写真コンテスト・コンクールはプリント部門に加えて、写真データを送るだけのWEB部門がありますがまだまだ主流ではありません。
そして、プリント応募しようと思ったカメラマンにとって、ハードルになるのが写真印刷ではないでしょうか。
プリントどこでやったら良いか分からない。。
今回はこれまで写真部MUZEが蓄積したノウハウを生かして、初心者向けに写真コンテスト・コンクールに写真印刷して応募する方法、入賞するコツを順を追って細かくご紹介していきます。
しっかりコンテストの意図をくみ取り、万全の機材・構図・レタッチとどれでも欠かせない要素です!
この記事を読むことで以下のような悩みを解決することができます。
・初めてプリント応募するけどやり方が分からない
・どうやって写真印刷したら良いの?
・写真コンテストで入選するコツが知りたい
撮影する前段階から撮影→レタッチ→プリントと一貫して作業を行う必要がありますが、初心者の方でも全体像を把握しやすい内容になっていますので最後まで読んで頂けたら幸いです。
写真コンテストやコンクールのプリント写真はインクジェットプリンターでも良い物であれば自宅で対応できます。「【2022年最新】写真印刷におすすめの神プリンター10選!プロ・ハイアマが綺麗で高品質と噂する名機をまとめて紹介します。」ではおすすめプリンター10選をご紹介しています。
より深みのある写真表現には印画紙が欠かせません。「【2022年最新】印画紙とは上質な写真印刷に適したプリント用紙!おすすめの印画紙5選は特に写真展向きでプロも愛用中。」では印画紙とは?おすすめの印画紙5選をご紹介しています。
日本にはどんな有名写真コンテストがあるの?
出典:土門拳記念館
写真コンテスト・コンクールはプロカメラマン登竜門の歴史あるコンテストから、一般企業や市区町村主催のコンテストまでさまざま。
皆さんもInstagramでハッシュタグを付けるだけで応募できるコンテストを目にすることがあるのではないでしょうか。
・1_WALL写真展(個展開催権利+個展製作費30万円)
・CANON写真新世紀(※2021年度で終了)
・JPS展(賞金50万円)
・酒田市土門拳文化賞(土門拳記念館での展示+副賞50万円)
・APAアワード(APA展覧会展示+賞金60万円)
・アートオリンピア(東京都美術館展示+表彰金1200万円)
・ヤングポートフォリオ(1枚につき3~10万円で作品購入)
・ニッコールフォトコンテスト(賞金最大100万円+最新ミラーレス機)
・ニコンフォトコンテスト(賞金50万円+Nikonカメラ・レンズ)
・キャノンフォトコンテスト(賞金50万円)
・エプソンフォトグランプリ(賞金30万円+特典)
どれも賞金・副賞が魅力的ですが全国にいるプロ・アマチュアカメラマンなどライバルが多いでしょう。
しかし、上記に挙げたコンテストで受賞または入賞すれば、世間から注目される存在となり個展・出版・プロ転身などカメラマンとしてランクアップすることは間違いなし。
これ以外にも「明治安田生命2022マイハピネスフォトコンテスト」「三井住友不動産フォトコンテスト」など大企業が主催する高額賞金が貰えるコンテストも有名です!
コンテストには大小ありますが初心者の方は上記のようなフォトコンを最終目標にして、まずはたくさん応募して地道にタイトルを手にしていくしかありません。
応募方法は「プリント部門」か「WEB部門」
出典:unsplash
フォトコンテストでは一般的に「プリント部門」が主流であり、撮影した写真をプリントに印刷するまでが一貫の作業になっています。
コンテスト細則を見てみるとほとんどの場合が「2L~W四切」サイズ、1枚又は組写真で応募。
応募する写真は、世間一般的にはこれまで発表していない”未発表作品”であることが前提となります!
ジャンルによってモノクロ部門以外はカラー印刷をする必要があり、プリント紙の種類については自由度が高い傾向にありますね。
上記は2022年8月31日に締め切られた「第56回キャノンフォトコンテスト」より引用していますが、WEB部門の枠は1枠しかなく手軽に応募できるとあって応募が殺到するでしょう。
それ以外の「自由」「自然」「動体」「人物」「アンダー30」はいずれも、プリント応募が前提。
テーマが自由って一番、悩むんだけど。。
キャノンフォトコンテストではいわゆる「スマホ写真」は禁止されていますが、一般企業・団体主催のコンテストではスマホ写真OKのところもありますね。
しっかりとジャンルを絞ってプリント応募する方が、少数のWEB部門に応募するよりも入賞確率も必然的に上がるというわけです。
【初心者向け】写真コンテストのプリント部門に印刷して応募する方法!
