと共通の話題を見つけておく
・イメージのすり合わせを行う
・撮影中の長い沈黙は避ける
・良いときは相手を褒める
・撮影開始と終了時刻を決めておく
特にイメージすり合わせをしておくと雰囲気にあったポージングをモデルさんと一緒に考えることができるため、見本となる写真にグッと近づけることができます。
また撮影中の雰囲気もモデルさんの表情に影響を与えることが多いため、雰囲気作りを行うようにしましょう。
構図を決める
ポートレートを撮るうえで経験豊富ではないカメラマンさんの場合、構図を意識すると写真が劇的に変わることがあります。
何気なく週刊誌やSNSで多くの写真構図を目にしていると思いますが、初めは意識しないとなかなか撮ることが難しいと思います。
✔おすすめのポートレート構図
・日の丸構図=被写体がセンターに来る
・三分割構図=上下、左右に2本ずつ引いたラインが交差する場所に被写体がくる
・前後ボケ構図=被写体を中心として前に花や木の枝、後ろに背景が入ることで前ボケ、後ボケができるため奥行き感が生まれる
ポイントは難しすぎる構図はかえって何が撮りたいのか不明瞭になってしまうので、シンプルな構図を選択することをおすすめします。
こちらはもっともカンタンに真似することができる被写体モデルさんを中央に配置する「日の丸構図」の例。
魅力的なポートレート構図はもっとたくさんありますがこちらの記事で詳しく紹介しています。
目にピントを合わせる
ポートレートの場合、メインは「人物」になります。
いくら素敵なロケーションであっても目にピントが合っていなければ表情全体がボヤけて見えてしまうため注意が必要。
最新のカメラレンズは瞳AFが高速化されて正確なことも多いですが、必ずシャッターを切る前に「シャッター半押し」でピント合わせをチェックするようにしましょう。
✔目にピントを合わせるコツ
・デジタルカメラの瞳AFや追尾AFを使う
・シャッター半押しでピントが合っているか確認
・暗すぎると瞳にピントが合わせづらい
・瞳に光が当たっていると輝いて見える
また、オールドレンズはMF(マニュアルフォーカス)のことが多いですが、ポートレート撮影の場合はモデルさんが目の前にいるのでピント合わせに苦戦して時間ばかりかかるようだとストレスになってしまうため初めは避けましょう。
ポートレートでは被写体モデルさんの目線外しが人気がありますが、こちらの記事で詳しく紹介しています。
背景を整理して抜け感を意識する
写真に限らずアート作品全般に言えることかもしれませんが「立体感」は写真の奥深さをより強調します。
無機質な壁をバックにしたポートレート写真を見たら息苦しい感じになり、海と空をバックにしたポートレート写真だと解放感や広がりを感じるのではないでしょうか。
✔背景を整理するコツ
・ゴチャゴチャした背景にならないようにする
・背景の情報量は多すぎないようにする
・被写体モデルと背景の色が被らないようにする
・レンズF値の被写界深度で抜け感を意識する
立体感は被写体から背景まで、カメラマンから被写体までの距離が大きく影響します。
屋外だと背景の山や空との距離が遠く抜け感が出やすいため、広い屋外での撮影をおすすめしますね。
また、ポートレート撮影は日中の太陽がうえにある時間帯は避けて、朝や夕方の横から差し込んでくる光を利用すると柔らかくエモい写真になります。
【撮影中の雰囲気】小まめな声かけや気遣いで出来る風をPR
撮影中の雰囲気や声かけによってモデルさんのモチベーションが上がったり、良い表情を引き出すことができます。
反対にだまって黙々と撮っていてもカメラマンが望んでいる表情やポージングを撮ることができません。
小まめに声かけする
シャッターを押す時やポージングを変えて欲しいとき、良い写真が撮れたときはその気持ちを伝えたり声かけするように心掛けましょう。
カメラマンが黙ってモニターとにらめっこしていてもモデル側からしたらそれが良いのか、悪いのか判断できないし次どうしたら良いのか迷いが生じてしまいます。
迷いが不安になると表情が曇りがちになってさらに悪循環になるため、カメラ側で起こっていることをモデルさんと共有することも撮影をスムーズに進める大事なポイントです。
電子シャッター音をONにする