出典:unsplash
ここからは順を追って、初心者の方がプリント部門に応募する方法をご紹介していきます。
①写真コンテストのテーマを考える
出典:unsplash
まず、最初にやらなけらばならないこと、それはコンテストの趣旨(コンセプト)を理解すること。
フォトコンテストには以下のような目的・趣旨があります。
【フォトコンテストの目的】
・写真やカメラの普及
・新人発掘
・企業のブランディング
・認知、集客
大小問わずほとんどがこの4つに分けられますが、一般企業主催の場合は「ブランディング」「認知、集客」である場合がほとんど。
それを知ってて役に立つの??
フォトコンテストの目的を知っていればそれに相応しい写真というのは限定されていきます。
いかに素晴らしい写真でもコンテストの趣旨に沿っていなければ、落とされてしまうというのは現実にあるようです。
写真コンテストの応募内容をしっかり読み込む
コンテストの趣旨が何となく分かったら、まずは応募内容をしっかり読み込みましょう。
特にプリント応募の場合は「細則」と呼ばれるプリント規定があり、サイズ・枚数・応募票の決まりをしっかり理解しておく必要があります。
特に複数枚を応募する「組写真」の場合、作品データ票を正しく貼り付けていないと意図した順番とは違う順番になってしまうこともあります。
最低限のマナーってやつですね。。
作品の出来に関わらずあなたのことを知らない審査員が大量の写真を見るとき、ルールを守っていない人の作品は素直に見れないというのが心情ではないでしょうか。
被写体を探してテーマを決める
応募内容を理解したら次に考えるのはどの”部門”に応募するのか決め、それに見合った被写体を決定します。
出典:CANON
日本のフォトコンテストは海外に比べて部門が曖昧だ、という意見を聞いたことがありますが、例えば前章で紹介した「キャノンフォトコンテスト2022」。
「自然部門」の場合、自然風景・花・生きものなどとなっていて、風景を撮るのか花や草、生きものは自然動物なのかペットなのか。
生きものに、人間は入らなのかも。。
この辺りは曖昧というより自由度が与えられている部分ですが、テーマをしっかり決めてそれに合った被写体を探しましょう。
②撮影機材
出典:unsplash
カメラと何年も付き合ってきた方はご存じだと思いますが、機材選びは重要なポイントです。
ほとんどの写真コンテストでは「35mmサイズ以下の撮像素子のデジタルカメラ(フィルムカメラ)」となっていますが、デジタルカメラにも初心者向け・プロ向け機種ではまるで違います。
【必要な撮影機材】
・ミドルクラス以上の一眼レフ又はミラーレス
・エントリークラス以上の単焦点又はズームレンズ
・三脚
・NDフィルター
風景撮影の場合は最低でも上記の条件を満たしていないと、写真構図の良し悪しだけではなかなか戦えません。
必要な機材は妥協せずに少しずつでも揃えていくことが、写真コンテスト入賞のポイントでもあります。
カメラの基本操作や設定を覚える
まず、初心者の方はたくさんシャッターを切って、操作の感覚を身につけましょう。
この時、注意したいのはただやみくもにシャッターを切るだけでなく、その日の天候・場所・太陽の位置などを考えながらどのように設定変更していけば白飛びや暗すぎる写真が減るのかチェックすること。
あんまり触ったことないメニューって一杯ある。。
操作する項目は撮り慣れている人でもそこまで多くありませんが、上手な人はそのロケーションの条件によってISO感度・F値・シャッター速度を変更します。
出典:フォトチートカード
練習するときはマニュアルモードで「ISO感度・F値・シャッター速度」の関係性を理解することを目指しましょう。
また、一眼レフ・ミラーレスカメラいずれも2021年から値上がりが続いていますが、最新ミラーレスでなくとも型落ちの一眼レフでも素晴らしい写真が撮れます。
レンズは単焦点レンズがおすすめ
カメラの操作に慣れてきたら今後はレンズの特性に注意を向けましょう。
カメラ・レンズは「盾と矛」の関係性なので、レンズはまさに攻撃に直結する”矛”です。
出典:unsplash
盾の守りが弱くても攻撃力が高ければ勝てるスポーツのように、レンズはもっとも妥協してはいけない要素。
プロ向けズームレンズは高価なので、撒き餌レンズや明るい単焦点レンズがおすすめ!
ズームレンズに比べて単焦点レンズは明るくボケやすいだけでなく、中央・周辺部の解像度が高い傾向にあります。
単焦点レンズは使い勝手が悪い印象があるかもしれませんが、手軽に良い写真を撮るには単焦点の一択です。
③撮影実践のコツ
出典:unsplash
機材の良し悪しではカバーできない写真そのものを作り出す”撮影実践”。
美しいとされる写真にはいくつかの共通点があります。
【良い写真の定義】
・テーマや伝えたいことが分かりやすい
・見せたいもの以外は無駄なものが写っていない
・構図が組み込まれている
・写真の魅力がレタッチによってさらに増している
簡単なように見えて実は細かいところまで計算されている写真は、人の印象に残りやすく賞賛されます。
ハイアマチュアもプロカメラマンも初めた頃は誰もが素人です。上手な人のマネをしてそこから一つずつクリアしていけば良いと思います。
写真が上手な人の特徴を理解する
初心者の方は、まずたくさん撮ることと併せてやっておきたいのが”写真を見る”ということ。
写真展やInstagramで見かける写真を「あ~キレイだなぁ」「モデルさん可愛いなぁ」ではなく、どういう意図でこの写真を撮ったのか。
どんな条件下でレンズの焦点距離はいくつなのか、何を表現したかったのかとじっくり見る習慣を身につけましょう。
簡単なようで意外とできない方が多い印象なので、まずは上手な人の思考を理解することに徹するのをおすすめします。
素晴らしいカメラマンの人たちの頭の中を見てみたい。。
周りにカメラ友達がいないという方は写真部に所属する、同じように撮影している人に声をかけてみる、プロカメラマンのセミナーに参加するなど方法はいくらでもあります。
写真に構図があった方がランクが上がる
構図(黄金比率)は写真に限らず絵画・建築物・氷の結晶・ピラミッド・インテリアなど、あらゆる”物”に見られる人智を超えた存在です。
私たちは毎日の生活の中で無意識に目にしているわけですが、意識してみるのと何となく見るのでは違いますよね。
出典:unsplash
写真によく使われる構図には日の丸・二分割・三分割・放射線など定番があります!
構図は、整然としていて人が美しいと感じやすいポイントになります。
取り入れ方が分からないという方は、構図のサンプルを持ち歩きながら散策に出かけてみましょう。自然と身に付くようになれば無意識で使うことができるようになります。
④撮影データの編集レタッチ
出典:unsplash
レタッチ(現像)は、これまで新旧多くのカメラマンから賛否がある要素です。
近年は、Photoshopを初めて多くのアプリで加工・合成CGが簡単に行えるようになり、「写真≒アート」の定義が難しいところでもあります。
【写真レタッチの定義】
・加工、合成はしない
・明るさ、色彩、コントラスト調整はOK
・個別のカラー調整もOK
多くの写真コンテストでは加工・合成作品の応募を禁止していますが、写真がより引き立つのではあればレタッチは有効な手段です。
ただし、初心者が陥りやすい注意点としては「レタッチで何とかするから撮影は適当でいいや」というパターン。
レタッチアプリではある程度の補正はできますが、白飛び・暗すぎる部分の補正には限りがあるので、撮影時に補正作業を減らせるようにしっかり撮影しましょう。
基本的な明るさ・コントラスト・色調を決める
撮影した写真はJPEG形式ではなく、RAWと呼ばれる圧縮の少ない形式を現像(レタッチ)するのが基本。
JPEGに比べてRAWの方が色情報や画質が良好なので、こちらを編集していきます。
【RAW現像】
・被写体を際立たせるため明るさ、コントラストで調整
・色調は全体のバランスを整える
・色被りを補正する
現像する際は、専用アプリを使用しますがおすすめは「Adobe Lightroom classic」。
出典:unsplash
世界中でもっとも使われているアプリで、その後の写真印刷時にもこちらのアプリから詳細設定してプリントすることができます。
トーンカーブという指標を使って操作もできますが、調整が難しいため基本項目の上げ下げだけでも良い写真に仕上がるでしょう。
編集レタッチは「Adobe Lightroom classic」がおすすめ
写真現像アプリは「Lightroom(ライトルーム)」「Lightroom classic(ライトルームクラシック)」「Capture one(キャプチャーワン)」「Luminar(ルミナー)」の人気があります。
操作できる項目はどのアプリも基本同じですが、それぞれ以下のような特徴があります。
【現像アプリの特徴】
・Lightroom…基本操作ができる
・Lightroom classic…Lightroomより詳細な調整ができる