ストロボを使って撮影している場合は光ったらシャッターを切ったことがモデルにも伝わりますが、電子シャッターOFFの場合どのタイミングでポーズを変えたら良いか判断に迷います。
この辺りはモデルとの相性や好みにもよりますが人通りが多くない場所では、電子シャッター音をONにすることでテンポ良く撮影を進められた経験が私もありますね。
あえて「電子シャッター音を出す」という選択肢もアリ。
ただし、撮影中に電子シャッター音のON/OFF操作が分からなくなるとかっこ悪いのでしっかり設定メニューを把握しておきましょう。
最近、私が購入したOlympus OM-D E-M5 MarkⅡというマイクロフォーサーズカメラは見た目だけでなくシャッター音もレトロチックでとっても気にいってます。
失敗しても顔に出さない
思ったような構図にならなかったりモデルが瞬きした瞬間を撮ってしまうことはよくあります。
カメラマンがボヤいてしまうとモデルは萎縮して雰囲気が悪くなってしまうため、失敗しても問題ないよ!というスタンスが重要。
アマチュアカメラマンの場合、500枚撮ってその中で良いなと思える写真が10枚あれば良い方。
そのくらいのスタンスで臨んだ方が成功しやすいですし、私はあえて自然な表情を撮りたいときは被写体モデルさんがポージングに入る前後のオフショットを狙ったりもします。
むしろ、失敗してそれが良い写真になることもあるので、前向きな気持ちで取り組むと良い結果が出やすいですね。
褒める
撮影中、モデルは自分の顔やポーズを自分で確認することはできません。
どう映っているのか、顔色は悪くないか、ヘアスタイルは乱れてないかなどモデルは常に気になっています。
声かけと一緒に良い表情やポージングがあった時は迷わず声に出して「それ、すごく良いよ!!」と褒めるようにしましょう。
モデルのモチベーションは上がり、そのタイミングで緊張もほぐれたりするのでとても良い効果を期待できます。
また、初心者モデルの場合は小道具を持たせてあげると動きやすくなると思いますね。
順光は避ける
日中~夕方にかけて撮影を行うことが多いと思いますが太陽が明るいうちはモデルの顔に直射で撮影するのは避けた方が良いです。
眩しいと表情が作れなくなったり、顔が白飛びして細かい表情の描写を撮れなかったりするため、自然光の使い方も工夫が必要です。
✔おすすめの太陽光(自然光)の使い方のコツ
・半逆光=カメラマンとモデルの真横に太陽があって、モデルの側面を太陽が照らしている状態
・逆光=モデルの真後ろに太陽がくるよう配置してシルエットを強調させている状態
特に夕陽の撮影は綺麗な影が出やすく、光の色もオレンジで雰囲気が出やすいのでもっともおすすめ。
自然光は屋外撮影においてまず基本となる「光」なので、もっと上手に使えるようになりたいという方にはこちらの記事がおすすめです。
【ロケーション選定】それぞれの特徴を生かした撮り方
季節を感じる桜や海、秋になるといちょう、コスモスと見どころ満載のスポットが増えてきます。
魅力的なポートレートを撮るには被写体モデルの背景に美しい景観が広がっているとドラマチックで情景的になりやすいでしょう。
ロケーション別に上手な撮り方やポイントをご紹介しておきます。
桜は首が垂れたものがベスト
春の桜はもっとも世の中でたくさんの写真が生まれる時期でもあり、全国各地に桜の名所スポットがありますが桜並木はたくさんの花見客でにぎわうことでしょう。
しかし、ポートレート撮影においては人通りは避けたいところ。
週末の日中はまず撮影不可だと思いますので、
・週末は早朝か夜間に撮影する
・平日の日中
・誰も知らないスポットを探しておく
少しの人通りであればPhotoshopで消すことは可能ですがなるべく現地で完結する写真を目指す方が時短で自然な写真が仕上がります。
また、ポートレート撮影でもっとも人気があるのが桜の枝が手の届くあたりまで垂れ下がっている場所で、手で花びらに触れたり顔を入れるポーズですね。
上の写真は公園で撮ったものですが手の届くところまで桜の枝が下がっている地点を選んで撮影しています。
モデルと桜の距離が遠いとなかなか構図に収めきれないことがありますが、近づけると印象的な写真に見えますよね。
海は夕陽との相性抜群
海に囲まれている日本ではもっとも撮りやすくてイージーなロケーションが海だと思います。