・Capture one…新しいカメラレンズのプロファイルがすぐ更新・適用される
・Luminar…画像認識が早く写真の空の部分だけ調整できるツールがある
カメラマンの中にはPhotoshopの中にある「CAMERA RAW」で現像してしまう方もいますが、基本的にはどのアプリでも同じような操作は可能です。
ただし、コスパを考えると月額980円で「Lightroom」「Lightroom classic」「Photoshop」が使えるAdobeフォトプランが初心者にはおすすめ。
⑤撮影した写真データをプリントする
出典:unsplash
続いては、初心者にとって頭を悩ませることが多い「プリント」。
普段は撮影したデータのみを現像して掲載することが多いですが、プリントの場合はさらに細かい調整が必要になってきます。
【写真印刷の手順】
・撮影したデータを現像
・プリント紙のサイズ、種類を決める
・プリンターに合ったファイル形式や用紙設定を行う
・テストプリント
・本プリント
基本的には自宅にプロ仕様の顔料又は染料インクジェットプリンターがあれば、一連の流れはとてもスムーズに完結します。
自宅では対応できない全紙など大判サイズのプリントはプロラボに外注するのが一般的です!
プリントする際に気を付ける点はデータに限りなく近い状態でプリントされているかどうか?
ちょっとした印刷設定の違いで色の再現や階調、プリント紙の特性によって色乗りが違うことがあるため注意が必要です。
プリント用紙サイズ・種類の選定
プリントする際にまず考えなくてはならないこと、それは撮影した写真をどう魅せたいのかという点。
フォトコンテストであれば応募できるサイズが定められているため、その中で好きなサイズを選定すればよいですがプリント紙は種類が多く、その描写や雰囲気もさまざま。
【プリント用紙サイズ・種類】
・サイズ…L、2L、A4、A4ノビ、六切、ワイド六切、四切、ワイド四切、A3、A3ノビ、半紙、A2、A2ノビ、A1、全紙、大全紙など
・種類…超光沢紙、光沢紙、絹目調、マット紙、バラ板紙、和紙、ファインアートペーパーなど
実際にプリントする際は紙の種類の特性を覚えておかないと、仕上がりのイメージをすることができません。
プロラボに頼んだら1週間ぐらい仕上がりが見れない。。
印刷する機会が多い印画紙、マット紙は以下の記事で詳しく紹介しています。
プリンターはインクジェットプリンターがおすすめ
自宅でプリントするメリットは①仕上がりをすぐ見て刷り直しができる、②印刷量が多くなるほど外注よりコスパが良い、この2点。
しかし、自宅に高額なインクジェットプリンターを置くのはちょっと予算が厳しいという方も多いのでは。
出典:Amazon
【インクジェットプリンターの価格相場】
・家庭用(複合機タイプ)…1~5万円未満
・中堅プリンター(複合機タイプ)…5~7万円未満
・プロ仕様プリンター(印刷のみ)…7万円~20万円未満
・業務用プリンター…20万円~
上記はあくまでも参考ですが一般的なインクジェットプリンターの価格相場。
この本体価格以外にもプリント用紙、インクなどランニングコストがかかってきますが、プロ仕様プリンターは意外と高くないと感じた方もいるのではないでしょうか。
もっともコスパが良い方法はA3ノビサイズまでは自宅プリント、それ以上のサイズはプロラボに外注するのが長い目で見ればもっともコスパが優れています!
写真展やフォトコンテストでも十分、通用するおすすめのインクジェットプリンターは以下の記事で詳しく紹介しています。
⑥プリントした写真から選出
出典:unsplash
まず、撮影したデータの中から10~20枚ほど選出して、実際にプリント紙に印刷をしていきます。
この手順を踏む理由は以下の通り。
【プリントした写真から選出する理由】
・モニター越しでは雰囲気が分かりにくい
・組写真の場合は実際に並べてみないとイメージが湧かない
・印刷してはじめて魅力を感じることがある
それぞれのケースを細かくご紹介していきます。
候補写真はなるべく印刷してから決める
実際に印刷してから最終決定を行う理由は”取りこぼし”を防ぐことが目的です。
撮影したデータから良いと思う写真をピックアップする際、自分では「間違いなくこの写真が良いはず」と思うものですが、第三者が見たとき必ずしもそうとは限らないためです。
【候補写真を印刷するメリット】
・候補写真を見る際に並べると比較しやすい
・プリントした写真を他人に見せて意見をもらえる
・後日見たときに気付きがある
写真コンテストに応募する際、日程に余裕があればこの3つは確実にクリアしておきたいポイント。
データから選出する場合のポイントは「テーマに沿っているか」「主題は明確か」「ピントが主題に合っているか」に重点を置くと良いでしょう!