天気さえ良ければどこの場所でも撮影できる海岸線は広がっているため、自分だけのお気に入りスポットを見つけやすいロケーションでもありますね。
おすすめは、
・早朝の薄暗い時間帯
・夕陽が沈む前のトワイライトタイム
太陽の光がもっとも柔らかい時間帯なので日中に炎天下で撮影するより、エモくてドラマチックな写真を撮ることができるでしょう。
こちらは2021年5月に夕陽の逆光で撮影。
構図は好みもあると思いますが海は背景もシンプルにしやすくなり、色の数も少ないのであとで説明するレタッチも割と楽ですね。
イチョウは並木通りを使う
11月~12月はイチョウの葉が黄金色に輝き、イベントと同時にイチョウ並木には人通りが多くなります。
ポートレートとの相性も抜群で、イチョウ並木通りに立って撮影したり、落ち葉に座ったり投げたり色々と活用できるのがイチョウポートレートの特徴でもあります。
おすすめの撮り方は、
・山中にあるイチョウは日中の木漏れ日を狙う
・街中にあるイチョウ並木は通りにモデルを配置する
・落ち葉のベッドに寝そべる
・落ち葉を集めて投げた瞬間を狙う
・ライトアップされた夜間
モデルの衣装は派手なものではなく秋の装いらしく緑、紺、ベージュとの相性が良いと思いますね。
こちらは2021年11月、写真MUZEのイベント時に撮影したポートレート写真。
この時は可愛いモデルさんが思い切ってジャンプした瞬間を撮影したもの。
もっとも抜け感のある大きな並木通りがあったので黄金色に輝くイチョウとモデルさんの魅力も納められたかな、と思っています。
水族館は水槽の光を利用する
水族館は暗闇の世界で混沌とした雰囲気があるためポートレートスポットとして活用することができます。
しかし、館内の暗さやストロボを使えないシーンが多く、初心者カメラマンや高感度デジカメを持ってない方は以外と苦戦するかもしれません。
おすすめの撮り方は、
・水槽をバックに逆光でモデルのシルエットを撮る
・水槽に顔を近づけて光源にする
水族館の水槽は奥側からお客さんがいる手前に向かって光っていることが多いため、水槽に顔を近づけると顔に光を当てることができます。
また、場所によってはストロボOKのエリアもありますので、そちらでは水槽バックでも顔や上半身にストロボ光を当てれば表情まで映すことができるでしょう。
水族館ポートレートはこちらの記事で詳しく紹介していますので、興味がある方はご覧下さい。
コスモスは前ボケと後ろボケが美しい
10月中旬~11月上旬にかけて毎年、見ごろを迎えるコスモス畑はInstagramをのぞくとファンタジーな印象の可愛い写真が一杯になるスポット。
鹿児島では慈眼寺公園、鹿児島都市農業センターがコスモス畑スポットとして有名ですが、コスモス畑の中で撮る写真は見る人をふんわり優しく包み込んでくれるでしょう。
おすすめの撮り方は、
・コスモス畑の真ん中にモデルに立ってもらう
・コスモス畑の中でしゃがんでコスモスにフレームインさせる
・コスモスに触れながら顔のアップを撮る
ポイントとしてはコスモスは背の高いものと低いものとあるのでモデルの身長に合ったエリアを選ぶと画角に収めやすくなります。
こちらはコスモスではありませんが上図のように前ボケと後ろボケを使って撮影すると全体の雰囲気がコスモス一色でファンタジーな雰囲気になりやすいでしょう。
シーズンになると人通りが多くなるため他の撮影スポット同様に、平日や早朝を狙うと誰にも邪魔されずに撮影することができるのではないでしょうか。
夜景は色んな街頭を使ってアートチックに
カメラ中級者以上のカメラマンに人気があるのが夜景ポートレートです。
街中で撮影する場合は街灯やお店の明かりを使えばストロボ撮影が可能、市街地から離れた場所ではストロボを使うことで自分だけのライティングを楽しむことができますね。
おすすめの撮り方は、
・きれいな夜景とモデルを5対5くらいの割合でどちらも映えるように撮るランドスケープフォト
・海の撮影同様に少し暗くなってきたトワイライトタイムを狙う
・青、黄、橙、赤などの街灯や明かりを使ってアーティスティックな雰囲気を狙う
夜景の場合はどうしてもカメラ内の明るさを保つためF値を開放、ISO感度も1000~3000近く上げる必要がありますが上げすぎには注意。
ノイズが入って画質劣化するとせっかくの写真がダメになってしまうので気を付けましょう。また店舗を特定できるような建物が入っている場合は肖像権に触れてしまう可能性があるため避けましょう。
これは今年8月の夜7時頃に撮影した夜景ポートレート。
もっと細かいカメラ設定を知りたい方は夜景ポートレート記事で詳しく紹介しています。
【レタッチ】印象的な写真をより印象的に
RAW現像ソフト「Lightroom」「Photoshop」どちらもモバイルアプリで操作可能になり、使っているユーザーの方も多いのではないでしょうか。
撮影したモデルの写真をさらに美しく仕上げるレタッチにも少し触れておこうと思います。
RAW現像ソフトでさらに美しく
RAWとは写真の「生データ」のことでRAW現像ソフトを使うことでさらに手を加えて明るさやコントラスト、色彩などを編集することが可能になります。
撮影時に思った以上に暗く撮ってしまった場合や色温度を好みとは違う設定で撮ってしまった場合など簡単な操作で明るくしたり、色温度を変えることができるので現代のカメラマンには必須スキルだと思いますね。
おすすめは「Lightroom」「Lightroom classic」「Photoshop」ですがその他にも「Capture One」「Luminar AI」などが有名。
✔RAW現像ソフトで重要度の高い操作
・トーンカーブ
・明暗
・コントラスト
・カラーグレーディング
・色調補正
ソフトを使うなら最低でも写真の重要なポイントを変えられるこの辺りの仕組みと操作方法は覚えておきたいですね。
また、RAW現像ソフトではありませんが写真編集ソフト「Photoshop」では操作に慣れてくると不要な背景を削除したり、合成加工など幅広い作品作りができるので使えるようになっておいて損はないアプリです。
人気がもっとも高いRAW現像ソフト「Lightroom」「Lightroom classic」はこちらの記事で詳しく紹介しています。
彩度を上げて明るい雰囲気に
これは写真の好みにもよりますが高画質デジカメで撮影した写真は確かにきれいな描写なんですが、色温度が違うと素気ない印象の写真になってしまうことがあります。
これはCannon、Nikon、Sonyとメーカーによっても映り方が違うものですが、私たちがよくInstagramやTwitterで見ている鮮やかな写真は必ずRAW現像ソフトで色彩を上げています。
そんな事したらどんな写真でもキレイじゃん!と思う方もいるかもしれませんが、正直完成した写真が良くて人に認められたらそれまでの過程は関係ありません。
反対に色の数が多くて上げすぎると全てが原色になってくどい写真になりがちなので、モデル衣装や背景の色を整理してから撮影にのぞみましょう。
また、メーカーによって写真の描写や色乗りにはそれぞれ特徴があり、どのテイストを欲しいかによって選ぶべきカメラも変わってくると思いますね。
【疑似体験で経験値アップ!】魅力的なポートレートの撮り方
プロ・アマ問わず一日の中で撮影や写真のことを考えられる時間には限りがあります。
本来、撮影は実戦と失敗を繰り返し時間をかけて腕を磨いていくものでしたが、今はYouTubeやSNSを使って圧倒的に早く経験値をアップさせることが可能です。
写真家GUNKIさんのYoutube動画
動画で経験値アップさせる方法のことを私は「疑似体験インプット」と呼んでいますが、初心者にも分かりやすく楽しみながら学習できるグンキさんのYouTubeチャンネルをご紹介します。
私も勉強させて貰ってますが今回の記事で紹介するにあたって、
私「初めましていきなりメッセすいません!写真部を運営している久永と言います!いつもYouTubeチャンネルで勉強させて頂いております。微力ですがWEB記事でグンキさんのYouTubeチャンネルを紹介したいと考えています(^^♪」
グンキさん「DMありがとうございます!!グンキです!いつもYouTubeチャンネルご覧いただきありがとうございます!!嬉しいです(:_;)★是非是非チャンネル紹介お願いします!★」
グンキさんのチャンネルをご覧になった方は分かると思いますがいつも動画で聞く弾けるような声が聞こえてきそうで、しかも神対応して下さいました。この場を借りてありがとうございます!