この手順を踏むことで冷静に判断できるだけでなく、客観的な意見を取り入れることができます。
各写真コンテストは毎年1回しか開催されないため慎重に応募しましょう。
組写真の場合はストーリーを重視
もう1つ実際にプリントして並べることで「組写真」のストーリーを構築しやすいというメリットが生まれます。
主題とその背景があり時間の流れ、構図、共通点、変化していく情景や感情を組み立てていくには実際にあれこれと並べてみないと見えない部分があります。
出典:phat-ext
【ストーリーを考える】
・組写真は1枚で完結することなく動画のコマのような物語がある
・テーマに沿って必要、不必要なカットを厳選する
・写真の色味、コントラストを統一する
もちろんこの限りではありませんが初心者の方は頭の中だけで組写真をまとめていく作業には限界があります。
こちらも応募前に時間のゆとりを作り、じっくりと組みかえて熟考することが大切でしょう。
⑦写真を応募郵送
出典:unsplash
写真の選出・プリントが完成したら最後の仕上げです。
【最後の仕上げ】
・プリントした写真にタイトル(説明文)を付ける
・郵送する
普段から写真にタイトルを付けていないという方は、意外とここで悩む方が多いようです。
それぞれのポイントを見ていきましょう。
プリントした作品にタイトルを付ける
選出した写真にタイトルを付ける場合の重要なポイントはいかに”シンプルか?”、そして”分かりやすいタイトル”であること。
ついつい難しい漢字や英語を使いたくなるものですが、作品の意図にあっていなければ元も子もありません。
【写真にタイトルを付ける理由】
・作者の意図を明確にするため
・写真の魅力を補うため
伝えたいことやテーマが明確であるほど作品への理解が深まり、さらに観る側にとって魅力的に映ることがあります。
また、合わせて説明文(解説)を付ける必要がある場合、撮影時の状況・作品を作った理由や意味をシンプルに書くことでより相手に印象づけることが可能。
ただし、詩的すぎたりポエムのような説明文は伝わりにくい傾向にあるため注意が必要です。
応募は消印有効日より余裕を持って郵送しよう
最後はあらかじめ決められた応募締切日を把握し、消印有効日までに作品を郵送しましょう。
【作品の郵送】
・写真サイズよりワンサイズ上の封筒を用意する
・写真のインクが剥がれないよう画用紙やフィルムで写真全面を保護する
・組写真の場合は決められた手順通りに収納する
・切手代に不足がないようにする
大きめの封筒に写真を入れて郵送する場合、必ず郵送料に誤りがないか確認し、可能なら郵便局窓口で郵送するのがおすすめ。
切手代不足で締切直前に郵送してしまうと返送され、消印有効日に間に合わないことがあるため注意が必要です。
封筒裏には必ず”所在不明”を防ぐために住所・名前を記載した方が良いです!
どんなに良い作品でも締切を過ぎてしまうと受理されないため基本的なことですが気をつけましょう。
写真コンテストで入賞するコツ
出典:unsplash
大小問わずたくさんある写真コンテストにはそれぞれ目的があることは、前章でお伝えした通りです。
しかし、いわゆる”攻略法”のようなものはありませんが、いくつか入賞するためのコツは存在します。
【写真コンテストで入賞するコツ】
・審査員の好みをリサーチしておく
・これまで誰もトライしていない技法に挑戦する
上記2つのコツをそれぞれ深堀していきます。
審査員の好みをリサーチしておく
写真コンテストの審査員はコンテスト規模が大きくなればなるほど複数人が起用され、それぞれ部門ごとに審査員の振り分けが行われます。
それぞれ異なる分野で活躍する写真家・評論家・著名人であることがほとんどですが、公平な姿勢ではあるものの目に留まりやすい写真の好みがあるもの。
【審査員の好みをリサーチする】
・応募する部門の審査員を調べる
・審査員が得意とするジャンルを特定する
・審査員の好みのテイストを調べる
・これまでの受賞作品を見る
これは特定の審査員が毎年、審査しているか?初めて審査を担当するかによって状況は違いますが、前者の場合は過去の受賞作品を見ていくと一定の傾向があります。
実際にに市区町村主催の、とあるバラ園フォトコンテストでは同一の審査員が毎年一人で審査を行っており、関係者からも「好みがあるみたい」と耳にしたことがあります。
もしからしたらなんてズルいコツなんだと思われる方もいるかもしれませんが、写真コンテストは入賞しなければプリント・郵送代がムダになるだけの消耗戦です。
もし、毎年応募しているのに全く入選できないという方は、この方法を試してみることをおすすめします。
これまで誰もトライしていない技法に挑戦する
写真はただ映すだけでなく限りなくアートに近い表現、マクロの世界ではまるで近未来SFのような印象を与えます。
これまで誰もトライしたことがない技法なんて果たしてあるのでしょうか?
ヒントは2021年度で終了した「CANON写真新世紀」を見ると、世の中にはこんなにたくさんアイデアがあるのかと驚かされます。
下の写真は2019年度にグランプリ獲得した中村智道さんの「蟻のような」という組写真。
出典:写真新世紀
『映像作品制作中に父親が死んだ。脳幹梗塞により全身麻痺になり、それからの4年間は闘病生活だったが、自身の制作の契約により、死の間際、多くの事が出来なかった。
その後、自分自身も、過労によって、肝機能障害、およびうつ病を発症、その他、多くの疾患を患い闘病生活を送った。
現在の自分が置かれた状況を、作品に起こすこと。これまで、アニメーション作家であったが、複合的に体を壊し、絵を描くことが出来ないため、制作不能に。その構想を写真にして何らかの形で作品化しようとした。これは、複数の写真によってイメージされる、動かない映像作品である。
鉄の枠により、イメージを強固化する。
黒い服は、葬儀の服であるが、その様相は蟻のようだと思った。』
出典:写真新世紀
すごくリアルな実体験に基づいたストーリーが写真に投影されているわけですが、特にハっとさせられたのは実際に並べた写真の上にに生きている蟻を使い、それをまた写真に撮るところ。
昆虫苦手な方がいたら、ごめんなさい。。
特に4枚目の写真は白紙の上に糖分を配置して、そこに蟻が群がることで人の形を形成させているとのことです。
すごく印象的で今でもすごい作品だなぁと感動させられます!
写真新世紀は「動画と写真の狭間の世界」がコンセプトになっているため、こうした優れた技法やストーリーを感じさせる作品が多いので参考になると思います。
難易度は高いですが新しい(珍しい)技法を使うことで審査員の心に深く印象づけることができれば、入選確率はグっと上がるのではないでしょうか。
写真コンテストに入賞するコツはリサーチ能力を磨くこと!
出典:unsplash
今回はこれまで写真部MUZEが蓄積したノウハウを生かして、初心者向けに写真コンテスト・コンクールに写真印刷して応募する方法、入賞するコツをご紹介しました。
コンテストにプリント応募するにはテーマ・規定・コンセプト・被写体決め・印刷・タイトル付けとやることが多いのは事実。
初めてトライしようと思っている方にとってハードルは高いものですが、プリントの魅力を知るだけでなく受賞すれば個展・出版と夢のような話しが現実のものとなります。
しっかりと、入賞のコツや手順を踏まえて毎年挑戦することに意味があるのではないでしょうか。
今回の記事が、写真コンテストのプリント応募に悩んでいる方の参考になれば幸いです。
鹿児島写真部MUZEでは「ポートレート撮影体験」「フォトウォーク」「写真展」等のイベント開催を行っており、楽しい撮影を楽しもう!を合言葉に撮影技術の向上・モデルマッチング・地元観光応援を目指した企画を行っています。
前回、前々回と参加してなかった初心者さんでも気軽に参加することができるので、皆さんの部員応募やイベント参加をお待ちしています。
部員参加は下記、入部フォームから簡単にお申込みすることができます。たくさんのカメラ写真好きの皆様とお会いできることを楽しみにしております!
■無料・部員入部ホーム■
カメラを始めてわずか半年でプロモデル、テレビ局タレントの撮影を担当する。ポートレート撮影や企業撮影のほかWEB広告クリエイターとして活動。2021年7月7日に鹿児島写真部MUZEを立ち上げ、クリエイターやアパレル・ハンドメイド作家・地元店舗とコラボ企画を行う。2022年『PASHA STYLE』認定クリエイター。鹿児島出身。
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