グンキさんは米グラミー賞、ダウンタウンDX、月9「海月姫」で写真提供するなど実績も素晴らしいんですが、チャンネルの素晴らしい点は再現性の高いカメラマン視点で制作しているということ。
①撮影の様子を動画撮影してるため雰囲気が分かる。そしてモデルとのコミュニケーション、ストロボの設置場所、カメラマンとモデルの距離が分かる。
②動画中にシャッターを切った写真が「焦点距離、F値、シャッタースピード」などExif情報や、ストロボ光量の設定数値「1/1」「1/128」付きで差し込まれる。
③後日、動画を振り返って撮影のポイントや使用した機材を含めて解説を行う。
なのでぶっちゃけグンキさんの動画見ながら撮影したら同じような写真が撮れちゃいます、、
再現性が高く、撮影の前中後まで網羅しているのでそこら辺の勉強本買うよりよっぽど参考になるし、無料で聞いてていいのかな?とたまに思ってしまいます。
皆さんもぜひグンキさんチャンネル覗いてみて下さいね!グンキさんの明るくてお茶目なキャラも面白くておすすめです。
【YouTubeチャンネルはこちら】
≫写真家グンキチャンネル
【Instagramはこちら】
≫GUNKI(撮影エンタメYouTuber)
インスタやSNSで写真を研究
InstagramやTwitterでは有名・無名を問わずたくさんのカメラマンがそれぞれの感性と環境で撮影した写真がたくさん投稿されています。
当写真部MUZEもリポストサイトとしてInstagram運営していますが、毎日シェアするために眺めているとそれだけでも写真の勉強になります。
一般の方ならキレイな写真を見ると「うわ~!きれい!」で終わってしまいますが、ポートレート撮影を上達したいと考えている方にはこんな視点で見るのがおすすめ。
①どんなイメージで撮られているか
②モデルの目にピントが合っているか(その限りではないですが)
③焦点距離はどうか
④太陽やストロボの光はどこからきているか
⑤どんなレタッチをしているか
写真をじっくり見ていくとこれまでと見えてくる世界が違ってくることに気付くでしょう。
SNSではExif情報を載せてないこともあるため答え合わせできない場合もありますが、1枚見るのに5分~10分はかかると思います。
しかし、それを続けていくと写真を見ただけで焦点距離が分かるようになったり、光とカメラマン・モデルの立ち位置が見えてくるでしょう。
その他にはFacebookでフォトカレッジや写真学校を運営しているプロ写真家さんがいるのでそちらに参加して講評して貰う方法もあります。
被写体さんとのコミュニケーションが必須
今回はポートレートの撮り方を網羅する7つのコツを以下のように項目ごとにご紹介しました。
【モデル依頼】
【カメラ設定】
【事前テクニック】
【撮影中の雰囲気】
【ロケーション選定】
【レタッチ】
【疑似体験】
いずれも一朝一夕には覚えられないことですが初めてのポートレートで素晴らしく成功する人はまずいないと思います。
私自身も失敗したように目的をもって数を重ねていけば、おのずと上手になりますし感性も磨かれていくのではないでしょうか。
今回の記事が短期間でポトレ撮影が上手になりたいと思っている方の参考になれば幸いです。鹿児島写真部MUZEでは「MUZE撮影会」やイベント企画など撮影技術向上を目指した企画を行っています。
前回、前々回と参加してなかった方でも気軽に参加することができるので、皆さんの部員応募やイベント参加をお待ちしています。
また、写真部MUZEでは昨年11月から有料「MUZE撮影会」を開催しており随時有料モデル(時給1500円~3500円・実働2h~4h程)を募集しています。興味のある方はこちらのモデル応募フォームまたはInstagramのDMよりご相談下さい。
部員参加は下記、入部フォームから簡単にお申込みすることができます。たくさんのカメラ写真好きの皆様とお会いできることを楽しみにしております!
■無料・部員入部ホーム■
カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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